ムギイカはスルメイカの幼体の呼び名で、成長して大きくなるとスルメイカと呼ばれるようになる。

記者が小田原早川港『平安丸』を訪れたのは6月上旬。ちょうどムギイカが“ムギイカ寄りのスルメイカ”もしくは“スルメの一歩手前”、“ニセイカ”などと呼ばれるサイズに成長した頃だった。このサイズは初心者にもアタリがわかりやすく、釣れればズシンと重くなりしっかりとした引きを味わうことができる。さらに、若いため身が柔らかく、知る人ぞ知るとても美味しいサイズなのだ。

スルメイカ船は出船は5時30分。受付は5時までに『平安丸』新店舗（写真参照）にて。新店舗への案内は、記事末の「平安丸 ホームページ」を開き「アクセス」ページの地図内に書かれた住所（神奈川県小田原市早川1丁目20−2）をナビに入力すると良い。

この日の駐車場は「港駐車場A」。白い門から港に入りスロープを下ると左奥にスタッフが待機していて誘導してくれた。スルメイカ船の『第八平安丸』に乗り込み、釣り座に荷物を下ろし、仕掛けの投入器と海水桶を借りる。

程なくすると、小林哲郎船長がバケツに氷を山盛りに入れて持って来てくれた。氷はクーラーボックスに入れ、バケツは返却する。両隣との間隔を均等に開けて竿掛けを取り付ける。道糸のスナップと仕掛け（できれば“直結”）の上端をつなぎ、ツノは投入器に1本1本順序よく入れ、仕掛けの下端にはオモリ120号を付けて船縁の棚に置いておく。これからの時期は日焼け対策と水分補給の十分な準備もお忘れなく。

『第八平安丸』は定刻通り5時30分に舫を解いた。外海に出ると南へと進路をとる。目指すはこの所、絶好調の小田原南沖だ。航程は50分程度かかっただろうか？初島が見えて来た。

船長は魚探でスルメイカの群れを探しあてると、船首を風上に向け船を停止させ「はいどうぞ」とアナウンス。釣り人は船首を風上に向けた段階でオモリを手に持ち、いつでも投入できるように構えている。そして、船長の「はいどうぞ」の「は」が発せられた瞬間、オモリを正面に投げて仕掛けを投入。摩擦が最小限になるよう竿先を下に向け、一瞬でも早く着底させるのがイカ釣りの定番スタイルだ。着底と同時に何人かが巻き上げ開始！スタートから絶好調だ！

実は釣れるスルメイカのサイズが大きいので驚いた！ムギイカがひと回りか二回り成長した程度？と考えていたが、とんでもない！その想定は良い方に大きく裏切られた。アベレージで24～25cm。大きいものだとなんと30～35cm！ちょっと大きめの“ニセイカ”を主体に、30cm超の立派なスルメイカも混ざる！

元気の良いスルメイカが「ズンッズンッズンッ」とはっきり多点掛けに乗ったのも分かりやすく、巻き上げれば結構引く。上手な人は手返し良く再投入してさらに数を伸ばしていた。

こういう時間帯に数を伸ばすのがイカ釣りの鉄則だ。と言うのも、この日はサバの邪魔が多く、仕掛けが絡まり解くだけでその流しが終わってしまうことも。バラさずに取り込めればできれば仕掛けは“直結”がオススメだ。

その後もムラはあったが、良い群れに当たるとスルメイカはパラパラッと乗った。上手な人にコツを聞いてみると、「乗せると言うより向こうから乗って来る感じです。シャクりもガシガシやるのではなくて、ヤリイカ釣りみたいにそっと誘う感じが良かったように思います」。日によってなのだろうが、この日はそんな釣り方をすると良かったようだ。
結果、スルメイカ、24～35cm、0～44匹。竿頭は神奈川県湯河原町の力石さん。平均25匹前後と絶好調だった（0はお一人）。

小林哲郎船長に今後について聞いてみた。
船長「何年も不漁だと言われて来たスルメイカですが、今年はこのところ絶好調です！スルメイカ・ファンは“今”ですよ！この好調はまだしばらく続くと思います。秋頃までは楽しめると思いますので、この機会に是非チャレンジお待ちしております」