釣りビジョン

2012.4.1号

とうふや丸・神奈川県大磯港
相模湾・瀬ノ海でアジの入れ喰いに遭遇!

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アジは、沖釣りの中でも比較的簡単な釣り物とされている。初めての人にでも簡単に釣れ、ベテラン勢になれば“ツ抜け”(10尾以上)が当たり前と言われる魚である。しかし、そんなアジでも投入すれば必ず掛かる-と言った正真正銘の“入れ喰い”にはなかなか出会えないものだ。3月19日、相模湾・瀬ノ海で、その“入れ喰い”に遭遇した。

“12(とうふ)の会”メンバー4人と同船

午前6時、神奈川県・大磯港に到着。車を船着き場前に停め、緑色のシートが目印の受付に向かった。『とうふや丸』の乗船システムは、港前の受付で乗船料を払い、好きな釣り座の番号札を裏返して、市場で氷を購入、船に乗って準備すればよい。私は右舷ミヨシ(船首)に座わった。船には『12の会』メンバー、幸山明雄さん、矢部正明さん、林文孝さん、瀬川聴さんの4人が乗船していた。『12の会』とは、毎月12日を“とうふの日”と決めて月に1度釣りに来ている仲良しグループとか。しかし、この日は19日である。聞いてみると、必ず12日と言う事ではなく、全員予定が合う日であればOKなのだそうだ。私を含め6人を乗せて午前7時、定刻に河岸払いした。

とうふや丸受け付け
自分の釣り座を裏返す
お得に使えるスタンプカード&割引券

釣り場は航程15分、瀬ノ海水深100m

仕掛け図
舵を握る関野幸男船長は、通年アジ狙いで出船しているアジ釣りのエキスパート。「先週までは、30cm超えの大型メインで釣れていましたが、ここ数日は25cmぐらいの中型が中心になっていますね。昨日は釣り人の都合で正午に早上がりしたのですが、32尾と好調でした。その100mダチから見ていきましょう」と言いながら、瀬ノ海に向けて舵を切った。移動中に右舷胴の間(中央)の幸山さんは青イソメを2cmのサイズに切り分け、餌の準備に取り掛かっていた。『とうふや丸』で準備してくれる付け餌は赤タン。青イソメを使いたい人は事前に準備していこう。
午前7時20分、釣り場に到着、船長から投入合図。「いいですよー。水深98m、底から3~4mでやってみて」。最初のポイントは船が1隻しか入る事のできないピンスポット漁礁。狭い1点を狙い打つ。1投目が着底してすぐに左舷大ドモ(船尾)の瀬川さんが大声を出した。「来たよ~。3の2だよ」。3の2とは、3m巻いてその場所でコマセを振って、2m上げて待つ。その略なのだそうだ。しかし、海面を割ったのは25cm級のマルアジだった。

ビシ&仕掛け&赤タン
98~100mが最初の釣り場
船中第1号のマルアジ

アカイサキ&イサキが登場!

「マルアジは、普通嫌われ者ですが、新鮮な内に食べると美味いですよ。僕らはサバでもアジでも1尾目は新鮮な内に船上で食べるって決めているんです」と、瀬川さんは手際よく一口サイズに切り分け刺し身を造り、“合わせ味噌”と混ぜて口に放り込んだ。「うん、美味い!マルアジも鮮度がいいと歯応えもあって最高ですよ」。こうして大ドモでは、2流し目の移動中にちょっとした宴が繰り広げられていた。
2流し目、水深100mで投入の合図。ここから私も竿を出した。使用するビシは130号、コマセはイワシのミンチ。コマセカゴに8分目ほどコマセを詰め、まずは持ってきたイソメを2cmほどの長さに切って投入した。仕掛けは船宿で販売している2本バリ、クッションゴムは使わないのが『とうふや丸』流だ。着底後、3m巻き上げ、力強くコマセを振る。そして、2m巻き上げた。すると、コン、ココン。微かなアタリが先調子の竿先に出た。「アジってこんなにアタリ小さかったかな?」と半信半疑で巻き上げ開始。すると、海面に浮いたのはピンク色のアカイサキ。右舷胴の間と大ドモでもヒットした様子で取り込みの真っ最中。何とこちらはイサキ、思わぬゲストに笑みがこぼれた。

私の竿に来たアカイサキ
このサイズだと嬉しいね。
小さいけど嬉しい1尾!

