その後も状況に応じてルアーチェンジを繰り返しながら探り続ける。1匹釣り、潮位が下がり始めたタイミングで北原が選んだのは「ナレージ50」だった。「ボトムを叩きながら引いてくるには、この重さがちょうどいい」そう判断してサイズダウンした一手が見事にはまる。狙い通りの展開で本命クロダイがヒット。魚を手にした瞬間には、高校生らしい屈託のない笑顔がはじけた。さらに、ランガンを続けながら、この日見えてきたパターンを検証。「今日はゆっくり見せる釣りのほうが反応がいい気がする」と語り、その仮説をもとに次々と戦略を組み立てていく。感覚だけではなく、すべてのルアーチェンジに明確な理由があるのだ。そして迎えた次の一手。ルアーを樹脂バイブ「キックビート」へ変更すると、なんと1投目でヒット。再び狙いが的中し、この日3匹目となるクロダイをキャッチした。目標達成まで残るはあと1匹。しかし、空には雨雲が広がり始め、残された時間はわずかとなっていた。まさに試合終了間際のアディショナルタイム。焦りと期待が入り混じる中、最後の勝負に出る。するとロッドが大きく弧を描いた。力強いファイトの末に見せた渾身のガッツポーズ。その姿には、この1日を通じて積み重ねてきた試行錯誤と確かな手応えが凝縮されていた。誰に聞いても「桁違いの行動力を持つ」と評される北原。そんな彼は「釣りの世界で生きていく」という強い決意を胸に、高校卒業後は日本各地を巡る釣り旅へ出るという。その先には、まだ見ぬ魚との出会いがあり、新たな発見があり、心を動かす景色が待っているはずだ。その輝かしい一瞬一瞬を、これからどんな形で私たちに届けてくれるのか。若きアングラーの挑戦は、まだ始まったばかりである。