釣りビジョン

【渓流釣り】雄大な北アルプス、兄弟フライフィッシャーが織りなす源流釣行の魅力

2025年11月06日公開

1587_main

今回は日本アルプスを代表する飛騨山脈が舞台。アングラーたちを惹きつけるイワナが佇む桃源郷とも言えるフィールドであるが、厳しい山岳環境の影響を無視することはできない。本番組はフライフィッシングの次世代を担う杉坂兄弟が、源流域での効果的アプローチ釣法から避けることのできないリスクマネジメントまで解説してくれるためオススメだ。

【この記事を書いたライター】Mr.M

深山幽谷の代名詞でもある北アルプスの渓谷美

平地が30℃を超す中、雪渓が残る北アルプスの渓を目指し林道を歩き始めるアングラーたちこそ、次世代を担うフライフィッシング界のパイオニアである杉坂ブラザーズだ。

下界ではお目にかかれない草花と景色の中、実釣前の儀式とも見えるコーヒーブレイクタイムは、「リバー・ランズ・スルー・イット(A River Runs Through It)」を彷彿とさせる優美さを感じずにはいられない。

正直な話、ここだけでも源流釣行としての魅力を充分に伝えてくれる内容ではあるのだが、ここで終わらせないのが釣りビジョンVODとなっている。

実釣映像や釣果だけに拘った動画コンテンツやアプローチ方法は数多く見てきたが、それで完結しているメディアが多いことに飽き飽きとしている視聴者は、私以外にも多くいるだろう。

何故演者がその行動をして、どんな意図があったのかを紐解くことにより血肉として培われた技術を余すことなく目に焼き付けることができる。

山岳渓流がメインとなっている映像構成は場荒れに配慮しており、サステナビリティ溢れる立場が垣間見える。視覚情報としても演者が指南したポイントを余すことなく得ることが可能なため、アングラーたちに対する釣りビジョンVODの至れり尽くせりには感服する。

⇒ 【動画】杉坂ブラザーズが〝ヌシ級〟のイワナを釣りあげる!北アルプスの溪谷美にも注目だ!

魅惑のフライアプローチにより翻弄されるイワナたち

「浮いてきたタイミングで投げた方がいいよね。」「見えない、おんなじ位置?」「もうちょい、下流」といった兄弟のコンビネーションから、釣りのあるべき姿のような童心への帰結を促す。

そういった思いも直ぐに取りさらわれ、白黒つけるスポーツのような意味合いに固着してしまう多くのアングラーたちに警鐘を鳴らしてくれる場面と言ってもいい。

物思いにふけるのもつかの間であり、ナチュラルドリフトでイワナたちを手玉に取る魔術師のような映像の連続は、フライフィッシャーであるならば歓喜の舞のオンパレードを強制されるようなものである。

山岳渓流の特徴上、不用意にアップストリームを駆使すると容易にドラッグがかかることでナチュラルドリフトは実現不可となるが、獲物に忍び寄るハンターの様な足運びから位置取りまで瞬き厳禁のテクニックがアングラー達に成長の機会を与えてくれるのは間違いない。

⇒ 【動画】杉坂ブラザーズが中部山岳渓流でドライフライを楽しむ

 

徹底した開拓精神、minimalism&flyfishingの体現者

「冒険感がすごく好き、家にいる時に地図をみてこの先どうなっているのかなと。等高線を見てここだったら入渓できるかなと想像するところから楽しい。行き過ぎた時は、石の間から水が出ていただけだったりと、そういうハプニングも楽しい。」そう語るのは渓亮、謹厳実直な友太郎とは異なり自由奔放なスタイルを愛する。

自分の目で見て、手足を働かせて源流域へアプローチすることに魅了された者達に相応しいとも言える発言。
どのような価値観を持つかは千差万別だが、これから山岳渓流へ向かおうとするアングラーたちは是非全容を聞いてほしい場面である。

詳細なギア紹介まで網羅されている点からも、ひとつ1つに求める役割と意味を自分の中に落とし込み、無意味なパッキングはしないというminimalismに通じる主義を感じる。

山岳渓流では生じる障壁に対する自己完結自己責任は避けることができない必須項目であるが、無頓着でいたいという甘い考えのままでは自然の中で遊ぶことはできないと再認識させてくれる。

退渓時に出くわしたツキノワグマとの遭遇は他人事として捉えることなく、自分が同様の状況にいた場合にどうするのが適切だろうか考えて頂きたい。

異なる価値観を持つ杉坂ブラザーズが、同じ釣りを通してどんな見解を持ち合わせているのか、アングラーたちに是非見てほしい。

⇒ 【動画】デカニジ乱舞!冬季も鱒釣りが楽しめる宮城県荒雄川C&R区間

※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

Mr.M
山と渓を愛する人へ向けた「モモのブログ」運営者。山岳渓流歴は20年以上。多い年で北アルプス、中央アルプス、南アルプスの山岳渓流で100回釣行実施。第一種銃猟免許所持者であり、冬山へ入るため、一年の殆どを山で過ごしております。
このライターの他の記事も読む

その他オススメ記事

釣りビジョン倶楽部