釣りビジョン

復調気配の東京湾・シロギス、夏シーズンに向けて好発進!

2018年07月01日公開

02_main.jpg

「ビギナーからベテランまで」、「貸し竿から和竿まで」。誰にでも楽しめ、しかも奥が深い釣り物の代表格、シロギス。ところが、昨年から急激な釣果不振に陥り、船長達も「ベテランの釣果が3分の1以下」と嘆く厳しい状況が続いていた。しかし、5月下旬になって急展開、再び好釣果が記録され出し一安心。状況を確かめようと東京都足立区・荒川鹿浜橋脇にある『松陽丸』に出掛けた。

【この記事を書いたライター】山口 充

荒川を下って東京湾へ

首都高速道路川口線・鹿浜橋ICを降り、荒川河川敷沿いにある船着き場に向かう。因みに鹿浜橋IC入り口は上下線にあるが、出口は下り線(東北道方面行)にしかなく、川口方面から来る場合は(上り湾岸線方面行)手前の東領家ICで降りる。午前6時に到着。この日は土曜日でもあり、シロギス復調のニュースもあって大勢の釣り人が準備を始めていた。船長の間門陽介さんに状況を聞くと「心配していましたが、食いが上向いて来て良かったです」と笑顔で答えてくれた。午前6時45分に出船、荒川を下って行く。自分は東京・板橋育ちでこの荒川で釣りを覚えた。河口付近は明治時代に治水対策で作られた元荒川放水路(現荒川)。岩淵水門からは新河岸川、そして隅田川へ繋がる。近年はスカイツリーが見られる観光クルーズも盛んだ。

アタリ方が本調子の予感!?

航程80分程で釣り場となる木更津沖へ到着。水深は20m前後。餌の青イソメを2、3cmに切って通し刺し。ほぼ干潮の潮止まり時間だったが、右舷ミヨシの上杉さんには1投目からシロギスがヒット。軽くキャストして探るスタイル。船中でもポツリポツリとシロギスが上がった。アベレージサイズは20~22cm。しかし、完璧に潮が止まると風も無くベタナギ状態。曇り陽気で涼しいのはいいが、船が流れないのでポイントが変わらず、船下を狙うとシロギスのアタリが遠くなってしまいパックンチョ(イトヒキハゼ)が多くなってしまう。数ヵ月前ならこの時点で手詰まり状態だったが、キャスト出来る人は上手く誘いシロギスをヒットさせていた。子供達にも「誘い」を教えた途端、良型シロギスがヒット。ここが復調した大きな部分だろう。これなら「厳しい時間に数を伸ばせる」。左舷大ドモの『松陽丸』常連の金子さんに状況を聞くと、「2本竿でも置き竿の方には全く掛からないんです。置き竿にもアタって来るようになれば数が伸びるんですけどね…」。しかし、誘えばヒットする。久し振りの「シロギスらしい」釣りは見ていても楽しい。更に少し潮が流れ出すと、型が良くなり一回り大きい23~24cm級も交じる様になった。

 

仕掛けに注意!

親戚と来ていた高橋陣門くん。「釣り大好き」と楽しそうに話してくれたが、苦戦していたので軽くレクチャー。原因は直ぐに判った。使っている胴突き仕掛けが東京湾には合わず、ハリスが3cm、下のハリからオモリまでが20cm近くあった。因みに下バリからオモリまでは10cm前後、ハリスの長さは15~20cmが基準。親戚に説明して仕掛けを作り変えてあげると、直ぐにシロギスがヒット。「こんなに違うんですね」と嬉しそう。仕掛けは沢山の種類が釣具店で販売されていて「釣り方」、「エリア」によっても変わるので、もし迷ったら、船宿に聞いて購入する事を勧めたい。ハリの種類、大きさ(号数)、ハリスの太さ(号数)、仕掛けの長さを覚えておくと良い。

竿の調子(曲がり方)で釣り方が変わる

ここで私も仕掛けを投入。キャストしてオモリが着底。糸フケを取って、一気に天ビンを飛ばす様に竿を煽る。大きめのアクションを数回入れるとアタリが出た。一瞬間を置いて次のアタリで乗せる様に巻いて合わせた。「気持ちいい」。このフィーリングは久し振りで10匹連続でヒット。「絶好調」の時のアタリ方だ。2番目のアタリで「合わせず直ぐに巻く」を教えれば、子供でも数を伸ばせるだろう。この時の竿の選択を考えると、6対4の調子でキス竿としては軟らかめで行うとバラシが軽減出来るはず。胴突き仕掛けとのマッチングも良好。逆に「積極的に誘う」なら7対3。自分も硬めでシャープな誘いを行うタイプの釣りが好きなので、硬めがいい。食い込みが悪くなるリスクは穂先に掛かるテンション(竿の曲がり)を弱めにする事で対応する。船長も「個人的には硬め、天ビン仕掛け」が好みだそうだ。近年は道糸となるPEラインの進化で竿も変わり、昔は竿で「感度」を掴んだが、細くて強いPEラインの影響で感度は「糸」で取り、竿は曲がって「バラさない様に」と役割が変わってきている。しかし「釣り味」と言う部分がこの釣りには残っており「テクニック」が生きる。ここがビギナーからベテランまで楽しめる所以である。

2本竿を操り絶好調!

上杉さんは途中から2本竿にして交互にキャスト。広範囲を探り絶好調。ダブルも連発。船中でもコンスタントにシロギスが上がり始め、良型が多いのが特徴。イシモチ(シログチ)も顔を出し賑やかになってきた。後半は雨が落ちて来て釣り辛い状況だったが、魚の活性は変わらず最後までアタリが続いた。午後2時過ぎに納竿。トップは上杉さんの81匹、2番目が71匹で金子さん。
「盤洲も食い出しましたし、富津も型が出てきたみたいです」と船長。各エリアの船長も「木更津、盤洲で食い出さないと心配」と言っていたが、この食いは「今まで何処に居たのか?」不思議なくらいに良型が一気に食い出した。料理も天ぷら、フライ以外にも、鮮度が良いのでお刺し身は勿論、お勧めはしゃぶしゃぶ。皮と身の美味しさを堪能できる。
これから更に釣果アップが期待できる東京湾のシロギス。これから釣り日和も多くなる季節。是非ファミリーで楽しんではいかがだろう。

今回利用した釣り船

東京都鹿浜橋『松陽丸』
〒123-0864鹿浜橋上流桟橋
TEL:090-2666-2108
定休日:毎週火曜日 釣果・施設情報 松陽丸 ホームページ

出船データ

シロギス乗合
出船時間:午前6時45分
料金:8,800円(餌付き、氷は持参)※女性・子供割引あり
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

山口 充
プロアングラーとしてテレビ出演、企画、撮影、雑誌執筆やカメラマンをこなしながら「旅と釣り」をテーマに日本中を釣り歩く。公益財団法人日本釣振興会神奈川県支部長・普及振興委員会。2016年JGFA・MVPアングラーズアワード受賞。伝統の和竿「横浜竿」を使い、2020年IGFAタチウオ世界記録を獲得。
このライターの他の記事も読む

その他オススメ記事

釣りビジョン倶楽部