釣りビジョン

2014.12.1号

魚磯丸・静岡県沼津久料
駿河湾・大瀬崎沖の「夜のヤリイカ」開幕

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昨年、「駿河湾・大瀬崎沖の夜のヤリイカ釣りは面白い」と、聞いた。水深が浅い上に、LT(ライトタックル)だからアタリがダイレクトだというのだ。「今年もヤリイカの夜釣りを始めました」と、静岡県・沼津久料港『魚磯丸』から情報が届いた。チャンス到来と早速取材を申し込む。3連休の中日、11月23日に出掛けた。

帰港した遠征ヤリイカ船はトップ60杯!

1回見たら忘れない『魚磯丸』の看板
「午後4時集合」と聞き、正午過ぎに横浜を出発。余裕を見たつもりだったが、当日は絶好の行楽日和、紅葉を求めて富士・箱根方面にマイカーが繰り出したらしい。東名高速は想定外の混雑。船宿には30分前の“滑り込みセーフ”だった。丁度、早朝出船の遠征(石花海)ヤリイカ船が帰港した直後。聞けば「トップで60杯」だった、とのこと。早速、受け付けで乗船名簿を記入して釣り座を選ぶ。荷物をトラックにお願いして竿だけ持って船に向かった。船着き場は県道17号線を挟んだ向かい側、徒歩1、2分のところ。

早朝出の遠征ヤリイカ船が帰着
荷物はトラックで運んでくれる
お世話になる「第五魚磯丸」

今や駿河湾では「ダブルカンナ」が主流

ポイントの大瀬崎沖を目指す
釣り人は私を入れて11人。全員が揃ったのを確認して午後4時15分、「第五魚磯丸」は久保田清船長の操船で岸を離れた。太陽が伊豆半島の山陰に隠れ、船は薄暮の中を進む。釣り場到着まで仕掛けの準備が始まった。何と全員がダブルカンナ(イカを掛ける8本バリが二重構造)だ。船長によると「大型ヤリイカが掛かるとカンナが伸びてしまうので特別にメーカーに発注した。当初は他船から散々な評価だったけど、今や駿河湾ではこれが主流」とのこと。

プラヅノやスッテは「ダブルカンナ」
船内でも仕掛け調達は可能
仕掛け図

投入合図が出ても、船首に腰かけて歓談

15分程走って、船はポイントの大瀬崎沖に到着した。船長は潮流の方向を何度も確認してからアンカーを打った。いわゆる「かかり釣り」だ。エンジンが動いているのは照明と海水ポンプの電源確保のためだけらしい。船が安定したところで投入合図が出た。「水深は35m、海底から15mまで探って。エサ巻き仕掛けはオモリを海底から3~5mに上げて置き竿で待って」。私の知っているイカ釣りは「ここで一斉に投入」となる筈なのだが…。船長もゆったり構えているし、釣り人も同様。何と、右舷ミヨシ(船首)側の3人は船首に腰かけて歓談しているではないか。「イカが廻ってくるのは、もっと暗くなってから」と言うのだ。

投入合図が出たのに…
鶏のささ身を針金で縛った「餌巻きスッテ」

船上は「ほら来た」、「また来た」の大騒ぎ

そして「その時は」は突然やって来た。アンカーを打って45分程して、左舷胴の間(中央)の釣り人が第1号を釣り上げた。それを聞いて全員“戦闘配置”についた。撮影していると「こっちも来た」と方々から飛び交う声。イカの群れが廻って来たらしい。船上は「ほら来た」、「また来た」の大騒ぎ。圧巻は右舷トモ(船尾)から2番目の小澤博さん(沼津市)。柔らかい竿が弧を描く。4点掛けが連続して、アッと言う間に桶の底が見えなくなった。常時、誰かしらが巻き上げている。船長からは「今日はいい加減」と軽口も飛び出す。途中、静寂があっても15分すると次の入れ乗りタイムが再来する。どうやら群れは断続的に来るらしい。

開始早々「こっちにも来た」と室伏達美さん(函南町)
エサ巻きスッテには良型が来る
反応が出たり消えたり

エサ巻き仕掛けは柔らかい竿で「置き竿」
唯一交じったスルメイカ
総じて型が良い

赤白スッテに良く乗った
宮崎さんエサ巻きスッテで2点掛け
乗り始めて30分でこの釣果

タチウオがヤリイカの前に立ちはだかる

仕掛け切りの犯人は「この方」
夜釣りの海面は幻想的だ。イワシが群れている他、時折ヤリイカも水面まで姿を見せる。しかし、午後7時を回って「事件」が発生した。仕掛けを切られる人が続出し始めた。タチウオの仕業らしい。あちらこちらから「ため息」が聞かれる。中にはPEラインからブッツリ切られる人も出て、堪らず船長は船上の照明を全て消してしまった。「暫く辛抱して下さいよ」とアナウンス。15分程待って再開。直ぐにイカが乗り始めるが、暫くするとタチウオも追従する。「昨日はタチウオが来なかったのに」とは、当日船長の助手を務めた宮崎杉太郎さん(東京・足立区)。最後の1時間だけでも竿を出そうと思っていた私も思わず躊躇してしまった。皆さん4、5組の仕掛けをロスしたのではないか。

いよいよ駿河湾の夜イカは旬を迎える

最終結果は8~35杯。型は今の時期としては申し分ない。数もタチウオさえ居なければ倍は獲れた筈だ。船長によると「ヤリイカの成長は早いし、年を越すとマルイカも交じったりして面白みが倍加する」とのこと。いよいよ駿河湾の夜のヤリイカは旬を迎える。

タチウオを避けつつ35杯はお見事、小澤さん
宮崎さんの釣果
「今日はいい加減」と笑顔がこぼれる久保田清船長

(釣りビジョンAPC・谷口 晴治)

今回利用した釣り船
静岡県沼津久料港『魚磯丸』
〒410-0243
静岡県沼津市西浦久料124
TEL:055-942-3230
詳細情報(釣りビジョン)
魚磯丸ホームページ
出船データ
半夜釣りヤリイカ(予約乗合)
乗船料金:9,000円(氷付)
集合:午後4時00分、沖上り:午後10時(要確認)
様子を見て深夜便も集合:午後10時30分、沖上り:午前4時30分(HPで確認)
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