事前情報でルアーのアクションは〝シェイク〟や〝デッドスローのただ巻き〟と聞いていたものの、当日、ガイドさんから教わったのが〝ボトムノックに近い独特のメソッド〟だった。正直「えっ、本当にこれでくるの?」という印象だったが、夜が明けかけたAM5時前、妻にアタリがあった。大きく曲がるロッドを横で見ていて、鼓動が高鳴る。水面にぼんやりと見えてくる魚影。「レイクだ!」。ネットに収まったその姿に感動が押し寄せてきた。中禅寺湖アベレージサイズのレイクトラウト。ファーストフイッシュはまたも妻だった。やはり彼女は〝持っている〟。続いてガイドさんにもアタリがあった。「これはいいかも」と、やり取りを見ていると、竿の曲がりからもかなり重量のある個体のようだ。するとなんと、上がってきたのは70cmオーバーの立派なレイクトラウトだった。このサイズになるとかなり太い。先に妻が釣り上げるというお決まりの流れに、「早く自分も続かねば!」と、若干の焦りを覚えながら祈る思いでメタルジグをシャクっていると、遂にロッドが大きく曲がった。手に伝わってくる生命感に、今までにはない感動を覚えた。初めてのレイクトラウトとの出会い。60cmのグッドサイズだった。ついに叶った半世紀越しの夢。最高の瞬間。その後は小ぶりなレイクを何匹かキャッチすることができ、アタリが遠のいたところで場所を変えることとなった。移動中、中禅寺湖のシンボル・男体山を眺めながら、5月でもまだ冷たい空気を大きく吸って、〝中禅寺湖時間〟を存分に味わう。中禅寺湖には、レイクトラウト以外に、ホンマス、レインボートラウト、ブラウントラウト、ブルックトラウト、イワナ、ヒメマスなど多彩な鱒族が生息しているそうだが、ひたすら本命だけが釣れ続いた。しかし、ポイントを変わるが小さいサイズはぽつぽつと釣れるものの大型はなかなか来ない。釣りでは、ついつい〝さらなる大型を〟と欲が出てしまう。ガイドの三ツ木さんは、10代の頃から国内はもちろん、海外を飛び回り釣りをしてきた強者で、アマゾンやタイなどでのエピソードを聞いていると、話が面白くてアタリがない時でも全く飽きることはなかった。彼自身、フィッシングガイドになる前に中禅寺湖に通い詰めた時期があったそうだが、そんな経験豊富な彼が最終的にこの中禅寺湖に落ち着いたということは、このフィールドには相当な魅力があるのだと感じる。時刻はPM 3時。時間はまだあったのだが、レイクトラウトに出会えただけで大満足だったので、道中の渋滞などを考えて早上がりすることにした。念願の釣行もこれにて終了。長寿で大型になるレイクトラウト、いつまでもこの魚と出会える環境を大切にしていきたいと切に思う。