昨日のゴギは狙ったものでなく突然訪れた夢だった。この日のは、教えられた通りに出来て狙った通りに掛けた夢だった。ゴギは美しかった。ニンゲンの手垢にまみれていない命があって、川が分泌するものだけを食べて世代を繋いできたと思うと声が詰まる。気候と水とが化学反応して生じた一点の奇跡が喜寿アングラーの不器用に巻いたフライを追って来たのだった。弟子のお利口な勉強ぶりを師匠に認めてもらえたのではないか、師匠も弟子に釣らせてやったぞ感に満たされているはずだ。二人のジイちゃんはお互い幸せにまみれて帰路についたのであった。