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<キャンピングカーで鹿児島から日光へ>夢のレイクトラウトを釣る!半世紀越しの夢が叶った中禅寺湖遠征

2025年05月24日公開

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少年時時代に見た一枚の写真。そこにはメーター超えのレイクトラウトをボート上でひざ持ちしているアングラーの姿があった。「いつかレイクトラウトを釣りたい」。その思いは、少年だった私の胸にしっかりと刻まれることとなる。そして、半世紀越しの夢を叶えるべく、鹿児島から一路、奥日光は中禅寺湖へ。距離にしておよそ1530km。長期連休を利用した釣り遠征を計画した。移動手段はキャンピングカーだ。

【この記事を書いたライター】米澤 徹

中禅寺湖への挑戦とキャンピングカー購入という一大決心

昔からトラウトのフォルムと体色が大好きで、ルアー釣り関係の本を読み漁っては気に入った写真を切り抜ぬき、スクラップブックに貼り付けてコレクションしていた。特に海外の釣り雑誌に載っている写真はどれも新鮮で、見るたびにワクワクしたものだ。当時、とりわけ衝撃を受けたのがレイクトラウトである。メーター超えのレイクをボート上でひざ持ちしている釣り人の姿を見て、しかもそれが国内の中禅寺湖で釣れることも知り、私の憧れは一気にそちらに向いたのである。「いつかレイクトラウトを釣りたい。」その思いは、少年だった私の胸にしっかりと刻まれた。

出身は東京都。そのため、渓流や湖のトラウトは近い存在だったので、「中禅寺湖にはいつでも行ける」と思っていた。だが、当時はボートでの釣り方といえばトローリングしかなく、貸しボートはあっても船舶免許を持たない私には陸っぱりで挑むしかなかったのだが、タックルを調べようにも今のようにスマホでサクサクというわけにはいかず。正確な情報も分からぬまま、さらにはウェーダーなどの必需品を準備する余裕もなかった。レイクトラウトへの思いは募る一方だった。

その後、関東から鹿児島県に移住することになってしまい、チャンスはさらに遠のいてしまう。鹿児島県に移り住んでからは、その素晴らしい環境から海釣りが中心になり、ジギング、タイラバ、タチウオテンヤなどに興じ、その傍ら近隣の熊本県などでは渓流のフライフィッシングや小川のタナゴ釣りを楽しんだが、レイクトラウトへの憧れが薄れることはなかった。

初めてレイクトラウトを知ってからおよそ半世紀が経過。〝いつでも釣り場に行けて、時間のロスなく釣りをしたい〟という思いから、キャンピングカーを購入したのである。さっそく、中禅寺湖釣行のプランを計画した。

必ず釣るための〝フィッシングガイド〟と〝妻〟

私は釣りのプランを立てるときは必ず妻を誘う。釣り仲間との釣行にも必ず同行してもらっている。理由は、彼女はとにかくよく釣るからである。いや、必ず釣るのだ。彼女の運のおかげか、私もそれなりの釣果は得られるのだが、これまで彼女より釣った試しがない。それでいて、彼女自身は釣りにがっつくことなく、〝自然の中で一日楽しく過ごすこと〟に重きを置いている。私は釣行のたびに、必死になって天候や釣果情報、ポイント情報、有効なタックルなどを細かく調べて挑んでいるのだが…。〝アタリがないのは「殺気」が魚に伝わるから〟という話をよく聞くが、きっとそうなのだろう。

今回の釣行には、〝よく釣る妻〟に同行してもらっただけでなく、初場所でしかも遠距離遠征ということで〝確実に魚と出会いたい〟という思いから、中禅寺湖周辺でフィッシングガイドを探してみた。たどり着いたのが三ツ木希隆さんという若いガイドさんだった。彼は「ZEN RESORT NIKKO」という中禅寺湖畔にあるカフェ・ダイニング&グランピングフィールドの複合施設に所属。日光自然ガイド協議会にも所属している正規のガイドさんである。チャーターの場合は6時間便と、6時間オーバーのロング便があり、今回はロング便を予約。

さあ、準備は整った。5月の連休を利用し、妻と2匹の愛犬との7泊8日の旅が始まった。

 

約半世紀ぶりに越える「いろは坂」!中禅寺湖のレイクジギングに挑戦

キャンピングカーでの往路は、まず鹿児島からフェリーで大阪へ。そこからは自走でひたすら栃木県を目指した。小学校の修学旅行以来の日光だ。半世紀ぶりに「いろは坂」を越える。前日に前乗りをして、観光も兼ねて下見をしたが、GWを活用しての遠征ということもあり湖畔にはアングラーがずらりと並んでいた。想定していた通りの光景だ。

