釣りビジョン

日本で楽しむサーモンフィッシング! 新潟県・五十嵐川で初めてのサケを仕留めた!

2023年12月07日公開

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日本では水産資源保護法によって内水面でのサケ釣りが、基本的に禁止されている。でも、秋になると一部の河川では「サケ有効利用調査」として、限定的ながら釣りを認めている。そんなこともあって、日本のサケ釣りは敷居の高いイメージだが、応募して当選したら、普通に釣りができるのも事実。今回は日本でのサーモンフィッシングを楽しむために、新潟県三条市を流れる「五十嵐川」で、サケ釣りに挑戦した!

サケの遡上激減の年に、果たして釣れるのか?

元々それほどサケ釣りに興味があるわけでもなかった。でも2年前の秋、小学校時代からの釣り友達2人に「手取川にサケを釣りに行こう」と誘われて、ホイホイと行ってしまったのが運のつき。石川県の手取川でノーヒットの洗礼を受けたのはまあよしとしても、これで、サケを1匹釣るまではこの釣りをやめるわけにはいかなくなったのだ。昨年は、釣りビジョンマガジンで記事にしようという邪念を抱きつつ、富山の庄川に挑戦。ところがほとんどサケが上ってこなくて、2年連続の敗退。そして今年、新潟の五十嵐川の釣獲調査に当選した。でも、一般の報道でも伝えられている通り、今年はどの川もサケの遡上が軒並み低調で、昨年比の釣獲量は1/4とも1/5とも言われ、あるいはそれ以下という危機的な状況。五十嵐川も例外ではなく、釣りの直前に釣況を電話で確認したら。担当の人が不在で、どうやら別の部署の人が対応してくれた。
「まだ、1日にひとけたしか釣れてないみたいです」
「ひとけたといっても1から9までありますよね?」
「ちょっと今、そこまではわからないので、また聞いてみます」
「いや、大丈夫です。ありがとうございました」
まあ、つまりはあんまり釣れていないのだ。

やっぱりサケ釣りには「あれ」があったほうが良い?

今回は新幹線で三条市に向かった。ビジネスホテルに1泊すると、翌朝アイハラがタクシーで迎えに来てくれた。アイハラは、私の小学校時代からの友人で、現在は京都で個人タクシーを営んでいる。だから、釣りに行くときも自分のタクシーで来るのだ。
河川敷の事務所に集合したのは朝の7時。漁協の大森さんがルールなどを丁寧に説明して、いよいよ釣り開始! まず我々は、釣獲調査エリアの最下流となる昭栄大橋の上流側に入った。
新幹線で来たこともあって、ウェーダーは持ってこなかった。膝までの長靴「ニーブーツ」で事足りるだろうというイメージがあったのだ。しかし、釣りを始めて30分も経つと、それが間違いだったことに気づかされた。確かに釣りするだけならニーブーツで十分だ。でも、川でのルアー釣りは、ほんのちょと沖側にルアーが根がかりすることが多い。これがニーブーツではどうにもならず、チェストハイウェーダーがあれば楽勝で回収できるという、絶妙に意地の悪い深さ。私は、悪いと思いつつも、根がかりするたびにウェーダーをはいているアイハラに助けてもらった。サケ釣りに行く人には、ウェーダーの準備を強くお勧めします。

アイハラ「あ~今、一瞬乗ったよ!」

アイハラが悔しそうに叫んだ。自分たちを含めて、目で見える範囲に5人釣り人がいたが、そのうち2人が釣れていて、3番手で魚をかけたアイハラがバラシたのだ! 釣りを始めて1時間も経っていないのに、今日はいい日に当たったのかな? 

 

天才釣り師・楠ノ瀬氏の形見ルアーで初サーモン!

結局我々は最下流のポイントを見切り、漁協の事務所がある最上流エリアに移動した。ここは昨年アイハラが3匹のサケをキャッチした最強のポイントなのだ。到着すると、達人風のエサ釣り師が河川敷の駐車場で一服していたので、探りを入れてみた。

横沢「釣れましたか?」

エサ釣り師「85センチ!」

これにはびっくり仰天! スマホ写真も見せていただいたが、ものすごい迫力だった。目の前の川にそんなでかいのがいるとは! 一昨年の手取川、昨年の庄川では感じえなかった、釣果への期待が一気に膨らんだ。場所を譲っていただいた我々は早速釣り開始。

エサ釣り師「浅いところにいるから、ウェーディングはしないほうがいいよ」

このエサ釣り師からのアドバイスを守り、ストーキングを心がけて釣りをしていると、流れの中にくすんだ影のようなものを見つけた。サケか? ロッドにぶら下がっていたのはディープミノーの「デンス90F」。これを流心に投げ込み、ドリフトさせつつ巻いてみた。このルアーは、故楠ノ瀬直樹氏からいただいた形見のようなルアーだ。何らかの力が宿っている気がする。その影の右後ろから斜めに切れ込みコースを通すと……影が動いた! 

横沢「喰った?」

その時、ロッドはすでにぐにゃりと曲がっていた!

