伊藤嘉朋船長に最近のマダイの模様を訊いた。「魚自体はね、かなりイイと思う。浅いところにもちゃんと入ってるし、ベイトも入ってるし。なのに、いわゆる黒潮の蛇行で、潮が読めないのが最近続いてるんですよね。今はハイシーズンなんで、一つ潮を掴んじゃえばちゃんと答えを得やすいというか、それを待ってるんですけど。遠くのエリア、八方とか金洲とかも行くんですけど、そっちまで走らせてもなかなかイイ潮が見つからなかったりもするんで。そのへんが揃ってくれば、本調子になってくるんですけどね。ちょっとだけ、少しだけ潮が変化すればね、すごい良いと思うんですよね」とのこと。こればかりは自然相手なので、まめに釣行を重ねて良い日に当たるより策はない。一方、釣り人が出来ることを尋ねると「やっぱね、自分が見てて思うのは“キャッチ率を上げること”ですね。時合いが来て、アタリがあって、チャンスがあっても、3回全部モノに出来れば、カンタンなんです、もう3匹獲れるんです。それがやっぱり課題で。今は市販で、色んな道具が売ってるんですけどね、それを丸ごと持って来るんですね。それは間違いじゃないんだけど、ハリのセッティング、これが大事。替えのハリを持って来て、1匹釣れたらまず換える。ハリ数も2本なのか、3本なのか、そのセッティングもその時に応じて交換する。1回外したら、もうダメなんだよね。「あぁ、これダメだったんだ」ってすぐチェンジ。コレだけやってれば、どこへ行っても釣果は上がると思います」。これは“タイラバ”に限らず、様々な釣りに通じる釣り人の心得。船上で手詰まりになった時、思い出せるようメモして置きたい。タイラバの最盛期に突入、初めるなら今!かくして、マダイの釣果は0〜3匹。この数字だけを見ると控えめな釣果に見えるが、“ゲストフィッシュ”が多彩なので、みなさんクーラーの中身は賑やか。アタリの数は釣り座を問わず満遍なく出ていたので、惜しくもマダイの釣果が上がらなかったお一人も、「あの時とあの時のバラシが無ければ…」と悔やまれる。「産卵が終わって、イワシとか追い始めるようになってるんでね、今からが本当のハイシーズン」と船長も太鼓判を捺す御前崎沖の“タイラバ・ゲーム”。産卵後の回復期を経て、マダイの味覚も全く文句ナシ。お手軽さと奥深さを併せ持つタイラバの面白さを、この好機に是非体験して頂きたい。