釣りビジョン

2012.7.1号

長七丸・千葉県江見港
千葉県・南房総、江見沖のスルメイカ&アジ・サバ

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関東の梅雨明けも間近に迫り、夏のスルメイカ釣りが本番を迎える。今シーズンは、ヤリイカシーズンが大幅に延びた!?影響か、ムギイカ(スルメイカの幼体)がパッとせず、いきなりスルメイカが釣れ始めたが、未だにムラな成績が続いている。そんな中、江見沖では比較的安定した釣果が上がっている。江見『長七丸』では、前半アジ・サバ、その後にスルメイカを釣るリレー方式の乗合船を出している。梅雨の晴れ間を狙い6月27日に出掛けた。

日の出は沖で見るもの!

久し振りに水平線に昇る朝日を眺めた
「午前3時半に港集合!4時出船」。外房地区では、当たり前のように行われている“夏時間”だが、東京から2時間以上掛かる立地を考えると、“マニア”のための出船時間の印象が拭えない。しかし、外房地区では、昔から「日の出は沖で見るもの」と言った風潮があるのも事実。たまには沖で日の出を見るのも悪くはないと、思いっ切り早起きして出掛けた。
港に到着すると、既に何台かの車が先着しておりビックリ。時計は3時10分を回ったところだ。港の入り口を入って右側の駐車場に車を停めた。少々雲は多いが、雨の心配はなさそうで風もほとんど吹いていない。3時半になると、『長七丸』の繁田浩行船長が軽トラで現れた。クーラーボックスなどの大きな荷物は反対側の船の係留場所まで運んでもらえる。乗船者は小生を含め6人。

この日舵を握った繁田船長
この日乗った「第三長七丸」。総員6人の“大名釣り”

1時間足らずで20尾以上のアジ・サバ

仕掛け図
「最初は、これでアジ・サバを狙うよ」と繁田船長から、フラッシャーサビキを渡された。イカ道具の仕掛けの部分だけを換えて使うと言う。「郷に入れば郷に従え」である。言われるままにセットした。
定刻に港を出た船は、ナギの海をのんびりと走り出した。東の空には丁度太陽が顔を見せ、少々雲は多いものの久し振りに水平線に上がる日の出を眺めた。これも早起きしたお陰であり、早朝出船の“恩恵”でもある。
30分足らずで釣り場に到着。「70~80mでやって下さい」。いきなり船長からアナウンス。コマセも付け餌も必要ないので、早々オモリを放り込む。電動リールのカウンターが70mを超えたところで止めると、待ってましたとばかりに穂先がガンガン引き込まれた。少しタナを上げて待ってみたが、引き込み方を見ていると、既に何尾もハリ掛かりしている感じ。すぐに巻き上げを開始すると、竿全体を揺さぶるような強烈な引き込み。海中を覗き込むと、5本バリに少なくとも3、4尾、それもほとんどが30cm前後の大型アジが掛かっていた。1尾ずつ抜き上げに掛かると、2尾程口が切れて海面から上がった瞬間にバレてしまった。結局、2尾だけを取り込んだが、次の投入でも同じようにアッと言う間にガンガンと来た。時折、40cm級のサバが掛かって右に左に大走りして船中大騒ぎになったが、1時間足らずの間に全員が20尾以上のアジ・サバを釣り上げた。“お土産”には十分な量である。

アジ、アジ…

いきなりズシッと手応え!

午前6時前に「イカを狙います」と言いながら、船長は船を移動させた。とは言ってもアジ・サバ釣り場から10分も走らない距離。陸の景色は何も変わらない。「90mから下。水深は120mです」と言う船長からのアナウンスにオモリを放り投げた。投入器から6本のツノが飛び出し、いよいよ“本命”のスルメイカ釣りである。指示ダナ通り、100mを超えたところで止めて2、3度竿を煽ってみると、いきなりズシッと来た。そのまま仕掛けを緩めないように余分な道糸を巻き込み、竿掛けにセットして電動リールのスイッチを入れた。上がって来たのは、胴長23、24cmのまずまずサイズのスルメイカが2尾。幸先良いスタートに気を良くしたが、潮の流れが相当に速く、道糸がトモ(船尾)側に流れていく。それでも2投目、3投目にも1尾ずつながらスルメイカが釣れた。

イカ、イカ、イカ…

大ベテラン、150号のオモリも苦にせず!

御年79歳の能城さん
この日は、右舷の大ドモに座れたため、潮の流れの速さもそれ程気にはならなかったが、150号のオモリをシャクリ上げ続けるのは、ちょっとした重労働だ。ところが、小生の反対側、右舷の大ドモに座っていた小柄な釣り人は、苦も無くそれを続けていた。どう見ても還暦の小生より大分年配と感じ、歳を聞いてビックリ。御年79歳との事。「えっ、来年80歳ですか」。思わず聞き返してしまった。『長七丸』の常連さんで能城(のうじょう)貞夫さん。君津市から毎週のように来ていらっしゃるとの事。「ずっと農業をやっているから、少しは体が鍛えられているかも知れませんね」と、穏やかな口調で話してくれた。「我もかくありなん」と思わずにはいられなかった。

スルメイカの“戦果”を船上干しに

繁田船長「まだまだ釣れる」!

その後も潮の流れは速いままで、その内、北東風も吹き出して来た。決して好条件とは言えなかったが、10時20分に納竿するまでに26尾(船中トップは29尾)のスルメイカが釣れ、前半のアジ・サバと合わせ、十分過ぎる釣果に恵まれた。しかし、繁田船長は、「こんなんで取材になるの」と大不満。裏を返せば「まだまだ釣れる」と言う事だ。“夏イカ”は、まだ始まったばかり。船長の言葉は、「今シーズンは期待出来る」を裏付けるもの。
たまには早起きして水平線に上がる太陽を眺めてみてはいかがだろう。

(野口 哲雄)

(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
千葉県江見港『長七丸』
〒299-2842 千葉県鴨川市江見青木27-3
TEL:04-7096-0474 (定休日:第3土曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
長七丸ホームページ
出船データ
スルメイカ船
料金:10,000円(氷無料)
釣具レンタル:無料(電動リールのみ2,000円-)
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