横沢「来たぞ!」

アイハラに声をかける。サケを浅いほうへと誘導し、アイハラがネットに入れた。意外なほどあっけなく上げてしまったが、私は成し遂げた。サケを釣ったのだ。サイズは63センチ。口にはデンスが誇らしげにぶら下がっていた。「ほらテッペイ、釣れただろ?」と、楠ノ瀬さんに言われた気がした。

三条市の老舗旅館で、心温まる「おもてなし」

サケの釣獲調査は、川によってそのルールに違いがある。でも、共通して言えるのは、メスのサケは釣っても食べたり持ち帰ったりはできないこと。原則としてメスは採卵のために漁協に渡すのだ。逆にオスの場合は制限尾数が設定されてはいるけれど、持って帰って食べることができる。私が釣ったサケの鼻は、まるで六角レンチのようにカクっと曲がっていたので、誰がどう見てもオスだった。そして、五十嵐川の釣獲調査は三条市のホテル旅館組合と提携していて、指定の宿に宿泊すると、様々なサービスが受けられる。中でも、われわれが宿泊する予定の「旅館・みなとや」には、「釣ったサケを三枚におろす」という、この上なきサービスがあるのだ。
 結局、初日はこのオス1匹で終了したので、みなとやさんに持ち込むと、厨房を預かるご主人は嫌な顔一つせずに祝福してくれた!

主人「おめでとうございます! どうですか? なんならこちらで料理して、夕飯にプラスすることもできますよ」

まさかそんなに甘えるわけには…とも思ったが、甘えることにした。(調理料金は追加で支払った)。100年以上の歴史を誇る旅館・みなとやは、昭和感満点だが、非常に清潔でくつろげる客室。2室ある共同浴室はジェットバス付き! そして何よりも、心を込めて手間暇かけて作った料理は、思わず合掌して感謝したくなるほどの美味しさでした。釣りライターになって約30年、様々な宿に泊まってきたが、ここまで最高な宿はなかなかない。私もアイハラも、来年も必ずここに泊まると決めた。もちろん、釣獲調査の抽選に当たったらの話だけど。

最後の最後に来たクライマックス!

2日目は、予報が的中して雨模様。釣りのほうも低調が続いた。何度かポイントを変えたが、残り2時間となる午後2時の時点でノーフィッシュ。我々は最下流のポイントに車を停めた。今回、まだ釣れていないアイハラは急いで用意して川岸へ。移動中寝ていた私は、眠い目をこすりながら準備して、一歩遅れてポイントに入った。

アイハラ「テッペイ、あの人がもう釣りすぎてお腹いっぱいだから、場所を譲ってくれるって!」

横沢「釣りすぎてお腹いっぱい?」

アイハラ「ここ、川が凄いことになってるんだよ!」

ふと、川面に視線を移すと、そこにはおびただしい数のサケの魚影が! 20? いや30匹以上はいるのではないか?

アイハラ「テッペイ、この人だよ」

と、アイハラが紹介してくれたのは、大柄の人で、私の顔を見るなり握手を求めてきた。

大柄の人「横沢鉄平さんですよね? ロッド&リール読んでいました!」

横沢「あ、どうも、ありがとうございます!」

ロッド&リールとは、かつて絶大なる人気を博していたルアーフィッシングの雑誌。私はその雑誌の連載企画に出演していたのだ。今でも覚えてくれている人がいるとは、ありがたいことだ。その人の名前は丸山さん。私の視線は、彼の傍らに立てかけられているタックルに吸い込まれた。長めのベイトタックルに、ディープクランクがついているのだ!

横沢「そのタックル、あなたのですか? それ、ファットフリーシャッドですよね?」

丸山さん「僕はディープクランクでサケを釣っているんですよ」

このディープクランクでのサケ釣りがめちゃくちゃ面白いらしい。そんな話をしていると、アイハラがでかいのをかけた! 大暴れするサケは下流へと走り、なかなか岸に寄ってこない。

アイハラ「テッペイ、車からネットを持ってきてくれ!」

急いでネットを持ってきたが、ここでもニーブーツが仇となった。あまり沖に出られないのでなかなか取り込めないのだ。

アイハラ「ああっ!」

やっとネットに入れたサケに逃げられる始末。そこで、取り込み役を丸山さんに交代してもらった。それでも苦戦は続いたが、ついにランディング成功! 70センチのオスだった。これでアイハラは大満足! 私も最後の最後に1本追加し、大成功の釣り旅となった。

漁協の大森さんを始め、丸山さん、旅館みなとやのご夫婦、三条市の方々は出会う人で会う人がみな親切で優しかった。釣り人の方々もみな譲り合いの精神が根付いていて、ポイントの奪い合いなどは皆無。五十嵐川では本当に気持ちよく釣りができました。来年、もし当選したら、ディープクランクを持ってこなければ!

施設等情報

■五十嵐川漁業協同組合
住所:〒955-0191新潟県三条市高岡651
電話:0256-38-4067(9:00~16:00) 五十嵐川漁業協同組合のホームページ

施設等関連情報

■旅館みなとや
住所:〒955-0862 新潟県三条市南新保15-8
電話:0256-33-1471
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

横沢 鉄平
フリーライター。ライフワークはバスフィッシングだが、ワカサギから世界の怪魚まで、すべての釣りを愛する男。ロッド&リールの「三匹が行く」、ルアーマガジンの「ドラマチックハンター」など、長期連載企画での出演経験も多数。キャンプ用品の「ヨコザワテッパン」考案者でもある。
YouTubeチャンネル「ヨコテツ」も、ささやかに継続中だ。
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