釣りビジョン

千葉県・御宿岩和田港沖“寒ビラメ”、ノーマルタックルで大物狙い!!

2019年02月01日公開

01_main.jpg

冬が深まると共に期待が高まるのはヒラメの釣果。例年に無く“数”は釣れているのだが、サイズとなると「まだこれからなのか?」と言う印象の今シーズン。そんな中、4kg前後の座蒲団サイズを連日キャッチしているとの噂を聞き付け、千葉県・御宿岩和田港『明広丸』を訪ねた。

「月の沙漠」を生んだ御宿海岸

童謡『月の沙漠』の歌詞でお馴染み、御宿海岸。“砂漠”でないのは御宿の砂浜をモデルに書かれたからに他ならない。それはさておき、釣り人にとって御宿岩和田沖は、大物が浅場で釣れることで名高いヒラメの名所だ。月も清かな午前5時に集合した“寒ビラメ”ファンは5人。船着場の目の前に車を停めて荷物を降ろし、先着順に好きな釣り座を確保する。船長が軽トラックで到着したら、駐車証を受け取り、フロントガラスの内側に掲示して、港入り口の広い駐車場へと車を移動。そうこうしている内に餌の活きイワシが搬入され、出船準備は完了。滞りなく定刻の河岸払いとなった。

日の出前のプライムタイム!

港から10数分でポイントに到着。常連さんばかりの取材日は、各自、釣り座の桶にイワシを運んで竿入れの6時を待った。「はいどうぞ。(水深)12m」のアナウンスで期待の第1投。だが、魚からの返答はなく、流し換えのために仕掛けを上げ始めた途端、船長の置き竿にヒット。大いに竿を曲げて獲り込まれたのは3kg超級と思しき中々の良型。そのまま流しを続行したところ、次に魚を掛けたのは、月2回は「明広丸」に乗船すると言う木田博之さん(中央区)。上がったヒラメは、これまたグッドサイズ。その後もアタリはポツポツあるのだが、食い込まなかったり、巻上げ途中でバレたりと、やや難しいながらも上がる魚はどれも1.5kg級のナイスサイズ。次はどの竿が曲がるかと、期待と集中で寒さを忘れたが、いつしか冬の遅い朝陽が、雲間から顔を覗かせていた。

 

全員がノーマルタックル!

ヒラメ釣りと言えば、細い道糸を用いる新進の“LT(ライトタックル)”が一般的になりつつある昨今。この日の「明広丸」では全員が“ノーマルタックル”で楽しんでいた。長竿にオモリ80号、置き竿という嘗てはポピュラー。LTの竿を常に手で持って頻繁に底を取り直す釣りと比べると、放置プレイの“待ちの釣り”に見えるかも知れない。ところが、実は絶妙なタナ取りや“前アタリ”すら感知出来る奥の深~い釣り。“根掛かり”や“浅場の釣り”、“高いウネリ”、“一発大物”という冬の岩和田沖においては、細糸と短竿のLTより優位な特性をいくつも持っている。船長も「LTでやっちゃダメとは言わないけど…」とノーマルタックル推し。常連さんたちも従来のヒラメ釣りにかなり精通しているので、置き竿の釣りが得意な人には兎に角お薦めしたい船宿だ。一方、LTを持ち込む際に注意したいのが、道糸が船縁から払い出す(離れるように流れる)流しの時は軽いオモリを使っても、船下へ切れ込む(抱え込む)流しでは船中統一の80号オモリを厳守したい。

遂に“大判”ヒット!

一旦アタリの遠退いた8時30分頃。右舷ミヨシ(船首)の長谷川博さん(練馬区)の竿先が海面に引き込まれた。大物用のグラスムク竿を絞り込み、ゆらりと浮かび上がったのは4.1kgの“座蒲団サイズ”。朝イチのポイントで“本命”を獲り逃した後の快挙に「待った甲斐があった」と快心の笑みが零れた。“大判”の登場に船中の意気は一気に高まり、午前9時には船中全員がヒラメを確保。しかもソゲ級(1kg以下の小型)無しと大健闘。潮が流れず、エンジン流しに切り替えたりと船長も様々な攻略を試みながら、1匹、また1匹と釣果を伸ばしていった。

船長に訊く、ヒラメ釣りの“コツ”

船を流しながら水深変化の傾向や根掛かりの注意喚起をマメにアナウンスしてくれる後藤明広船長に、この釣りのコツを訊いた。まずは餌付け。「孫バリは背掛けね。腹に付けると弱りやすいから」とのこと。また、タナの取り方については「3回に1回くらい底にトーンと着く感じ」と非常に明解。ウネリの上下による船の揺れで、置き竿は常に仕掛けの上下動を吸収しているのだが、3回ウネリを吸収する内、1回はオモリが底を叩く位のタナ取りが基本とのこと。水深変化の激しい地形を釣ることの多い岩和田沖。この「3回に1回、底を叩く」タナのキープは意外と忙しい。ちょっと離れて竿を眺めると餌や仕掛けの様子が感知し易いので、船上で手詰まりになった際にはこの感覚を思い出して頂きたい。

取材後日には6.3kgをキャッチ!
船中オデコ無し。竿頭はこの日の船中最大魚4.1kgを頭に5匹を取り込んだ長谷川さん。ソゲも釣れない訳ではないが、概ね1.5~2kg前後の食べ頃サイズで、特に色濃いイワシの反応の中で釣れるヒラメは身が分厚く、脂の乗った“寒ビラメ”らしい個体ばかり。大満足の釣行だったが、実は釣果の谷間だった取材日。「このところ型の良いのが上がり出した」という船長の言葉通り、取材後日には6.3kgと言う文句ナシの“大判”も上がっている。ソゲ級のヒラメで“ツ抜け”るより、釣って手応えのある美味しい良型を手にしたい太公望へ、是非ともお薦めしたい船宿である。

今回利用した釣り船

千葉県御宿岩和田港『明広丸』
〒299-5105 千葉県夷隅郡御宿町岩和田851
TEL:0470-68-3654
定休日:第1・3土曜日 釣果・施設情報 明広丸 ホームページ

出船データ

ヒラメ乗合船
集合時間:午前5時(電話確認)
出船時間:午前5時30分(電話確認)
乗船料金:電話確認
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込むツリキチ。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
このライターの他の記事も読む

その他オススメ記事

釣りビジョン倶楽部