オフショアマガジン
2013.6.1号

福丸・福井県小浜新港
福井県・若狭湾の夜釣りのスルメイカ絶好調!!

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[動画]クーラーにピッタリ収納できるイカ用トロ箱。釣り人のオリジナルだ
福井県・小浜の船は一年中イカを釣りに出る。今のターゲットは夜のスルメイカだ。今シーズンは“ムギイカ”サイズが少なく、食べ頃のボリュームのあるイカがダブル、トリプルで数も釣れて楽しめている。小浜新港『福丸』も、午後から出る半夜便、24時出船の深夜便の2部制でピストン出船、連日スルメイカを好調に釣り上げている。5月17日、午後3時出船の半夜便に乗り込んだ。

「海はナギやし、半夜便と深夜便を通しで乗っていきなよ!」

週末の天気予報がよくなかったせいか、金曜日でも半夜便には15人の釣り客が乗り込んだ。午後3時に出船して、予定では午後11時45分に帰港する。この日は帰港後24時から深夜便がピストン出船、翌朝の6時頃、小浜新港に帰港すると言う。 「海はナギやし、半夜便と深夜便を通しで乗っていきなよ!」と、心やさしい(?)古谷・大船長。「ボクも両方乗りますよ!」とは付き合いのいい古谷研二・若船長。結局、安全面を考え、半夜便は大船長が舵を握り、朝までの深夜便は若船長が乗り込む事になった。
「福丸」は、全長20m、18tの船なので、15人乗ってもゆったりと釣りができるのがいい。釣る気満々のイカ釣りファンを乗せ、半夜便はゆっくりと小浜新港を抜け出した。
海上は少々肌寒かったが、波も風もなく、港から近い小浜沖のポイントへ真っ直ぐに向かった。日が沈むまではアジのサビキ釣りの予定だが、「今年は水温が低いせいか全般に魚の食いが遅れているようだ」と大船長。確かに、釣り開始後もアジはさっぱり姿を見せず、ときどき竿を曲げたのはガシラ(カサゴ)やハタなどの根魚だけ。型がよいので、それはそれで嬉しいゲストなのだが…。
例年なら、これからの時期は日没までの一時でアジの“お土産”が釣れる。集魚灯のスイッチが入ると「海面近くまでアジが浮いてきて、船の周りをグルグルとまわって釣れ盛る」(船長)そうだが…。まだ、時期が早いのかも…。アジを釣り続けるか?それとも本命のイカを釣るか?この日はそんなことを思い悩むこともなく、全員がスルメイカ釣りに転向した。(取材後はアジもボツボツだが釣れ出してきている)
「福丸」は60KのLED集魚灯を搭載した大型船。LEDライトは消費電力が少ないので、省エネの釣りができると言う。燃料代の高騰に抗議して、先ごろ全国のイカ船が一斉休漁した事は記憶に新しいが、遊漁船の経営も最近は大変なようだ。

日没までは小浜沖でアジのサビキ釣り
水平線に沈む太陽、さあ!イカ釣り開始だ
タナを決め打ち、スルメの力強いアタリが出る

食べ頃サイズがダブル、トリプルで上がる

真っ赤な夕日が水平線に沈み、集魚灯の光が海面を照らし出す。光が海中にまわるまでには、少々時間がかかる。水深は100m程。船長は「50~60mを探れ」とアナウンスする。電動リールの巻上げ音がする度にカメラを構えるが、イカが上がった様子はない。
暫くして、あちらこちらで銀色の水柱が上がりだした。どうやら心配なさそうだ…。釣り人のスイッチも完全にON。スルメイカのサイズは船長から聞いていた通り、極端に小さいものはいない。かと言って、大きいものでもまだまだ柔らかくて美味しそうな、食べ頃サイズだ。密閉容器に沖漬けのタレを用意して来ている人もいる。墨を吐かせてから、容器に放り込んでいく。手馴れたものだ。
仕掛けは、浮きスッテとプラヅノを組み合わせて釣っていた人もいたが、この日は浮きスッテ3号のブランコ仕掛け(胴付き仕掛け)にイカの反応がよかったようだ。
時間を置いての追い乗りはあまりしてこないが、1度にダブル、トリプルで乗ることは度々あった。タナを決め打ちして、誘いをかけ、アタリがあればとりあえずスローで巻き上げる釣り方が釣果を伸ばしていたようだ。 若狭の遊漁船は大抵自動碇巻き上げ機を搭載している。船長が船室から出ることなく、アンカーを上げたり降ろしたりできる便利な機械だ。「福丸」はこの自動碇巻き上げ機の横に、シーアンカーの巻き上げ機も搭載している。こちらは自動ではないが、船長の労力はかなり軽減される。シーアンカーを巻き上げ、ポイント移動を何度か繰り返すうち、この日のハイライトを迎えた。

