釣りビジョン

初釣行の馬瀬川、エメラルドグリーンの清流にアユを求めて!

2022年09月13日公開

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連日のゲリラ豪雨。どこの川も濁り、増水…一縷の望みを胸に“美味アユ”で名声高い岐阜県・馬瀬川へと向かった。南飛騨を流れるエメラルドグリーンに輝く美しい流れは息を呑むほどだ。『全国水の郷百選』にも選ばれ、『清流巡り利きアユ会』でもグランプリを獲得している。流域には石灰岩が多く、一説にはこの石灰岩で良質な苔が付き、川の水を甘くすると言われている。初釣行の馬瀬川。“馬瀬アユ”は微笑んでくれるだろうか?

【この記事を書いたライター】SHOHEY

不安な道中、車窓から見える川はことごとく増水、濁り…

いよいよ私の夏休みも最終日。毎日、天気とアユに振り回された(勝手だが…)夏休みだった。何とか今日まで雨雲を掻い潜り、毎日竿を出すことが出来た。しかし、各地で発生するゲリラ豪雨!どこの川も増水、濁りで釣行が難しくなっていた。前日から穴が開くほど天気図を見て必死に各地の情報を集めた。今回の馬瀬川への釣行は正直賭けだった。竿を出せるかは五分五分。しかし、私の夏休みの締めは、とびきりの清流で締めくくろうと心を決めて車を走らせた。
道中4時間半。お天気は予報に反して快晴!ちょっぴり秋を感じる風の中、飛騨の山道を進む。途中、飛騨川沿いの“道の駅”で休憩。こんなに天気がよいのに飛騨川は大増水で濁っていた。馬瀬川は飛騨川の支流である。この光景を見た時「こりゃ~だめか~」と思った。今日は実によい天気、状況が好転してくれることを祈るばかりだ。

増水にもかかわらず、エメラルドグリーンに輝く川があった

馬瀬川のことは何も分からない。そこで漁業協同組合に向かった。馬瀬川に到着して、目にしたものはエメラルドグリーンに輝く評判通りの美しい清流だった。その時「本当に来てよかった」と心から思った。この美しい流れならいつまでも眺めていられる。目を奪われるとはこのこと。
さあ、いよいよ竿を出せるかのジャッジが下る。川にも『馬瀬川上流漁協』の事務所にも釣り人の姿はない。声をかけると漁協の方が出て来てくれた。早速「初めて来たのですが、今日釣りは出来ますか?」と尋ねると、「水は高いが濁りはないので釣り可能だ」とのこと。なんと!嬉しいジャッジ。どこに入ったらよいものか?尋ねてみると「今日は水が高いので、まずは自分の目で見て選ぶといいよ」とのことで、丁寧に地図でポイントを説明してくれた。
その地図を持ち、まずはポイントチェック!すると先程は見えなかった釣り人の姿もチラホラ。橋ごとにポイントをチェックしていくと、「ん?なんか他の川と違う」。ポイントの入川口や、駐車ポイントが実に分かりやすく、しっかり整備されている。そして、何より感心させられたのが、各駐車ポイントに隣接してトイレがあること。「トイレか~」と思うかも知れないが、ここまでしっかり整備されたトイレが各ポイントにある河川はほぼない。これも漁協の皆さんや地元の方々の努力の賜物だ。釣り人としては感謝しかない。釣り人とし出来ることは、「大いに馬瀬川での釣りを楽しむ!そして川を綺麗に!」。来た時よりも綺麗にして帰る-という位の心持ちでいたいものだ。
7、8ヵ所のポイントを周って、浅瀬もあって釣りやすそうなポイントを見つけた。丁度休憩中だったご夫婦の釣り人に話を聞いてみると「水温が低いので中々難しいが、アユはいるので午後にかけてよくなるかも」とのこと。「ここでやりなよ」と言ってくれた。よく馬瀬川を訪れると話すこの釣り人は川やポイントに詳しい。知らない土地に来て、同じ趣味を持つ人との交流は実に楽しく、嬉しい。またどこかでお会い出来ることを楽しみに漁協へ戻った。「おじちゃ~ん、入るとこ決まったよ~」と話すと、ニコニコしながら「よかったね」とオトリを用意してくれた。

