釣りビジョン

2012.10.15号

あままさ丸・千葉県大原港
千葉県・外房、大原沖でヒラメ解禁!横流しのLTに挑戦

04_main.jpg
10月1日、千葉県・大原沖のヒラメ釣りが解禁になった。今シーズンは各地で好成績が連発する“当たり年”、大原沖でも解禁と同時に“ツ抜け”(10尾以上)釣果が続出している。水深も15m前後と浅く“ゲスト”にはヒラマサやワラサ、時には大型のマダイなども交じる。11日、大原港『あままさ丸』に出掛けた。

朝の1流し目からアタリ連発!

「さあ、やってみましょうか!」。航程15分の太東沖で、舵を握る天野正毅船長から投入合図が出た。水深は15mライン。この日は女将の友紀さんも同船し私を含めた4人が右舷に並んで竿を出した。40号オモリが時折底を叩く様にタナを取り、竿先に神経を集中する。流し始めて間もなく、船中最初のアタリが私の竿先に現れた。「コツン」という音まではしないが、手元まで届く“LT(ライトタックル)”でのアタリは明確である。慌てて竿先を送り込むと、間を置かずにガツガツと派手に引き込まれた。道糸が船底に擦れない様に気を付けながら巻き上げに掛かるとヒラメとは思えない“走り”。「“青物”っぽいですね」と船長。上がって来たのは1kg級のイナダだった。ほぼ同じタイミングでミヨシ(船首側)の板倉さんも同サイズのイナダをキャッチ。そして大ドモ(船尾側)の北山さんは1kg級のヒラメを上げて船内は一気に活気付いた。さらに次の投入でも私にイナダ、板倉さんに1kg級のヒラメが上がった。いきなりの“ラッシュ”に船長もホッと一息。

仕掛け図
船宿オリジナル仕掛け
正毅船長の熱い指導

“本命”第一号は北山さん
朝一はイナダも連発!
食い込め!!

2流し目には、ヒラマサも登場!

船を潮上にまわしての2流し目は、ヒラマサの登場でさらに船内は盛り上がった。ヒラメ釣りは初挑戦というミヨシの板倉さんが、やや強引なやり取りで3kg級のヒラマサを釣り上げたのだ。「ちょっと強く巻き過ぎだよ」という船長の地元の先輩とか。羨望の眼差しで撮影を終えて自席に戻ると、今度は私の竿にアタリ。やや時間を掛けて十分に食い込ませると乗った!イナダとは明らかに違った引きを味わって1kg級のヒラメをキャッチ。続いて大ドモの北山さんがビッグファイトを開始。ゆっくり時間を掛けて上げて来たのは、またしても3kg級のヒラマサ。「こんなの初めて釣りました」と興奮気味に笑顔が弾けた。

ヒラメ初挑戦で良型をキャッチ
私に来てくれた1kg級
絶好調の板倉さんは2尾目のイナダ

3kg級のヒラマサをゲット
“本命”のヒラメも好調!

やる時はやります!友紀女将が船中最大の“本命”をキャッチ!

さて、朝一の“騒ぎ”から一人蚊帳の外だった女将の友紀さん。普段から“ひとつテンヤ”はかなりやり込んでいる様だが、ヒラメに関しては今日で3回目とか。「釣れない心配はしていなかったんですけどね」と友紀さん。ここまでアタリが無かったのは仕掛けの親子サルカンが機能していなかったのが原因と判明。仕掛けを上げる度に絡まっている。「友紀さん、後は“大ビラメ”ですね。お膳立ては整いましたよ」と正毅船長が冷やかす。すると、そこからの“捲くり”が凄かった。仕掛けを替えて底を取るとすぐにアタリ、難なく1kg級のヒラメをキャッチ。更にこの日最大の2.3kgの良型ヒラメを釣り上げてしまったのだ。そして少しでもアタリが遠のくと「船長!アタリないんでヒラメの居るとこ連れていって下さい」と逆にプレッシャーを掛ける。“夫婦漫才”的な、和やかな空気が船内を漂う。この楽しげな空気は『あままさ丸』の魅力の一つ。魚を釣るだけが船釣りじゃない、そう思い返させる一幕だった。

1kgオーバー!
船中最大の2.3kgをキャッチ!
“捲くり”の友紀さん!ここにあり

“LT”(ライトタックル)のバランス

『あままさ丸』のヒラメ釣りは“LT”専門の乗合船である。“専門”と言うだけあってタックルには様々な工夫とアイデアが凝らされていた。広大なシャローフラット(浅瀬)が好釣り場となっている大原沖。ここでのヒラメ釣りは風を船の横に受けての“横流し釣り”が基本となる。(稀に船を風に立てる場合もある)ノーマルタックルでは80~100号、速潮時には120号のオモリが使用される事もある。「常に右舷、左舷のどちらかの道糸が船下に入り込む“横流し”で、40号オモリが基本の“LT”が可能なのだろうか…」。取材前に感じていた不安は朝一の1流し目ですんなり解消されていた。「道糸はPEの1.5号がお勧めです」と船長。それ以上太くても水圧の抵抗が大きく、また細くても強度や耐久性に乏しい。何度も試した結果が1.5号だったと言う。ただし、リールはドラグ力の高いモノが必要になる。そして状況に応じて「右舷は50号、左舷は40号」と、異なる重さを指示する事もあるそうだ。オモリが軽く常に手持ちで狙い続ける事で、置き竿では取り逃がしていたアタリにも対応できるのは最大のメリットだろう。体力に自信のない高齢者にもお勧めだ。さらに『あままさ丸』オリジナルロッドも現在開発中と言うのだから“LT”に対する思い入れは相当なものである。

太東沖の浅場がポイントだった
潮裏では道糸を大胆に伸ばした
日中もアタリは続いた

美味しく食べるまでが魚釣り

『あままさ丸』独自のサービスの一つに“神経絞め”がある。プロの料理人などが用いる絞め方だが、ただの“血抜き”より日持ちもすると言う。釣ったその日か翌日に食べる場合は、ただの“血抜き”を勧めているが、3日以上経ってから食べる場合は“神経〆”を勧めるのだとか。このサービスは船上で正毅船長自ら行う。実際に船長とその家族で毎日食べ比べをした結果だと言うので私もお願いしてみたところ、どちらも美味しく食べられたのだが、3日目で僅かに香りに差が出ている様に感じた。「美味しく食べるまでが釣りですからね」と船長。その為のサービスに手間をいとわない心意気を感じた。

トップは5尾でオデコ(ゼロ)なし!

この日のトップは大ドモの北山さん。“本命”5尾に3kg級のヒラマサも釣り上げ、更に午後のマダイ船(ひとつテンヤ)にも乗船して行った。次いで女将の友紀さんが4尾、私が3尾(もう1尾はリリース)、この日初挑戦の板倉さんも2尾にヒラマサと十分な釣果である。大原沖のヒラメは始まったばかり。今シーズンは、是非“LTヒラメ”に挑戦してみては如何だろう。

(津端 雄大)

(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
千葉県大原港『あままさ丸』
〒298-0004 千葉県いすみ市大原10082-12
TEL:090-8686-1200 (定休日:第1・3月曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
あままさ丸ホームページ
あままさ丸ブログ
出船データ
LTヒラメ予約乗合
料金=11500円 生きイワシ・氷付
午前4時30分集合 5時出船、11時沖揚がり(出船時間は予約時に確認)
午前・午後ひとつテンヤマダイにも出船中
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー