釣りビジョン

萬栄丸・千葉県勝山港

2017.8.15号

千葉県・勝山港発のスルメイカ、連日“爆ノリ”!

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2017年・夏。今シーズンのスルメイカは、近年にない好釣果に沸いている。毎年、イカ釣りの腕を上げたいと一年の計に掲げている当方としては、「このビッグウェイブに乗るしかない!」と、ビギナーにも優しいと評判の千葉県内房、勝山港『萬栄丸』を訪ねた。

至れり尽くせりの快適乗船

館山自動車道・鋸南富山ICを降りると、勝山港までは僅か数分。集合時間よりかなり早めに着いてしまったが、駐車場には釣り人の車がズラリ。船着場にある船形から“修行者”らしく胴の間(中央)の席札(ここではペットボトルのキャップ)を取って待つ。船宿スタッフが釣り座に投入器や桶の支度をしてから、乗船しやすい船着場に船を寄せて釣り人の乗船という段取りなのだが、スタッフが荷物の積み込みまで手伝ってくれるので年配者や初心者にも安心だ。滞りなく受け付けと準備が整い、「第三萬栄丸」は定刻より少し早めに出船した。

『萬栄丸』の船着場は埠頭の先端
夜明け前でも明るい受け付け
スタッフが釣り座の支度までしてくれる
出船30分前に準備完了、イカ船あるある
席札代わりのボトルキャップを回収して…
朝靄の中、出船

ポツリポツリの拾い釣り!

朝ナギの海を走ること約40分。洲崎沖の水深157mの場所からこの日の釣りはスタートした。が、触りらしき反応はあるもののイカは上がらず、根気強い捜索とシャクリの結果、釣り開始からおよそ45分後、水深190mの釣り場で左舷ミヨシ(船首)の近藤勇治さん(船橋市)の竿が曲がり、船中1杯目のスルメイカが取り込まれた。これを合図にあちらこちらでイカが乗り始め、にわかに電動リールのモーター音で船中は賑やかになった。この後、投入毎に順調にイカは乗るのだが、何が気に入らないのか1杯ずつの単発的な乗りが多く、流し替えては投入して、ポツリポツリの拾い釣りが暫し続いた。

朝霧は晴れて、ナギ模様
全ての釣り座で均等にイカが上がる
開始1時間程で船中全員が釣果を得た
単発だが絶えず誰かの竿が曲がる
イカ釣りを習熟するにも最適なシーズンだ
ノリは決して悪くないのだが…

多点掛け連発!

「今日はこんな一日なのかな…」と釣り人たちが、悟りを開きかけた7時20分頃。船長は「1時間くらい走ります」と釣り場の変更を決断。このところ潮が速くて入れなかったと言う白浜沖へ舳先を向けた。この大きなサイドチェンジが丁度良い休憩タイムとなり、白浜沖に着く頃には釣り人たちの鋭気も漲って8時10分、再び釣り開始。程なくしてイカが乗り始め、2点、3点掛けから、4点、5点掛けへと追いノリが目立ちはじめ、いつしか電動リールが唸るような“爆釣”モードへと突入した。『萬栄丸』に通って猛特訓中と言う、胴の間の城戸太郎さん(市原市)。食い込むPEラインでメリメリとスプールを鳴らしながら取り込んだのは驚きの7点掛け!投入のたびに何杯かが付く好調なノリが暫し続き、体力さえ保てばどんどん釣果が伸びる盛況が沖上がりまで楽しめた。

2点掛け、3点掛けと釣果は右肩上がりに
特訓中の城戸さん、7点掛け達成!
釣るのも干すのも速い小山さん(上尾市)

無理せず基本のブランコ仕掛けから

スルメイカをより快適に釣るコツを松井大船長に訊いた。「初心者にアドバイスするとしたら、基本に忠実にブランコ仕掛けで獲る-ということですね。無理な直結が一番ダメなんですよ。サバもそんなに居ないし、ブランコでも結構釣れてますからね」。確かにこの日も見られた二枚潮によるオマツリの場合、それでも掛けたイカが獲れるのはブランコ仕掛け最大の特長と言えるだろう。一見勝負の早い直結仕掛けは、いかに多点掛け出来ても、オマツリするとまず100%掛けたイカを取り逃がしてしまう。最終的な釣果を見ると、ブランコ仕掛けの方が有利だったというケースが意外とあるので、道具の取り扱いや仕掛け捌きを完全に習熟するまでは、ブランコ仕掛けで基本をみっちり身体に覚えさせることが、結果的にはエキスパートへの近道となるようだ。

船宿推奨仕掛けは船に常備されている
仕掛け図
仕掛け図

『萬栄丸』は上乗りさんも頼もしい

今回の取材で乗ったスルメイカ船でも他魚の船でも、『萬栄丸』に乗って感じるのは上乗りさんの知識の豊富さと説明能力の高さ。スルメイカ船の上乗りは土田裕介さん。オマツリ解きや手前マツリの解消といった釣りの手伝いは勿論、底の取り方や誘い方など基本的なテクニックから、効率的に取り込むコツや、より早いイカの開き方など、中級者になってからスランプに陥るあれこれの解決策や打開策を持っているので、分からない事があったらまずは尋ねてみるのが得策だろう。因みに取り込みや仕掛けを扱うコツは「あせらず、ゆっくり丁寧に」。また初めての人はイカを捌くのに包丁ではなく、ハサミを持参する方が安全で便利とのことだ。

松井大船長と、上乗りの土田さん
常にアドバイスやお手伝いをしてくれる
釣りの事から美味しく食べる秘訣まで

収穫は釣果だけではない

この日の竿頭は64杯を釣った常連の近藤勇治さん。落とし込みでも触るが、海底からの誘いにしか掛からなかったこの日、朝から沖上がりまで初速の早いシャクリを継続する体力には驚かされる。この日のコツを尋ねると「下からの釣りには14cmより18cmのツノが良い」と秘策を教えてくれた。初心者からエキスパートまで、同じ船で一緒に楽しめる『萬栄丸』のスルメイカ船。イカ釣り師として一皮むけたいアングラーにとっては、乗船料金を払うだけで、学ぶ事の多い貴重なイカ釣り教室となる筈だ。

竿頭はシャクリ続けた近藤勇治さん
所狭しと並ぶ沖干しのイカ暖簾
「船が綺麗でイイよね」と田中さん
下船後は船長自ら釣り人の荷物を運ぶ
冷たい素麺やスイカのサービスに癒やされる
印象を一言で言うなら「気持ちの良い船宿」

(釣りビジョンAPC・川添法臣)

今回利用した釣船
千葉県勝山港『萬栄丸』
〒299-2117 千葉県安房郡鋸南町勝山7
TEL:0470-55-1301
定休日:無し
詳細情報(釣りビジョン)
萬栄丸ホームページ
出船データ
スルメイカ乗合
乗船料金:1万円(氷付き)
集合4:30迄/出船5:00
定休日:なし
貸し道具あり
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