オフショアマガジン
2013.11.1号

仙正丸・兵庫県須磨浦
“ドラゴン”出没注意!!テンヤで釣る大阪湾のタチウオ

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大阪湾のタチウオ釣りはテンヤ釣りがメイン。魚の頭部のようなオモリと大きなハリとが一体となったタチウオテンヤに、イワシなどをまるごと1尾ハリの部分にステンレスワイヤーで巻き付け、アタリが出たら大きくシャクってフッキングさせる釣りだ。胴付き仕掛けやテンビンを使った繊細な餌釣りでもなく、ジギングとも違う豪快な釣りだ。釣り人たちが「ドラゴン」と呼ぶ大型タチウオがヒットしようものなら、「何が釣れたの?!!」とビックリするほど強烈に締め込んで、シビれる釣りが味わえる。「郷に入れば郷に従え」言うやおまへんか。そんな顔せんと、関西流のタチウオ釣り、まぁ~いっぺんやってみなはれ!!

タチウオテンヤでよい人は“指3~5本”を10尾ほど

夏場は海水浴客でごった返す兵庫県・須磨海岸だが、今は静けさを取り戻し、やさしい波が打ち寄せる浜に戻った。『仙正丸』は須磨浦の海水浴場に突き出た堤防から出船している30人乗りの大型乗合船。JRの須磨駅から船着場まで、歩いて5分ほど。電車で釣行する人も結構いる。10月までは6時出船だったが、11月からは“冬ダイヤ”で運航。午前6時30分に出船する。電話で予約時に、○時○分にJR須磨駅に着く電車で行くと伝えておけば、船長がちゃんと待っていてくれる。
『仙正丸』が今狙っているのはタチウオ。タチウオテンヤを使用した釣りで、よい人で“指3~5本”クラスが10尾ほど。今年は潮温や潮流の関係からか、釣果が安定していない。よい日もあればサッパリの日もある。これは須磨沖に限ってではなく、大阪湾全体がこういった状況で、各釣船の船長たちも毎日が真剣勝負だ。
10月22日は27号、28号のアベック台風の影響が出始める直前で、海上はベタナギ。天候にも恵まれ、季節外れの汗ばむほどの陽気だった。この日の出船は6時を少しまわった頃。電車釣行の釣り人を駅まで船長が車で迎えに行き、乗船したところで須磨沖に向けて出船となった。

出た~!!124cmのドラゴン!!
指5本サイズ!!
仕掛け図

電動リールで底から20mぐらいの間を探る釣り

台風で海がシケる前に…というわけか、須磨沖に集まったどの船にも沢山の釣り人が乗り組んでいた。タチウオ釣りは東西を問わず、晩夏~冬の人気の釣りだ。『仙正丸』には平日にも関わらず、20人近い釣り人が乗船していた。釣り方は全員、タチウオテンヤを使用した釣り。テンヤは40号で統一。餌は冷凍イワシ。乗り合い料金に2パックの餌の料金が含まれている(3パック目からは1パック300円)が、サンマなどを持参している人もいる。ポイントは現在のところ、須磨の真沖。港からは15分もあれば到着する近場なのでラクチンだ。ポイントの水深は45~80mほど。底は主に砂泥地。タチウオは魚探に反応が出にくい魚で、ベイトの反応や船長のデータを基に船を流していく釣り。水深はそこそこあるが、手巻きリールでもやれない事はない。この日は全員が電動リールを使用していた。
テンヤに餌のイワシを付けるコツは、ハリに真っ直ぐになるようにイワシを付け、頭の硬い部分をワイヤーで強めにしっかりと巻いて固定し、腹の部分まで巻いて折り返し、テンヤのハリかオモリにワイヤーの端を止める。尾までワイヤーでグルグル巻きにすると、尾の部分が動かないためアピール度が落ちる(餌持ちはよいが…)。
釣り方はカンタン!!ビギナーでもすぐに出来る。まず、船がポイントに着いてすぐの投入なら、とりあえずテンヤを底まで落とし込んてみる。そして、素早く5mほど巻き上げる。この時、テンヤが潮に流されて道糸があまりにも斜めに走るようなら、水深の半分くらいまで一旦巻き上げ、サミングしながら出来るだけ竿下近くにテンヤがくるように投入し直す。こうすることでアタリが出やすくなり、オマツリも減り、効果的な合わせが可能になる。次に、糸フケを取ってテンヤを底から5mほど切り、電動リールの巻き上げスイッチをONに。この時の巻き上げスピードは「最遅」。合わせの動作がなるべく素早くできるように、竿は手持ちにして巻く。思い出したら(程度でよい)時々シャクってテンヤにアクションを加える。フォールで食ってくることもあるからだ。ゆっくり巻いて、底から20mぐらいの間を探る釣り。ジギングのようなシャクリの釣りが有効な日もあるので、数釣っている人の釣り方を見てマネして釣るのも手だ。