 

清流で煌めく“馬瀬アユ”はタモの中でもスイカの香り

逸る気持ちを抑えながらバタバタと着替えを済ます。早速川に足をつけるとひんやり。思ったより水温は低い。そして、なによりこの川の透明度の高さには感動した。前日の悪天もあって川は貸し切り状態。贅沢な時間の始まりだ。今回入ったのは本郷橋下流。手前は浅瀬、左岸は水深のある流れになっている。増水しているので左岸側は結構強めの流れだ。丁度浅瀬と水深のある流れの境目に、色のよい石が入っていた。時折その黒い石ではキラキラとアユが苔を食んでいる。足元からオトリを送り出す。どんどん沖へと泳いでいくが、水深のあるところにいくと、思ったより流れが強いようでオトリが流されてしまう。そこで、1度オトリを戻して背バリを装着。再び黒い石を目掛けて誘導していく。するとガサガサ!と反応。しかし、ハリ掛りしてくれない。ハリスの長さを変えるなど色々試みるが中々難しい。掛からない時間が過ぎてゆく。しかし、この清流に立ち、周りを見渡せば何ともゆったりとした時間が流れている。里山の風景と青空が広がり自然と穏やかな気持ちになる。夏休みの締めくくりには最高のロケーションだ。
少しずつ移動しながら色のよい石をピンポイントで狙っていく。するとオトリが急に機敏な動きでスーっと水深のある流れへ。スッコーン!ついに来ました!目印が一気に引き込まれるよいアタリだ。竿を立てると、掛かりアユが激しく泳ぐ!「お~これは思ったより大きいぞ~」。アユとのやり取りの間、あまりにも透明度が高いので目視でも掛かりアユが泳ぎ回る姿が見えた。ゆっくり寄せてきてタモキャッチ!私の記念すべき初“馬瀬アユ”は香り高き美しいアユだった。タモの中でふんわりと香るスイカの香りは今でも思い出してしまう。暫くすると相方の竿もやっと曲がった。慎重な取り込み。これはバラしたくないよね。気持ちが伝わってくる。見事にキャッチ。満面の笑み!ガッツポーズで振り向いた。背掛かりの良アユだ!相方は暫くタモの中のアユを眺めていた。

ロケーションの素晴らしさに感動!

数こそ出なかったものの何とも癒しの時間だった。ロケーションの素晴らしさは、これまで数々の河川に足を運んで来たがトップクラス。胸がスーッとする時間だった。沢山釣るのも楽しいが、今回の釣行はそれ以上の感動を与えてくれた。秋の気配がそこまでやって来ている馬瀬川。納竿する頃には肌寒さも感じた。もう少し…、あと少し楽しませておくれと願いたくなる。清流馬瀬川はいついつまでも変わらずに釣り人の心を癒してくれることだろう。

施設等情報

■馬瀬川上流漁業協同組合 
〒509-2612 岐阜県下呂市馬瀬名丸5-8
TEL:0576-47-2434 馬瀬川上流漁業協同組合ホームページ

施設等関連情報

■遊漁料:年券1万5000円、日釣り券3000円(現場+3000円)、高校生以下無料、女性年券7500円、日釣り券1500円
■アクセス:東海北陸自動車道 郡上八幡ICからR472 約1時間
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

SHOHEY
鮎にゾッコン!ずっと川に浸かっていたいと思う日々を過ごす。3~4月は渓流釣り、5~10月の休みは全てを鮎釣りに捧げ、全国各地を「鮎な夏!」で駆け巡る。主催するアウトドアの団体にて、キャンプや釣り初心者のためのイベントなども開催。
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