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青森県:陸奥湾・夏泊半島 思いもよらぬ“年なし”!! 夏の終わりにクロダイ釣りを満喫!

2022年09月15日公開

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青森の夏は「ねぶた祭り」と共に一瞬で過ぎ去り、早くも秋の気配が感じられる今日この頃。空高く好天に恵まれた8月下旬の2日間、たまたま休日が被った妻と一緒に青森県・陸奥湾に突き出た夏泊半島にクロダイ釣りに出掛けた。

久し振りに夫婦揃ってのゆったり釣行

そろそろ“夏クロダイ”を狙いに行こうと思っていた8月上旬、豪雨が青森県を襲った。水害、河川の氾濫や土砂災害で、海も泥濁りと流木などで、とても釣りが出来る状態ではなかった。その後、天候も落ち着き、やっと“夏クロダイ”をと車を走らせたのは8月下旬だった。
この日のポイントは、夏泊半島東岸の間木漁港。当日の予報では昼頃から西風4~5m。ここは昨年、友人の案内で訪れた初釣行で好釣果に恵まれた場所。今回選択した理由は、あれから丁度1年、よいイメージが残っていることと西風の風裏になることだ。水深4~5m。堤防周辺は基本的に砂地が多く、岩礁などは見当たらない。イメージ的には投げでカレイといった雰囲気だ。フカセでクロダイを狙うには少々しらける堤防。そのためか普段からアングラーの数も少なそうだ。この日も釣り人は私達2人だけ。基本、妻は釣りをしない。妻は冷やかし半分ピクニック気分半分のための同行なので、厳密には釣り人は私1人だけ。
9時30分、コマセを準備し、仕掛けを組んで第1投。既に妻はクーラーに腰かけ、青空の映る陸奥湾を眺めながら遅めの朝食と洒落込んでいた。先日の水害で被害に遭われた方がいる一方で、こうしてフィールドで時間の経過を楽しめることに感謝しつつ、まずは1匹を求めた。

“餌取り”はいない!?チンチン、カイズからクロダイへとサイズアップ

第1投目から暫くは、付け餌のオキアミが原型のまま付いている。“餌取り”がいないのか? ウキは「00」。表層から底層まで探ったり、沖目や手前を狙うなど様々試してみるがオキアミが残る。昨年は小サバの猛攻を受けたこのポイントだが、オキアミで釣りが成立するなら楽ちんだ。釣り始めて1時間30分、小型のサヨリがヒット。同時にフグが見え始め、ようやく魚っ気が出てきた頃にオキアミも持たなくなった。とはいえ、コマセの打ち分けでまだ対応出来る。程なくして、沖目に設定した“本命ポイント”でアタリを待っていると、ゆっくりと穂先を絞るアタリ。合わせると“本命”と判る独特の引き。難なくネットインしたのは、元気印の28cmのカイズだった。一応、初の“本命”Getだが、このサイズの単発はないだろう。予想通り、その後も同サイズから15cm位のチンチンまで5匹釣ったところで潮止まりになった。

 

ハリスに、クロダイの噛み痕

午後の上げ潮の時合にサイズアップを図るべく、練り餌中心に釣りを組み立てる。ここまでオキアミをメインにして小型の“本命”中心だったが、周りにはそれより大きいクロダイがいることが多いので、アピール力をアップする。練り餌にしたことで、カイズ級からのアタリもなくなった。しかし、回収した仕掛けのハリ上5cm位までのハリスに、クロダイの噛み痕が付いていた。口にした練り餌の違和感で吐き出したようだ。
13時を過ぎ、妻はクーラーに座ってランチタイム。私にも「食べないの~?」と気遣ってくれるが、今はそれどころではない。ハリをチヌバリ3号から2号にダウン、練り餌も小さく付けた。これで一気に丸呑みさせたいところだ。コマセよりやや離した所にキャスト。着底を待って、付け餌をコマセの中に持ってくる。間もなく糸が張り、穂先に重々しいアタリ。合わせと同時に立てたロッドをグイグイ絞り込む。先程までのカイズ級ではない。銀鱗を輝かしながらタモに収まったのは43cmの“本命”。読み通りの1匹に思わずガッツポーズ。
その後3匹掛けたが、35cm前後と型落ちしたため、更なる大型を狙って遠投に切り替えた。40m程遠投した仕掛けにテンションを掛けて、練り餌の沈下スピードを抑えてなじませる。すると、着底前に一気にひったくるようなアタリ。ドラグからラインが出ていく。じりじり間合いを詰めて、海面に浮いた“本命”はまさにグッドサイズ、ネットイン後の計測で48.5cmのクロダイだった。この時点で、クロダイと呼ばれるサイズを5匹釣りあげた。明日の釣行もあるので納得サイズが出たところで、後ろ髪を引かれる思いで納竿。全てリリースした。

