釣りビジョン

2012.5.1号

幸丸・千葉県飯岡港
千葉県・飯岡沖の“ひとつテンヤ”マダイ、初心者でもOK!

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最近の沖釣り世界で、難しい釣りの筆頭格のように言われている“ひとつテンヤ”のマダイ釣り。沖釣り歴37、38年になる小生だが、未だ1度も経験がない。その歴史はせいぜい6、7年、チャンスが無かっただけなのだが、「ハナダイなら釣れますから…」という飯岡『幸丸』の若主人・向後恵一さんの誘いに促され18日、乗合船に乗った。

何と1投目からマダイ!!

「底が取れましたか」と、舵を握る恵一船長がニヤリと笑いながら言う。「もちろん!」と答えると、「そのまま待っていて下さい。アタリがあったら、即合わせでいいですから」と言うか言わずかの内に、竿先に明確なアタリ。すかさず竿を立てると、軟調の竿が大きく絞り込まれた。大した手応えではないが、まずまずの引き込みで十分に楽しい引き味。「あれっ、マダイ釣っちゃいました。昨日の午後釣りは船中ゼロだったのに…」と船長殿、複雑な表情でそう言う。釣れて来たのは、700g級の小型ながられっきとしたマダイ。何とこの間、釣り場到着から5分と経っていなかった。
「初めてなんですよね」と念を押され、渡されたテンヤは8号。3~10号の上から2番目である。「コヤツ、俺をなめてるな」と思ったが、「初体験の人には8号を勧めている」(船長)そうで、小生を侮ったわけではないようだ。

舵を握った向後恵一船長
この日使った8号のテンヤ
餌は冷凍の赤エビ

飯岡沖の“ひとつテンヤ”が大人気!

“ひとつテンヤ”と言う釣りが成立した最大の理由は、細くて強靭なPEラインの出現だろう。3~10号と言った小さなオモリで30m、50mの水深の海でタチ(底)を取る芸当は、0.8号、1号と言った極細のラインでなければ物理的に不可能だろう。ましてや“発祥の地”と言われる外房・大原の海は、潮通しがよく、海流の速い場所として知られた所。そうした極細ラインを使ったとしても容易な事ではない。「難しい釣りの筆頭格」と言われる所以である。その点、同じ外房地区でも飯岡沖の海は、大原に比べれば潮の流れが穏やかな所。最近、飯岡沖の“ひとつテンヤ”が人気を博している最大の理由である。

仕掛け図
大型船で“ひとつテンヤ”を楽しむ

ラッキー!2.7kgの良型マダイをゲット!

この日は、潮の流れがほとんどなく、8号のテンヤなら超ビギナーの小生にも楽にタチが取れた。「マダイは、ベタ底狙いが一番」と言う恵一船長の教えを守り、テンヤを海底から1m以上は上げずに狙い続けた。すると、ビギナーズラックは立て続けに起こった。船中初獲物の700gを釣った後、間もなく500g級のマダイが釣れ、間をおかずに300g級(リリースした)が掛かり、2時間足らずの間に3尾のマダイを釣ってしまった。しかも、更に幸運は続き7時15分、小さなアタリで合わせた瞬間、竿全体がガチッと止まり、いきなりスピニングリールのドラグがジジジジーと唸りを上げた。
「やっちゃいましたね」。そう言いながら、恵一船長が玉網を持って飛んで来た。「皆さん、大型が来ました。仕掛けを上げて下さい」と、他の乗船者に声を掛けてくれた。高性能スピニングリールのドラグは優秀で、大した苦労もないままに37mの海底からグッドサイズ゙のマダイを引き上げてくれた。恵一船長の差し出す玉網に取り込まれたマダイは、欲目も手伝って確実に3kgオーバーと思ったが、下船後の検量で2.7kgだった。それでも、初の“ひとつテンヤ”体験で、このクラスのマダイが釣れれば、幸せな気分に浸るには十分過ぎるものだった。

この日最大の2.7kgのマダイ
ここの人も3尾のマダイを釣った

25~35cmのハナダイも10尾以上

その後は、良型のハナダイがポツリポツリと釣れただけだったが、そこである事に気が付いた。他の乗船者に比べ、小生の道具にはハナダイのアタリが明らかに少ないのだ。原因は簡単に分かった。テンヤの重さ(他の乗船者は全員5号を使用)とタナである。8号のテンヤなら海底にオモリをステイして置く事もそれ程難しくはなく、小生はずっと海底から1mまでの間を狙い続けていたが、5号のテンヤだと、ちょっとした海流でも浮き上がり、結果として他の人達は小生よりもやや上のタナを狙っている事になる。結果としてタナが高いハナダイのアタリが多くなるというわけだ。
しかし、他の人に比べアタリが少ないとは言っても、納竿までに釣り上げたハナダイは軽く10尾を超えていた。しかもサイズは全て20cm以上で大半が25~35cmの大型だった。飯岡の“ひとつテンヤ”が人気を集めている理由の一つは、このハナダイの魚影の濃さもある。最近の『幸丸』釣果欄を見ると、マダイ0~2尾、0~3尾と言った成績が並んでいるが、実はこの他に1人20~30尾の良型ハナダイが釣れているのだ。また、気温、潮温が上がるこれからの時期には、マダイの釣果も急上昇するはずで、3~5kgの大ダイ交じりで2ケタ釣果も上がり出すはず。“ひとつテンヤ”の入門者には、飯岡の海は絶好と言っていいだろう。

こんなハナダイがバンバン上がる
ホウボウ、イナダも釣れて来た

釣った魚を捌いてくれる

※『幸丸』では、予約制(帰港前に船長に要請)で釣った魚を捌いてくれる(有料=サイズ、魚種などによって料金は異なる)。今回は、2.7kgのマダイを捌いて貰ったが、帰宅後、カミさんが大感激。「生ゴミ処理が大変なのよ。そんなサービスをどこの船宿でもやってくれたら、奥さんたちは皆大喜びよ」と言っていた。

(野口 哲雄)
(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
千葉県飯岡港『幸丸』
〒289-2705 千葉県旭市飯岡3374
TEL:0479-57-2258
詳細情報(釣りビジョン)
幸丸ホームページ
出船データ
午前船:4時半までに受け付け、5時出船、11時半沖上がり
11500円 氷・餌付(餌は使い放題)
午後船:12時までに受け付け、12時半出船、日没沖上がり
10,000円 氷・餌付(餌は使い放題)
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