そして、当日を迎える。AM3時に遊漁券を購入し、指定の場所でフィッシングガイドと待ち合わせをして乗船。そう、今回はガイドさんの提案でボートジギングで挑むことになっていた。事前にタックル情報も共有してもらっていて、6.3フィートのレイクジギング用ベイトロッドに、カウンター付きのベイトリールという組み合わせのものを準備。ラインはPE0.8号に、フロロカーボンリーダーの16ポンドを組み合わせた。ルアーは20~60gのタングステンジグで、ロストを想定して多めに準備していた。

さあ、いよいよだ!半世紀越しの夢が今、叶おうとしている。あたりはまだ真っ暗で何も見えない。ワクワクが止まらず、体は震える。ガイドさんから「キャスティングをするならこの時間からでも可能だけど、ジギングの場合は明るくなってからが本格的に釣れ出す」との説明を受けた。レイクジギングは中禅寺湖で近年流行している釣りのようだが、湖でも海と同じように時合があるという。そのひとつが、華厳の滝に通じる川の水門を明けた時だそうで、水が動き出し、活性が上がるとのこと。その時を待ち、緊張の第一投を投入した。

そしてその時は来た!

事前情報でルアーのアクションは〝シェイク〟や〝デッドスローのただ巻き〟と聞いていたものの、当日、ガイドさんから教わったのが〝ボトムノックに近い独特のメソッド〟だった。正直「えっ、本当にこれでくるの?」という印象だったが、夜が明けかけたAM5時前、妻にアタリがあった。大きく曲がるロッドを横で見ていて、鼓動が高鳴る。

水面にぼんやりと見えてくる魚影。「レイクだ!」。ネットに収まったその姿に感動が押し寄せてきた。中禅寺湖アベレージサイズのレイクトラウト。ファーストフイッシュはまたも妻だった。やはり彼女は〝持っている〟。

続いてガイドさんにもアタリがあった。「これはいいかも」と、やり取りを見ていると、竿の曲がりからもかなり重量のある個体のようだ。するとなんと、上がってきたのは70cmオーバーの立派なレイクトラウトだった。このサイズになるとかなり太い。

先に妻が釣り上げるというお決まりの流れに、「早く自分も続かねば!」と、若干の焦りを覚えながら祈る思いでメタルジグをシャクっていると、遂にロッドが大きく曲がった。手に伝わってくる生命感に、今までにはない感動を覚えた。初めてのレイクトラウトとの出会い。60cmのグッドサイズだった。ついに叶った半世紀越しの夢。最高の瞬間。

その後は小ぶりなレイクを何匹かキャッチすることができ、アタリが遠のいたところで場所を変えることとなった。移動中、中禅寺湖のシンボル・男体山を眺めながら、5月でもまだ冷たい空気を大きく吸って、〝中禅寺湖時間〟を存分に味わう。中禅寺湖には、レイクトラウト以外に、ホンマス、レインボートラウト、ブラウントラウト、ブルックトラウト、イワナ、ヒメマスなど多彩な鱒族が生息しているそうだが、ひたすら本命だけが釣れ続いた。しかし、ポイントを変わるが小さいサイズはぽつぽつと釣れるものの大型はなかなか来ない。釣りでは、ついつい〝さらなる大型を〟と欲が出てしまう。

ガイドの三ツ木さんは、10代の頃から国内はもちろん、海外を飛び回り釣りをしてきた強者で、アマゾンやタイなどでのエピソードを聞いていると、話が面白くてアタリがない時でも全く飽きることはなかった。彼自身、フィッシングガイドになる前に中禅寺湖に通い詰めた時期があったそうだが、そんな経験豊富な彼が最終的にこの中禅寺湖に落ち着いたということは、このフィールドには相当な魅力があるのだと感じる。

時刻はPM 3時。時間はまだあったのだが、レイクトラウトに出会えただけで大満足だったので、道中の渋滞などを考えて早上がりすることにした。念願の釣行もこれにて終了。長寿で大型になるレイクトラウト、いつまでもこの魚と出会える環境を大切にしていきたいと切に思う。

施設等情報

ZEN RESORT NIKKO Fishing Guide
住所:栃木県日光市中宮祠2482-1-27
TEL:080-6600-8673
定休日:お問い合わせください
ZEN RESORT NIKKOホームページ

施設等関連情報

公共交通機関:新宿から東武鉄道特急スペーシアで東武日光駅へ、東部日光駅から東部バスにて中禅寺温泉へ
車:東北自動車道・日光IC
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

米澤 徹
主に鹿児島の錦江湾魚中心に、サーフやジギング、淡水の渓流やタナゴに至るまで、九州中のあらゆる釣りに挑戦中。離島への遠征も。
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