100mダチを諦め150mダチへ

その後、3時間程沈黙が続いた。気が付けば周りには10隻近い船団が出来ていた。しかし、“本命”のアジは中々姿を見せてくれない。昨日までいたアジの大群は何処へ行ってしまったのだろう。そんな内容の無線が飛び交っていた。「カタクチイワシの反応が今日は濃いですね。もしかしたらこれが影響しているのかもしれません」。そんな話をしている最中に仲間船から150mダチで“型が見られた”との情報が入った。実は、船団が出来ていた100mダチは根の上縁の部分。つまり、カケ上がりの上。しかし、150mダチは根の下の落ち切った場所だ。「150mダチまで深場で釣るのは久しぶりですね」と船長。ここまで深場を狙うのは数カ月振りとの事。午前11時20分、150mダチに到着すると周りの船で釣り上げられるアジの姿が見えた。期待大だ。「やっていいよ~。水深148m、タナは底から4~6m」。ここからアジの入れ喰いが始まった。

入れ喰い時のアジの反応♪!
関野幸男船長

目が覚めるような入れ喰い!!

2本バリに赤タンが付いているのを確認、コマセを詰めて投入。着底を確認して糸ふけを取り3m巻き上げ、1m刻みに2回コマセを振って底から5mのタナで待つと、ブルブルン!ブルブル。すぐに竿先に“本命”らしきアタリが出た。アカイサキとは明らかに違う大きなアタリ。軽く合わせを入れてゆっくりと巻き上げて追い喰いを待つ。すると、ドン、ドドン。手元に感じる重みが増した。すぐに電動のレバーを中速に入れて巻き上げ開始。時折、深場のアジとは思えない鋭い引き込みを見せる。そして、海面下には銀ピカに光る食べ頃サイズのアジが2尾泳ぎ回っていた。この日初めての“本命”、口切れしないよう慎重に抜き上げた。右舷大ドモでも「こっちも来たよ!いや~本当に入れ喰いだね、楽し~いね~」と林さん。『12の会』メンバー4人は3本バリで3点掛け、2点掛けを連発させ、次々と取り込んでいく。サイズは25~35cmの食べ頃サイズばかり。私のバケツも1時間足らずで一杯になった。

私の竿にヒットした良型アジ2尾
幸山さんもダブル!
林さんはトリプル!
こちらもダブル!
アジの抜き上げは慎重に♪
良い型ですね~

竿頭は39尾、20日は47尾、21日は55尾!

その後も入れ喰いが続き、午後2時の沖上がりを迎えた。3点掛け等で数を伸ばした瀬川さんが39尾で竿頭。取材しながらの私も20尾の成績。11時20分まで“本命”が釣れなかったとはとても思えない釣果だった。
その後も『とうふや丸』では、20日に47尾、21日は55尾(共にトップの釣果)と好調をキープ。「5、6月の潮が濁る時期には50~60mダチで釣れるようになります。楽しみですね」と船長。目が覚めるようなアジの入れ喰いタイム。是非皆さんにも体感して頂きたい。

納竿前に出た大型アジ!
クーラーは良型ばかりで満タン♪

■絶品の“揚げ出汁”&“簡単づけ丼”■

大磯港前にお店を構える『飯~ぼん~』の関野亨店長が自信を持って推薦する釣りたてのアジを使った“揚げ出汁”&“簡単づけ丼”。是非お試し頂きたい。私も両方頂いたが、揚げ出汁は今まで味わった事のないアジの香ばしい香りがスープに広がり、疲れが一気に吹き飛ぶほどの美味しさだった。改めてアジの味の奥深さを再認識させられた。

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
神奈川県大磯港『とうふや丸』
〒255-0003 神奈川県中郡大磯町大磯2086
TEL:0463-61-6359
詳細情報(釣りビジョン)
とうふや丸ホームページ
出船データ
アジ船=9,000円(コマセ・赤タン付)
※スタンプカード、次回割引券有り(スタンプとの併用不可)
午前6時半までに受け付け、午前7時出船
午後2時沖上がり
居酒屋「飯―ぼんー」
TEL:0463-61-6275(定休日:水曜日)
営業時間(昼:11:30~14:00 夜:18:00~25:00)
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