「テンヤの方が勝負が早いでェ~!!」

アタリはモソモソと居食いのようなアタリもあれば、いきなり手持ち竿を引き込なような強烈なアタリもある。すかさず、竿を起こして強く合わせることが勝利の方程式。ビックリ合わせや向こう合わせから釣り上げにかかると、バラしてしまうことが多い。タチウオはその名の通り、立ち泳ぎが得意。頭を上にして、上に向かって泳ぎだすと、一瞬フワッと軽くなり、「バレたか…?」と思ってリールを巻くのを止めてしまう。この時に、フッキングしたタチウオの口の部分のハリ穴が大きくなっていて、ハリが外れてハイさようなら!となるのだ。フッキングさせたら、とりあえず無理なゴリ巻きはよくないが、信じて巻き続けること。当然な事だが、バラシを減らすことが好釣果につながる。
タチウオのテンヤ釣りって…「なんだ掛け釣りか」…と侮るなかれ。確かにハリは必要以上にデカイが、ここがこの釣りの面白いところ。タコ掛けのハリほどある大きなハリが、タチウオの口にガッチリとフッキングしているからあら不思議。テンビンや胴付き仕掛けを使用し、ハリスの太さにこだわり、ハリのサイズに気を配って釣るタチウオ釣りもあれば、大きなハリやオモリをムキ出しのままの無謀にも思えるこの釣りが、究極の釣りに思えてくるから釣りは面白い。関西釣り師の「餌釣りは邪魔くさい!!テンヤの方が勝負が早いでェ~!!」という元気な声も聞こえてきたところで、それじゃあやってみるか…ということに。

「よく引くな~」タチウオの強い引きに笑みが…
こちらも重量感のあるドラゴン級!
全員が40号のタチウオで統一。エサの付け方は上の動画を見てください!

「オ~ッ!兄ちゃんドラゴンちゃうか~?」

暫くやってもイメージした通りになかなかアタリが出ない。「こんな釣り方しなくても…」と思いながら釣るのがよくないのか?“信じれば夢はかなう”?
デッドスローで巻き上げていたら、突然!サメか何かに襲われたような手応えでドスン!!と来た。一瞬、オマツリか?とも思ったが、グイグイともの凄い力で引き出した。まさか、これがあのサーベルのようにスマートなタチウオの引きなのか…????
両隣の釣り人から「おっ!来たなぁ~!」、「とうとうやったねぇ~!!」と声を掛けられ、正直メッチャ嬉しい!!思わず出る笑みをグッとこらえて、「よー引くわー!」といつしか関西弁で嬉しさを表現。隣のオッチャンが「オ~ッ!兄ちゃん“ドラゴン”ちゃうか~?」、「“ドラゴン”はどれぐらいのサイズなん?」と聞くと、船長が「いつの頃からか、お客さんが1m20cmを超えたら『ドラゴン』と呼び出したんです」。
上乗りの山チャンがタモ入れしてくれ、カメラを渡して顔出しNGの自分も記念撮影。タチウオの透明な背ビレがユラユラとウネって実に神秘的だ。タチウオ釣りでいつも思うのは、このガラス細工のような美しさは、釣り人しか知らないだろう…と。しかも、背びれをユラユラとウネらせるのは、釣り上げた一瞬だから、釣り人でも気付かずにいる人は多いかもしれない(大分空港のステンレス製のタチウオのオブジェを思い出した)。

この日は平均型がよかった
底から20mぐらいの間を探って食わせる
大物は上乗りの“山チャン”が取り込んでくれる

ドラゴン124cm上がる!!

結局、取材の合間にちょっと試しに竿を出して、“もう少しでドラゴン級”を頭にタチウオを2尾GET!タチウオのテンヤ釣りはチョ~久し振り。「こんなに引きが強かったかなぁ~」と思いながら、釣り時間終了の午後1時で竿を置いた。この日は8尾釣った人がトップで、2人いた。前日は型もイマイチで、数も出なかったらしい。「昨日に比べればずっといいですよ!」と上乗りの山チャン。124cmのまさしく“ドラゴン”を釣り上げた人もいて、「ずっとやってるけど“ドラゴン”は釣った事がなかったんや…嬉しいなぁ~!!」と感激していた。このタチウオ、山チャンのアオリイカの墨で真っ黒に染まった5本の指とピッタリサイズ。サーベルサイズが数釣れるのも嬉しいものだが、こんな大物なら1尾でも嬉しい!きっと思い出に残ることだろう。
南の海から台風が接近しつつあるとは思えないような穏やかな海を走って須磨浦に帰港。『仙正丸』の若女将がおしぼりと缶コーヒーを用意して船着場で待ってくれていた。「昨シーズンはタチウオが春先まで釣れ続いたけれど、今年は果たしてどうなるか…連れ続いて欲しいですよねッ!この釣りのファンは多いので」と辻久信船長。ドラゴンが出没する大阪湾、寒くならないうちに釣行を!

この日はデッドスローで巻き上げて釣る人が多かった
『仙正丸』の辻久信船長(写真は上乗りの“山チャン”が撮影)
『仙正丸』は30人乗り、船着場はJR須磨駅から徒歩5分!電車でも釣行できる

(上野 英輝)

今回利用した釣り船
兵庫県須磨浦『仙正丸』
〒654-0055
兵庫県神戸市須磨区須磨浦
TEL:078-731-4536
交通: 阪神高速・若宮IC出て3つ目の信号の交差点で側道を左折(側道を左折するので左車線に寄っておくこと)。海岸に入るゲートから西(右折)へ600mのところに看板があり、駐車スペースがある。5時15分に船長がゲートのチェーンを開けに来て、駐車証を受け取る。
詳細情報(釣りビジョン)
仙正丸ホームページ
出船データ
料金:タチウオ乗合船は餌2パック付き1人7,500円。
※料金等は取材当時のものとなります。出船時間や料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては釣り船までお問い合わせください。
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