オフショアマガジン
2012.8.15号

渡辺丸・千葉県江見太夫崎港
豪華な“おまけ”付き、千葉県・江見吉浦沖のスルメイカ!

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「1粒で2度美味しい!」。その昔、某菓子メーカーがCMで使用したフレーズだが、沖釣りの世界でもよく使われるが、中々実態が伴っていない場合が多い。しかし、現在、千葉県・江見吉浦『渡辺丸』が出している船は、正真正銘、フレーズ通りの乗合船。“行きがけの駄賃”として狙う釣り物は、何と超高級魚・ムツ(クロムツ)。潮具合にさえ恵まれれば2ケタも望める。メインのスルメイカの釣果も上昇気配と聞き、9日に出掛けた。

夏でも超の字が付く高級魚・ムツ!

以前は、ムツはクロムツと呼ばれていたが、1990年代?にムツとクロムツは、同族別種であるとされ、以来、ムツとクロムツは別種として扱われている。しかし、見分け方は非常に難しく(側線の数が微妙に違う等)、釣り人が区別するのはほとんど無理。関東周辺の沿岸部で釣れている物は大半がムツと思われるが、クロムツが交じっている可能性も少なくない。食用魚としては、クロムツの名で出回っている事が多く、市場価格にも差はない。旬は、晩秋から春先になるが、今の時期(夏季)でも1㎏当たり1500~1600円とか。旬が外れている時期にこの価格が付くのは、超の字が付く高級魚と言ってもいいだろう。
最近では、日中にムツを狙っている船宿はほとんどなく、ここ10数年、ムツを釣った記憶がない。そのため、「朝方、ムツを狙う」と聞き、“本命”のスルメイカよりもそっちに惹かれて出掛けた-と言ったら船長に怒られそうだが…。

いきなり30cm級のムツが2点掛け

この日舵を握った渡辺英雄船長
午前4時、定刻に河岸払いした船は、港の真沖に向かって15分程走った所で「いいですよ。やって下さい。水深100m前後!」と、舵を握る渡辺英雄船長。早速、船長お勧めの7本バリ・フラッシャーサビキを沈めた。するとオモリが底に着き、糸フケを取った瞬間、ククッと竿先に明確なアタリ。竿先を少し持ち上げるようにすると、また、ククッと来た。電動リールのスイッチをONにして巻き上げ開始。竿先が小気味よく引き込まれ、上がって来たのは30cm程のムツが2尾。トレードマークの細かく鋭い歯がビッシリと並んだ口からハリを外し、出来るだけ素早く仕掛けを沈めた。

小1時間で5尾のムツ

時計を見ると、4時30分。8月も半ばを迎え、随分と夜明けが遅くなって来た。東の水平線に陽が昇り出したところだ。「明るくなっちゃうと喰わなくなりますよ」と言う船長の言葉が耳に残っており、久々に対面したムツの観賞は後回しにしてさっさと仕掛けを沈めた。今度もオモリが着底して、間もなくククッとアタリ。しかし、2尾目のアタリは中々来ない。あまり放って置くと、鋭い歯でハリスが切られてしまうので、巻き上げ開始。結局、5時前までの小1時間で5尾のムツ(28~32cm)と35、36cmのアジ3尾を釣り上げた。この日は潮が真っ青に澄んでいる上に、流れも速かった。それでもこの釣果なら大満足だったが、前日は潮具合がよかったと言う事で、何とムツの釣果は4~15尾(20~37cm)。「“行きがけの駄賃”、“おまけ”、“お土産”」と船長は言っているが、これだけでも乗合船が成立してしまう釣果である。

7本バリのフラッシャーサビキ
この日釣れた5尾のムツ

メダイとスルメイカのダブル!

