2026年02月04日公開
鹿児島県南大隅町・浜尻エリアの磯「コシキ」に、仲間とともに渡礁してきた。佐多岬に隣接し、大型の口太グレが期待できるエリアとして知られるこの海で、どのようにして50cmクラスのグレに辿り着いたのか。潮の変化に合わせた釣り座移動や仕掛け調整など、当日の展開を振り返りながらレポートする。
祐千丸で向かう南大隅の磯「コシキ」
今回向かったのは、鹿児島県南大隅町・浜尻エリア。釣り仲間である藤野さん、仲宗根さんと自分の3名で、磯渡し船『祐千丸』にお世話になった。
この浜尻周辺は、磯釣りの聖地ともいえる佐多岬に隣接したエリアであり、浜尻港・間泊港・大泊港の3つの港からそれぞれ出船している。大隅半島といえば、魚の平均サイズがひと回り大きいイメージが強く、特に口太グレは50cmオーバーが現実的に狙えるフィールドとして知られている。
まだ薄暗い港に集合し、道具を積み込んで出船を待つ時間から、すでにワクワクが止まらない。船長と当日の風向きやウネリ、潮の具合を確認しながら、「どの磯に上がるか」という話題で盛り上がる。
そんな中で船長が選んでくれたのが、3人同時に渡礁可能な磯「コシキ」である。沖から見るコシキは、適度な高さと足場の良さがありつつ、ところどころにシモリやハエ根が点在していそうな雰囲気を漂わせている。これから始まる一日の展開を想像しながら、胸が高鳴る渡礁となった。
ファーストヒットから大型グレ登場
磯に荷物を上げ、手早くタックルをセットしていく。空が白み始め、東の水平線からゆっくりと太陽が顔を出す頃、海面にはオレンジ色の光が反射し、何ともいえない雰囲気が広がっていた。こうした「朝の少しバタバタした時間」も、磯釣りならではの楽しみだと感じる瞬間である。
釣り座はジャンケンで決め、海に向かって左から仲宗根さん、自分、藤野さんの順で並ぶことになった。コマセを打つ位置や狙う筋をそれぞれがイメージしつつ、「ここは潮が動き出したら一気に来そうだ」などと話し合いながら準備を進める。
ひと足先に仕掛けを打ち込み、いよいよ一投目。ウキが馴染んでしばらくすると、ツンと小気味よいアタリが伝わり、合わせを入れると手元に生命感。上がってきたのは約25cmの木っ端グレであった。サイズこそ小さいが、とりあえず魚の顔が見られたことでホッとする。実はこの日が、自分にとってその年最初の釣行でもあり、嬉しいファーストフィッシュとなった。
この時点での状況は、風によるウネリがやや強く、潮は左方向、つまり仲宗根さん側へ素直に流れている状態である。コマセと仕掛けの同調を意識しつつ様子を見ていると、残りの2人も釣りを開始。ほどなくして、仲宗根さんの竿が大きく弧を描いた。
足元にはハエ根が張り出しており、ドラグを出し過ぎると根に潜られてしまいそうなポイントだが、仲宗根さんは冷静に竿さばきで交わしていく。数度の突っ込みをいなし、慎重に浮かせてきた魚体は、海面に姿を現した瞬間から明らかに「デカい」と分かるシルエット。タモに収まったのは50cmジャストの口太グレであった。
一投目からの50cmオーバーというドラマに、本人はもちろん、こちらも思わず歓声を上げてしまう。しかもこれが仲宗根さんの自己記録更新というオマケ付き。朝イチからいきなりクライマックス級の魚が飛び出し、「今日は何匹出るのか」と期待が一気に高まった。しかし、良い流れが続いたのも束の間。潮止まりのタイミングを境に、徐々にアタリが遠のいていく。コマセを打っても魚の反応が薄くなり、ウキが最後までスーッと入りきらないもどかしい時間が続き始めた。ここから、どう立て直していくかがこの日の大きなテーマとなった。
潮位変化を見て大きく釣り座移動
この日は、渡礁してからしばらくが上げ潮で、それ以降は下げ潮に転じる予報であった。時間の経過とともに潮位が下がり始めると、それまで水面下に隠れていた磯の裏側のハエ根が徐々に姿を現し、「もうそろそろあっち側も釣りになりそうだな」という雰囲気になってくる。そこで一度仕切り直しということで、3人で相談しながら思い切って釣り座を大きく移動することにした。
足場や風の当たり方、波の巻き込み、そして潮のヨレ方などを確認しつつ、それぞれが「ここだ」と思うポジションに入っていく。こうした釣り座変更の判断が、その日の釣果を大きく左右することも少なくない。
移動直後はまだ反応が渋く、しばらくは辛抱の時間が続いた。それでもコマセを切らさず打ち続け、水深の微調整やガン玉のサイズ変更など、できることを一つずつ試していく。潮目の筋に仕掛けを入れてみたり、あえて足元を重点的に攻めてみたりと、魚のスイッチが入るきっかけを探るイメージである。そんな中、潮がゆっくりと磯に当たりながら払い出していくタイミングで、状況が一変する。
最初に流れを掴んだのは藤野さんで、竿をひねり込むような良型のアタリが連続で到来。コンスタントに魚を掛け始め、タモ入れの回数が一気に増えていった。自分も負けじと仕掛けを見直す。ハリスの長さやウキの浮力バランスを調整し、コマセと付けエサが同調するイメージを強く意識しながら流していく。さらに、藤野さんや仲宗根さんの釣り方や狙っているラインを改めて観察し、良さそうな要素は素直に取り入れてみることにした。その結果、こちらにも待望の時合いが到来。
グレ、シマアジ、イサキが立て続けにヒットし、タモ入れの手が休まらない時間帯が訪れた。グレは40cmオーバーが複数枚交ざり、引きも強く実に楽しい。サイズだけでなくコンディションも良く、どの魚も体高があり重量感のある個体ばかりであった。
この一連の展開を通じて、改めて感じたのは、仕掛けの微調整とコマセワークの重要性である。
同じ磯、同じタイミングで竿を出していても、少しの工夫や観察の積み重ねで釣果に差が出る。そう実感させられる、非常に濃い時間帯であった。
『つりえさ将ちゃん』で大隅方面の情報収集
納竿時間となり、片付けを終えて再び『祐千丸』に乗り込む。港へ戻る船上では、自然と反省会がスタートした。朝イチの大型グレの喰い方や、潮止まりで失速した時間帯の攻め方、そして釣り座移動後に時合いを捉えられた要因など、それぞれが感じたことを出し合っていく。
「もっと早くあの裏側に移動していればどうだったか」「ガン玉の号数を落としたタイミングがハマった」など、実釣直後だからこそ出てくる生々しい話が多く、次の釣行に直結しそうなヒントがいくつも見つかった。こうした情報共有ができるのも、気心知れたメンバーとの釣りならではの楽しさである。港に着いてからは荷物を降ろし、船長にお礼を伝えて解散準備。
この日はそのまま帰路につくのではなく、大隅方面の釣り場をよく知る店主がいる『つりえさ将ちゃん』に立ち寄ることにした。店内では、今回入った磯「コシキ」の話に加え、周辺の実績ポイントや季節ごとの狙い目、エサ取りの多い時期の対策など、現地ならではの貴重な情報を教えてもらうことができた。実釣の手応えと、ショップで仕入れた情報が頭の中でリンクしていく感覚があり、「次はこう攻めてみよう」という具体的なイメージが早くも固まりつつある。
こうして、実釣と反省、そして情報収集まで含めて、非常に中身の濃い南大隅・浜尻釣行となった。
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この記事を書いたライター
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