前日とは違い“餌取り”地獄で練り餌が持たない…

翌日は風向きが変わる予報だったので、夏泊半島西岸の浦田漁港へ。この日のポイントは前日とは違い、港内でも水深約10mとやや深い。底層まで届くことを重視し、仕掛けは3Bをチョイス、合わせてコマセも練り込んで粘りを出した。前日よい釣りが出来たので、あまり“餌取り”に意識がなかったが、1投目からオキアミはおろか、練り餌も持たない。
9時頃から始めて“雑魚”さえ掛からないまま昼が過ぎようとしている。このまま行けばスーパー坊主か?「イヤイヤ、午後には絶対時合が来る」。それを信じて、コマセと手返しを切らさず集中する。13時が過ぎ、14時が過ぎ、15時頃、練り餌に中層でカツカツと極めて小さなアタリが来たが、そのまま練り餌がなくなる。やはりサンバソウやウマヅラハギが下まで追っているのだろか?間もなく、また底から1m程のタナで同様の小さなアタリ。しかも手前のケーソンの際付近で。小さなアタリだったが、多少穂先をビクビク揺らすまでになった。タイミングを見て合わせると、一瞬ロッドに重さが乗り、ドラグからラインが出たような気がしたが、すぐにロッドが戻った。ケーソンの根擦れでハリスが切れたのだ。「今のは一体?」。いずれにしても、アタリが出始めたのは事実。気を取り直してハリスを結び直す。ハリス1号、ハリもチヌバリ1号にダウン。食い込み重視の昨日同様丸呑み作戦開始だ。狙い場所はケーソンから離れたやや沖目に変更。コマセを10杯程先打ち。クロダイだとすれば、根ズレによるバラシは時間帯的にも避けたい。また、過去の経験から、ケーソンなどの障害物から離れた場所や、浮いて捕食しているのは良型が多い、というのも変更理由だ。

最初で最後のクロダイは50㎝オーバー!

練り餌はレッド、ブラウンのマーブル、先打ちコマセの10m先に投入した。ラインは張ったまま出来るだけゆっくりと沈下させ、後打ちコマセと合うよう調整する。間もなく着底かという時、またあの小さいアタリ。ラインから穂先を通してカツカツと伝わる。少しテンションを緩めて再度張り、穂先を曲げるアタリになったところで合わせた。ドラグから凄い勢いでラインが出る。ハリスは1号だ。スピードと水圧で簡単に飛びそうだ。「良型マダイか?」。その割にスピードはないが、重量感は半端ない。まずは慎重にいこう。何とか走りが止まったところで巻きに入るが重い。チヌ竿0.6号が満月だ。少しずつ距離を詰めるが、それを嫌ってまた走る。そんなやり取りを何度か繰り返した後、勝負をかけて浮かせにかかるが何とも重い。途中グングンと独特の引き。恐らくクロダイだろうと思う。やっと海面にウキが見えてきたが、今度はケーソンに突っ込んでいく。中々賢いヤツだ。これをうまくかわすと徐々に姿が見えて来た。良型は間違いなさそうだが、まだ海面下2mにいる。ロッドが曲がり切っているので、中々海面に浮かなかったが、やっと目視出来た。「間違いなくクロダイだ。しかもデカイ!」。何とかタモに収まり、心地よい疲労感が右腕に残った。
早速メジャーで実測すると50.5cm。昨日以上の充実感と達成感に包まれた。あの小さなアタリの主がすべて大型クロダイかどうかは判らない。しかし、その可能性を視野に入れて、今後の釣行に役立てたい。残念ながら取り込み直後に潮が変わって、釣り座正面には流木やゴミが滞留。結局、ここで納竿となった。自然の恵に感謝し、またの再会を期待しつつ、この日の唯一のクロダイをリリースして帰路に就いた。

※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

長谷川 一也
メインフィールドは青森県。クロダイ(チヌ)や真鯛等との出会いを求めて、東北エリアを主な活動範囲にしている。フカセ釣りをメインに、さまざまなジャンルの釣りを楽しむ。射手座、O型 ウキ工房、マルキユーフィールドテスター。
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