勝浦沖はシケ模様の上、潮が速かった
「喰わなくなりましたから、スルメイカに行きますよ。勝浦方面に走ります」と船長からアナウンスがあり、沖目に出て40分程走った。途中から北寄りの風が吹き出し、ウネリと波でシケ模様になってしまった。おまけに潮の流れが速く、150号のオモリでも真っ直ぐに仕掛けが下りて行かない。それでも水深220mラインで竿先を押さえ込むようなアタリで乗った。ところが、次の瞬間、ガガッとイカではない何かが掛かった。慌てて巻き上げを開始すると、竿先がガンガン引き込まれ、横っ走りしない事からサバではなさそうだ。上がって来たのは、何と40cm級のメダイ。ラッキーな事にメダイは5本ヅノの2番目に掛かっており、一番下のツノに乗っていたスルメイカも無事上がって来た。しかし、次の投入でも全く同じ現象が起き、今度はメダイだけが上がって来た。 その後、潮の流れは益々速くなり、メダイの唇だけがイカヅノのカンナに残って上がって来たりで、まともにイカ釣りが出来なくなってしまった。

胴長35cm級の良型スルメイカ

「こりゃ駄目だね。ウチの沖に戻りましょう」と船長は、朝方にムツを狙った海域に向かって船の舵を切った。江見吉浦沖まで戻って来ると、海はベタナギの状態になっていた。しかし、潮色は相変わらず真っ青に澄んでおり、潮の流れも速い。既に11時を過ぎており、普段なら納竿時間だが、「少し“残業”しましょう」と船長。魚群探知機を睨みながら船を回し始めた。
「はい、やって下さい。水深220m。200mから下ですね」と言う船長の合図に仕掛けを沈めた。オモリを着底させて40、50cmの間隔でシャクリ上げてくると、一発で乗った。この日は貴重なスルメイカである。竿を手に持って慎重にリールを巻いて来ると、胴長35cm級の良型スルメイカが1尾釣れて来た。しかし、2投目は空振り。相変わらず潮の流れは速く、真っ青な海中に斜めに道糸が沈んでいく。

悪条件でも良型スルメイカがボツボツ釣れた

最後の最後に3点掛け、4点掛け

釣り人の“特権”である沖漬けを作っている人もいた
船が流し替えられた1投目、オモリが着底と同時にズシッと乗った。少し巻き上げて竿先を持ち上げると、追い乗りした感触が伝わって来た。慎重にリールを巻き始めると、この日最高の手応え。海中を覗き込むと3尾のスルメイカが掛かっているのがハッキリ見えた。胴長25、30、35cmの3尾を無事取り込んだが、同じ流しで左舷のミヨシ側に座っていた人も4点掛けを達成した。その後、1尾ずつ2回釣り上げたところで“残業時間(凡そ1時間)”も終わり、納竿となった。
勝浦沖のシケは誤算だったもののムツ5尾にスルメイカ6尾、それに大アジ3尾にメダイ2尾の釣果は十分に満足な成績。条件のいい日には、ムツ2ケタ、スルメイカ30~40尾などと言う釣果も期待出来る。まさに「1粒で2度美味しい!」乗合船。乗らない手はなさそうだ。
この前半のムツ釣りだが、ほぼ周年釣れる上に、時期によってはアカムツやキンメが釣れる事もあるそうだ。釣果の船長ブログが毎日のように更新されている『渡辺丸』のHPは常に要チェックだ。

最後の最後に3点掛け4点掛け(4尾目が写っていませんが)
アジ3尾にムツ5尾

(野口 哲雄)

(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
千葉県江見太夫崎港『渡辺丸』
〒299-2866 千葉県鴨川市江見吉浦128
TEL:04-7096-0390
定休日:第3土曜日
詳細情報(釣りビジョン)
渡辺丸ホームページ
出船データ
スルメイカ・クロムツ船
料金:10,000円(氷付き)
釣具レンタル:貸し竿・リール(手巻き・電動・アコウ用電動)無料
※料金等は取材当時のものとなります。出船時間や料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては釣り船までお問い合わせください。
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