全体的に調子よく釣れだした
イカ専用のトロ箱を製作していたイカマニア
クーラーにピッタリ収納できるサイズのザルに入れてからクーラーへ

大型サイズに思わずニンマリ
このサイズは間違いなくやわらかくておいしい!
仕掛け図

釣れ出したら止まらない! 朝帰りの深夜便も出船中

「入れ食いや!」と常連さんが上機嫌で仕掛けを巻く。イカ釣りなので正確には「入れ乗り」だが、LEDの光に吸い寄せられたスルメイカの群れは活性が高く、アタリも明快だ。決め打ちしたタナで、スッテをフワフワ躍らせてそっと止めて待つと、待ってましたとばかりにスッテをガンガン抱きにくる。「釣れているときに釣れ」は、あらゆる釣りの鉄則だが、イカ釣りファンも釣れ出すと近寄り難いほど黙々と釣り続ける。この集中力は釣りというより漁に近い感覚だ。ミヨシ(船首)でトモ(船尾)で、勢いよく水柱が上がる。バケツがスルメイカでみるみるうちに埋まっていく。イカがバケツの中で立ち泳ぎを始めると、クーラーにピッタリ納まるザルやオリジナルトロ箱などにイカを移し入れ、大切にクーラーに収納する。イカファンは沢山イカが釣れても決して粗末には扱わない。“イカ魂”とでもいうのだろうか…。この余裕がカッコイイのだ。
釣れているときは時間の経つのも早い。あと1時間で日付けが変わる頃になると、さすがに“戦い”に疲れて来たのか、釣り上げるピッチが落ちて来た。クーラーに釣り上げたイカの数を数えながら入れていく人も目立つ。
終了5分前。まだまだ“燃焼中”のハイテンションのイカファンもいる。釣れ出したらもうどうにも止まらない、といった感じだ。ほとんどの仕掛けが上がっているせいか、5本のスッテに4尾のイカが付き、ようやく納得して半夜釣り終了。「福丸」は深夜便の釣り客が待つ小浜新港目指して、夜の海を急いだ。
帰港して着岸すると、船着場は車で埋まり、釣り人でごった返していた。重そうにクーラーを降ろす人と入れ替わりで、元気いっぱいの釣り人が船に乗り込んで来る。船長もバトンタッチしてヤル気満々の若船長がてきぱきと出船の仕度を整える。スムーズに釣り人が入れ替わり、「福丸」は再び真っ暗な海へ夜光虫の光の帯を残して沖へと走り去った。
翌朝、8時30分。「さっき港へ帰ってきたところです。深夜便もスルメは好調に釣れました。トップでスルメイカを60~70尾と言うところですかね」。墨で汚れた船体をブラシでこすりながら、若船長が明るく答えた。今のところ、全員に平均して釣れているのがいい。もう少し先になるが、今後は人気のあるマイカ(ケンサキイカ)釣りも始まり、若狭の夜イカ釣りは本番を迎える。

深夜釣りから帰ったばかりの古谷研二・若船長
「福丸」はLED60K搭載船
全長20m、18tの大型乗合船「福丸」

(上野 英輝)

今回利用した釣り船
福井県小浜新港『福丸』
TEL:0770-53-0246
詳細情報(釣りビジョン)
福丸ホームページ
出船データ
(料金)
五目&スルメイカ乗合船
1人1万1,000円(餌・氷別)
(交通)
舞鶴若狭自動車道小浜西ICからR27で敦賀方面、後瀬山トンネル出て小浜新港へ。
カーナビ検索は「若狭フィッシャーマンズワーフ」で。
電車はJR小浜駅からタクシーで5分。
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