練り餌はレッド、ブラウンのマーブル、先打ちコマセの10m先に投入した。ラインは張ったまま出来るだけゆっくりと沈下させ、後打ちコマセと合うよう調整する。間もなく着底かという時、またあの小さいアタリ。ラインから穂先を通してカツカツと伝わる。少しテンションを緩めて再度張り、穂先を曲げるアタリになったところで合わせた。ドラグから凄い勢いでラインが出る。ハリスは1号だ。スピードと水圧で簡単に飛びそうだ。「良型マダイか?」。その割にスピードはないが、重量感は半端ない。まずは慎重にいこう。何とか走りが止まったところで巻きに入るが重い。チヌ竿0.6号が満月だ。少しずつ距離を詰めるが、それを嫌ってまた走る。そんなやり取りを何度か繰り返した後、勝負をかけて浮かせにかかるが何とも重い。途中グングンと独特の引き。恐らくクロダイだろうと思う。やっと海面にウキが見えてきたが、今度はケーソンに突っ込んでいく。中々賢いヤツだ。これをうまくかわすと徐々に姿が見えて来た。良型は間違いなさそうだが、まだ海面下2mにいる。ロッドが曲がり切っているので、中々海面に浮かなかったが、やっと目視出来た。「間違いなくクロダイだ。しかもデカイ!」。何とかタモに収まり、心地よい疲労感が右腕に残った。早速メジャーで実測すると50.5cm。昨日以上の充実感と達成感に包まれた。あの小さなアタリの主がすべて大型クロダイかどうかは判らない。しかし、その可能性を視野に入れて、今後の釣行に役立てたい。残念ながら取り込み直後に潮が変わって、釣り座正面には流木やゴミが滞留。結局、ここで納竿となった。自然の恵に感謝し、またの再会を期待しつつ、この日の唯一のクロダイをリリースして帰路に就いた。