釣りビジョン

2011.10.1号

山下丸・神奈川県久比里港
初秋の東京湾・餌取り名人“カワハギ”攻略法!

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“餌取り名人”の異名を取るカワハギ。おちょぼ口で愛嬌ある顔からは想像も出来ない技を持つ“海の忍者”だ。そんなカワハギと釣り人との知恵比べにどっぷりと嵌ってしまう釣り人も多い。「カハワギ釣りの聖地」として知られる神奈川県・久比里、老舗船宿の1軒『山下丸』では周年カハワギの乗合船を出している。今回は東京湾の浅場を釣る初秋の釣り方を教わって来た。

出船時間はゆっくりと朝8時!

出掛けたのは9月26日(月)。『山下丸』は東京湾フェリー発着場がある久里浜港横に流れ込む平作川上流に架かる夫婦橋の袂にある。カワハギ船の出船時間は朝8時。この出船時間なら“電車組”も遊びに来られるのが嬉しい。早朝からスタッフ総出でカワハギの餌であるアサリの殻剥きを行っていた。『山下丸』では、殻付きのアサリを使う場合と剥き身を使う場合とでは乗船料金が違う。殻付きを買い、自分で剥き身にすれば当然料金は安くなる。女将さんにアサリの殻剥きを実演して頂きそれを動画にしたので必見。時間は少々掛かるがチャレンジしてみるのも面白いだろう。

船宿『山下丸』
アサリ殻付きと剥き身

乗合船2隻出しの大盛況!

船長の山下克範さん
平日にも関わらず多くの釣り人が集まり、出船直前に急遽2隻出しとなった。人気の高さが伺える。また、客層も若い人が多く道具や格好も非常にシステマチックで決まっている人が多い。ほぼ100%自前のライフジャケット(救命胴衣)を着けているのも印象的。私が乗った「第三十一山下丸」の舵を握るのは山下克範船長。定刻に出船。釣り場は東京湾を横断した航程20分程の千葉県側・竹岡沖。水深12m前後から釣り始めた。

餌付けは最重要ポイント!

カワハギの道具立ては仕掛け図を参照して欲しいが、“餌取り名人”を相手にするのだから、最重要ポイントが餌の付け方だ。「アサリをなるべく小さく丸めてハリに付けるのがポイント」と船長。実際に実演してもらったのを動画にしたので必見。是非マスターして欲しい。また船宿にはオモリや仕掛けも販売している。ビギナーはこれを利用するのがベスト。

船宿で販売している仕掛け類
仕掛け図

開始直後からヒットが続く!

天候は曇天。潮温24度。北風がやや強く、潮も速くて釣り難い状況だった。しかし、開始直後に右舷大ドモ(船尾)の釣り人が“本命”をキャッチ。「ワッペンサイズ」と呼ばれる小振りな型だが幸先良いスタートだ。その後も船中あちらこちらでヒットが続き「潮温がまだ高いので、こういう浅場で拾い釣りをしているんだけどまあまあだね」と、船長も一安心といったところ。
釣り方の基本は、オモリが着底後、竿で海面を叩くように激しく上下させ、餌を躍らせアピールさせる「叩き釣り」。叩きを止めた時が食わせのタイミングとなるので、必ず途中で仕掛けを止めること。「叩きの速さや振り幅や止め時間などはその時々によって当然変わってくるので色々と試して欲しい」と船長。

ちょっと小振りなこのサイズが平均
ナイズサイズに笑顔!
このサイズも十分!

この日のアタリパターンは…!?

11時半頃には、予報よりも早く雨が降り出した。海上は想像以上に肌寒いので厚手の上着が必要だと痛感(私はTシャツとパーカーに薄手のカッパ1枚で震えた)。釣り場は引き続き竹岡沖水深10mラインのエリアで、小移動を繰り返し、まずまずのペースで釣れていた。しかし、二枚潮で底潮が速く釣り難い状況は相変わらずだ。そんな中、各釣り人に釣り方や決まったパターンがあるか聞いてみた。ある人は、アサリの水官を取り餌自体をなるべく小さくしてハリに付けていたり、中オモリを付け、仕掛けを海底に這わせたり弛ませる釣り方で連発したという人もいた。だが、いずれも決まったパターンは続かず食いの悪さからか、バラシが多発したり、トラギスやベラ、サバフグなどのゲストに邪魔され皆数を伸ばせず苦戦をしていた。

貴重なダブル!しかも良い型!!
愛嬌あるカワハギの顔
納得のサイズ!

圧巻!トップ37尾のパターンとは??

自分の戦略通り釣れればメチャ嬉しい!
そんな中、右舷大ドモの人は一人ハイペースで釣っていた。釣り方を聞いてみると「仕掛けを色々と変えて試している。潮の流れる方向と仕掛けを合わせ、良いハリ掛りを意識している」とのこと。仕掛けは中オモリを着けたり反射板を着けたり様々なタイプを試していたが、パターンで変えているのでは無く、アタリが遠くなったタイミングや感覚で変えていると言う。要するに同じ事をしていてはアタリが続かない-というのがこの日のパターンだったようだ。
結局、どの釣り人も魚の食いの悪さを意識しており、その対応が個々の戦略の違いとなっていたのだが、絶えず変化を付けることが良い結果に繋がるとは非常に参考になった。そしてほとんどの人が、ハリス(ハリ付き)が交換可能の仕掛けを使い、惜しげも無くハリスを交換していた。はやりハリは魚との唯一の接点部分で釣り道具の中でも一番重要な箇所。魚の食いが悪ければ尚更ハリ先に気を使うべきだろう。最終的にもこの人が37尾を釣り上げ竿頭。スソ(最低)は6尾、いかに“別次元”の釣りを展開していたかが分かる。

今夜は美味しくいただきます!!
これが自分の最大サイズだよ!と
苦労して釣るから楽しい!と

これから潮温が20度位に下がってくれば、カハワギはどんどん深場に密集し見付け易くなる。「その頃になれば、更に数釣りが期待出来る」と船長も太鼓判を押していた。また、肝がパンパンに膨れ、通称“肝パン”と呼ばれる絶品カワハギが多く釣れてくるのもこの秋からの季節。是非、久比里『山下丸』に足を運んではみてはいかがだろう。

この日のビッグワン!
雨でもやっぱ楽しい!!
この日トップのヒーロー!!

(鈴木 恭介)

今回利用した釣り船
神奈川県久比里港『山下丸』
〒239-0828 神奈川県横須賀市久比里1-3-3
TEL:046-842-8856 (定休日:第2、4金曜日(第5金曜日は不定期))
詳細情報(釣りビジョン)
山下丸ホームページ
出船データ
乗船料金:8200円(殻アサリ付き)
9000円(剥き身アサリ付き)
出船時間:8時~ / 沖上がり:14時半(帰港15時予定)
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