釣りビジョン

2013.4.1号

勇幸丸・千葉県片貝港
桜とともに千葉県・片貝沖のハナダイ満開

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桜の便りが南から届き始めると、心が浮き立つ。桜と言えば花、花と言えば「花鯛」だ。ちょいと無理な感がしないでもないが、千葉県・外房、片貝沖のハナダイが好調に釣れているとの情報を聞きつけ、シケが治まった3月16日に片貝港『勇幸丸』に出掛けた。

潮温低下を確認、ポイントを深場に変更

「勇幸丸」は幅も広い
午前4時30分頃到着。首都圏から凡そ90分、思っていたよりもずっと近い。目印の公衆電話ボックスの手前を左折して船着き場に行くと、岸壁には5、6隻の釣り船が横付けされていた。「勇幸丸」は手前から2隻目。まだ暗い中、先着の釣り人と話していると、市東(しとう)吉雄船長と女将さんが到着。船長は「最近は、シケで出られない日が多かったけど、今日は期待できそうですよ」と言う。女将さんから予約は11人と聞いていたが、集合時間の5時30分には15人になった。船は“外洋仕様”の大型船、片舷8人でも窮屈な感じは全くない。準備が整って5時40分に出港した。最初、船長は港に近い浅場の“漁礁周り”を考えていたようだが、潮温の低下を確認して、急遽深場の“中根”にポイントを変更した。

余裕のロングボディー
市東吉雄船長
当日の仕掛け図

水深は43m、タナは40mから30mまで探って!

オリジナルはカラバリ3本(左)と市販のウィリー仕掛け
航路1時間程で釣り場に到着。船長は安全上の注意事項をアナウンスの後、慎重に場所を選んで投入合図を出した。「ビシは下を閉めて上窓だけ3分の1ほど開けて下さい。水深は43m。タナ40~30mの間を探って下さい。仕掛けはウィリー、沖アミ等使い分けて下さい」。全員が期待を込めて仕掛けを投入した。

カラバリには沖アミ(全員に配付)
“特餌”アオイソメ(持ち込み)
赤く染めたイカ短(持ち込み)

デビュー戦が3人、全員マンツーマンの手ほどき

今回は“デビュー戦”となる釣り人が3人居合わせた。その内の2人は、左舷胴の間(中央)に座った澪川(みおかわ)さんと湯浅さんだ。ともに20代、大の仲良し同級生。2人はいつも新鮮な魚を届けてくれる「近所のおじさん」に誘われての“沖釣り初挑戦”となった。竿の持ち方からリールの使い方、コマセの詰め方、シャクリ方までマンツーマンで指導を受けている。
もう1人は、右舷胴の間に座った小見野(こみの)優也君だ。4月から小学3年生になる。聞けば今年やっと「脇の下」の位置が船縁の上に出たので「シャクリ釣り」に初挑戦するのだと言う。したがって竿を水平より下の角度には向けられない。父親の聖也さんから手ほどきを受けて、竿を9時から11時の角度にシャクってゆく。

「今日は釣れないパターン」から入れ喰いモードに突入!

釣り始めて15分程は、誰にもアタリがない。「今日は釣れないパターンかな」澪川さんのコーチ役を務める吉野さんから弱気な発言が飛び出す。その時「底に良い反応が出てきたよ」と船長からアナウンス。すると「アタッたよ」右舷からの声を聞きつけて飛んで行くと、優也君がリールを巻いている。お父さんの助けを借りて船中第1号が上がった。ビッグサイズのアジだ。間を置かず弱気発言の吉野さんにもアタリ。同型のアジが取り込まれた。更に左舷ミヨシ(船首)の中村さんが船中初のハナダイを釣り上げた。これで船内が一気に活気づいた。
見様見真似でシャクリ続ける澪川さんにもアタリ。吉野さんが手伝って立派なアジを取り込んだ。思わず本人から「やったー」の声。吉野さんも笑みがこぼれる。一方の湯浅君もハナダイをGET。「2尾目だよ」と自慢げ。コーチ役の豊川さんも目を細める。この後、入れ喰いモードに突入する。

船中初のハナダイが中村さんに
ハナダイとマアジの一荷 澪川さん
澪川さんの師匠、吉野さん

初めて釣ったハナダイ、湯浅さん
湯浅さんの師匠、豊川さん
小見野親子のクーラーボックスは満杯

魚が船下に居付いて離れない!“ハナダイ満開”

お父さんはハナダイの一荷、優也君はアジ
こうなると15人の力は侮れない。いつでも誰かがコマセを出しているので魚が船下に居付いて離れない。見る間に魚が全員のオケに満ちて行く。最初はアジが多かったが、途中からハナダイが主役を務めるようになった。優也君もハナダイを釣り上げて得意満面(巻頭写真)。最終結果は、ハナダイがトップ25尾。陸の桜とともに“ハナダイ満開”となった。“ゲスト”はアジが山盛り。この記事がアップされる4月1日には、待望のイサキも解禁となる。船長は、当面ハナダイとイサキの2本立てで出船予定とのこと。楽しみがまた一つ増えた。

よく見るとハリが?これが本当の“鼻鯛”
縄手さんにも待望のハナダイ
「資源保護」を理由に途中で竿を納めた片岡さんのオケ

釣りは、教わっても教えても面白い

沖釣り初心者を見ていると、かつて自分が始めて船に乗った頃のことを思い出す。先輩から、竿の持ち方、仕掛けの結び方等、手とり足とり教わった。初めて釣れた時の喜びは今でも鮮明に覚えている。経験を重ねると教える側の喜びも味わう機会がある。今回、コーチ役の吉野さんや豊川さん、優也君のお父さんが“自分が釣った時より嬉しそうな表情”を見せたのも理解できる。今後、3人のビギナーがどう進化していくのか、再会を楽しみにしたい。

(釣りビジョンAPC・谷口 晴治)

今回利用した釣り船
千葉県片貝港『勇幸丸』
〒299-3201
千葉県山武郡大網白里町北今泉3404
TEL:0475-77-2594
詳細情報(釣りビジョン)
勇幸丸ホームページ
出船データ
ハナダイ船:1万500円(税込)
仕掛け:オリジナル3本バリ2組 船内で購入可能300円
氷:無料
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