釣りビジョン

2012.12.1号

こなや丸・千葉県長浦
東京湾奥、千葉県・長浦沖“LTアジ”は数より型!

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千葉県・長浦『こなや丸』ではほぼ周年、長浦沖~木更津沖の水深10~20mを釣り場にLT(ライトタックル)でアジを狙っている。この周辺は居付きのアジが多く、常時脂が乗っており丸々と太っている。オーナーの進藤通孝さんは「湾奥で育ったアジに的を絞り、数より型狙いに拘って釣らせています」と、胸を張る。アジ船の舵を握る小沢一滋船長も「湾奥で釣れるアジは“一級品”」と太鼓判を押す。11月16日に出掛けた。

午前船の朝まづめ、午後船の夕まづめが入れ喰いタイム

LTアジ船は、5時30分出船(10時30分納竿)の午前船と、午後1時出船(日没納竿)の午後船で出ているが、出船時間は季節により若干変更があるので、予約の時に要確認。厳寒期に向かうこれからの時期、朝が苦手な諸兄には、ゆっくり出掛けられる午後船は有難いはず。ただし、朝まづめ、夕まづめが入れ喰いタイムになる事が多いが、どちらに「分」が有るかは、その日の状況で違うので注意が必要だが…。

仕掛け図
コマセはイワシミンチ
付け餌はアオイソメ、タラシは1cm程度

定刻よりも30分早く出船

アクアラインを木更津・金田ICで降り、16号線を千葉方面へ15分程走ると、右手にグリーンの2階建てビルが目に飛び込んで来る。長浦港『こなや丸』の待合所兼店舗だ。午後船に乗るべく11時半頃に到着。店の前にある午後アジ船の番号札は3番、先客が2人いると言う事だ。事務所で受け付けを済ませ、乗船の番号札を貰って港に向った。この日の午後船の乗船者は、我々2人を含め7人。全員揃ったと言う事で定刻より30分早く12時半に出船した。

30cm前後の幅広肉厚が揃う!

30cm級の良型アジ連発に興奮!

11月中旬にしては珍しい程風も無くポカポカ陽気。左手の火力発電所煙突から青空に昇る白煙を見ながら南下。心地よい海風を頬に受けながら快走し、程なくポイントの木更津沖に着いた。船長から、「魚が小さいから餌の青イソメは小さく付けて下さい。良いですよ」との合図で一斉に仕掛けを投入した。底から正確にタナを取る為、水深計付きの小型リールを竿にセット。最初のポイントは水深17m。50cm底を切り、コマセを撒きながら2.5mにタナを合わせた。2度、3度コマセを詰め替え、竿を振ると、竿先が突然海面に突っ込んだ。慌てて竿をつかみ慎重にやり取り、海面に姿を見せたのは30cm級と25cm級の一荷(2尾)。「えーっ!これが小型?」。一瞬首を傾げてしまった。「型が出ましたよー」と船長。船内が急に活気付いた。何人かに良型のカサゴが上がったが、他の人は“本命”のアジはパッとしない。何故か私だけアタリが続き、その流しだけで5尾をゲット。水深計付きリールが功を奏したのだろうか。

脂の乗り具合は北海道の秋刀魚と同等

水深計付き小型リールと、6対4調子の柔らかい竿で絶好調!

実はこの日、竿を新調して来た。事前に状況を知っておこうと、『こなや丸』の過去の記事を開いたら、2010年の12月15日号に「少々竿が硬いのでアジの口切れを心配…」とあった。私は、従来からマルイカ竿をLTアジ釣りに使っていたが、木更津沖は、水深が浅いので、「30cmオーバーのアジが掛かったら口切れしてしまうのでは?」と不安になり、近くの釣り具店に直行。竿は扱い易い短めの170cm、大型アジでも竿で溜められる6対4調子、30~40号ビシに対応可能なオモリ負荷20~40号と決めて探した。現実に、オフショアマガジンの一文が“武器”になった。アタリが遠のくと船長は小まめに移動を繰り返す。場所替えの度に2尾、3尾とアジは飽きない程度に釣れてくる。上がって来るのはどれも30cm級だ。新調の竿とメーター付きのリールは十二分に威力を発揮した。

水深が浅く魚が強い。“LT”の柔軟性は利に適っている

大アジ、大サバの入れ喰い!

時折、アジに交じって丸々太った40cm級のサバも釣れてくる。この時期のサバは脂が乗っているので大歓迎。私も3尾ゲットした。一時、アジ、サバ交じりの入れ喰いになった。30cmオーバーのアジが掛かっても、サバかと思わせる竿の曲りで、口切れを気にしながらのやり取り。掛かり所が悪いと抜き上げる時にバラしてしまう。私も3回バラしてしまった。トモに座った人は玉網を使い慎重に取り込んでいた。

松輪の漁師が獲りに来る湾奥の絶品サバ。脂の乗りが半端ではない!

夕まづめの入れ喰いタイム

圧巻だったのは午後4時過ぎ。船長が「夕まづめの入れ喰いタイムが来ましたよー!手返し良く頑張ってよー」。アナウンスが終わるのを見計った様に、アジの入れ喰いタイムが始まった。水深は10mと浅い。私にも一荷を含め5連続ヒット。6投目、海面まで上げて来て痛恨のバラシ。リズムが狂ったのか7、8投目は空振り。気を取り直し、ビシに詰まったコマセを掻き出し、新しいコマセを詰めて投入。魚が上ずって来たようなのでタナを3mに上げてみた。直ぐ結果が出た。このタナでは20cm前後の小型も交じったが、30cmオーバーも釣れるので気が抜けない。船内は“戦場”と化した。興奮の30分が過ぎ4時30分、太陽が西に傾き、富士山がクッキリ夕闇に浮き上がってきた頃、納竿になった。

夕まづめの入れ喰いタイム!

最大35cmを含め32尾の好釣果!

竿頭は、恥ずかしながら取材を放ったらかして、アジ釣りに専念した小生で、脂乗り乗りの18~35cmのアジを32尾。それに大サバ3尾。充分満足の好釣果だった。私の右隣の人は船中2番手で24尾。「充分満足でした。おかずになった」と満面の笑みで話してくれた。大ドモ(船尾)の人は、「良型アジを10尾釣ったけど中型を数釣りたかった」と笑いながら下船して行った。「湾奥のアジは、秋から冬にかけても浅場で釣れ、脂が乗っていて最高!」と言うのが定評。
小沢船長は、「12月一杯はアジ船を出します。その後は、潮温次第ですが1月半ばころまでは狙えるでしょう」との事。10~17mの浅場で30~35cmの脂の乗った大型が釣れる木更津沖のアジ。是非出掛けて頂きたい。

アジ!アジ!アジ!

自分でも出来るアジの干物!

湾奥のアジは、刺し身、タタキ、握り寿司等々何にしても美味しいが、沢山釣れたら「開き(干物)」を勧めたい。腹から中骨に沿って皮一枚残して開き、歯ブラシなどで血合いを拭って7%の塩水(1リットルの水に70gの粗塩)に30分浸してから、天日干しする。今の季節なら空気も乾燥しているので、風通しの良い場所で5、6時間干せば出来上がる。表面が乾けば十分だ。乾かし過ぎない事も大事なポイント。焼いた時、皮側に脂がジットリ滴ってくるのがうま味(脂)の証拠。身離れも良く、家族から大絶賛される事請け合いだ。沢山作ったらラップに包み冷凍保存。味は全く変わらない。

(釣りビジョンAPC・飯妻 武夫)

今回利用した釣り船
(船宿)千葉県長浦『こなや丸』
〒299-0265 千葉県袖ヶ浦市長浦1-1-111
TEL:0438-62-2707(定休日:毎週火曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
こなや丸ホームページ
出船データ
アジ予約乗合
午前船5時30分集合 6時出船 12時帰港
午後船12時30集合 予約の人数が揃い次第出船 17時30帰港
午前、午後とも乗り合い料金=7500円(コマセ、付け餌、氷付)
貸しビシ=無料。ただし、紛失した場合は1500円。
女性5500円、中学生まで3500円
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