釣りビジョン

静岡県・田子の浦沖の夜タチウオ!誘いとパターンで食い方が変わるテクニカルゲーム

2019年03月01日公開

04_main.jpg

大人気のターゲット、タチウオ。アタリから合わせを入れてヒットに持ち込む熱い釣りだ。様々なスタイルが確立されているが、今回訪れた駿河湾エリアでは「夜釣り」で狙うタチウオが盛ん。静岡県・田子の浦港『鶴丸』に出掛けた。タックル、仕掛けは東京湾の仕様とほぼ同じ。今回は餌釣りのスタイルで挑戦した。

【この記事を書いたライター】山口 充

ゆっくり出かけられるのが良い

お昼過ぎに横浜を出て、安全運転で田子の浦へ。途中サービスエリアで美味しい物を頂きながら、東名高速・富士ICから約15分で到着出来る判り易い港だ。船の近くに駐車できるので便利。港から見える富士山も駿河湾らしい風景だった。『鶴丸』は、駿河湾の四季の釣り物を提供してくれる船宿で、この日の午前はマダイに出船していたとの事。船長の鶴牧謙二さんに話を伺うと、「厳しいかも知れないけれど、タチウオは分からないですからね」。この日一緒に釣りをする事になった本多さん、佐野さんグループも気さくな方々で楽しい取材になりそうだ。午後5時半に着いてしまったが、出船は午後7時。

港を出たら直ぐにポイント

オモリは80号。「60号を使う人もいるが基本的には80号が無難」と船長から案内が有ったので80号を装着。仕掛けは2m前後の2本バリか1本バリ、片テンビンのアーム長50cmを使うので仕掛けもタックルも東京湾とほぼ同じだ。ただ餌はサバではなくサンマの切り身。鶴牧船長の操船で午後7時に出船。「ポイント近いですから準備しておいてくださいね」と、港を出た途端スローになり、「準備出来た方からどうぞ」とのアナウンス。航程約10分。「近いですね」とビックリして水深を聞いてみると55m。いきなり深くなるポイントの様だ。「45m付近から探ってみてタナを掴んでくださいね」と船長。辺りはほぼ船の照明しかない状態で、皆さん水中ライトを装着してスタートしていた。すると1投目から右舷胴の間(中央)に座った佐野さんにヒット。続いて左舷トモ(船尾)で三浦さん、右舷ミヨシ(船首)で植田さんと立て続けにタチウオがヒット。「当たった」、「あっバレた」との声も多く、「熱いですね」と、皆さんに聞いてみると「アタリはかなり有りますね」との事。本多さんも合わせが決まり“本命”を上げる。アタリが多ければパターンが掴みやすい。「もしかして良い日に当たったかも」と笑顔が零れた。右舷トモでもタチウオがヒットして全員安打。予想外の好スタートとなった。

 

細かく誘って食わせる間を取る

数匹連続ヒットさせていた三浦さん、佐野さんの釣り方を見ていると2つのパターンがあった。三浦さんは細かく誘い、止めてアタリを出す釣り方。一方の佐野さんはアタリが有ったタナで食わせる釣り方の2種類。手返しの部分で三浦さんが数を伸ばし、佐野さんは正確なタナ取りでダブルで数回タチウオを上げると言う感じ。特に駿河湾の「夜釣り」でのタチウオの釣り方が出ていたので見ていて面白かった。勘所としては「アタリがハッキリ出ている」という点。これが潮の影響で変わるのかも気になる所で、日中なら餌を早く追う、食い込みが良いと言うパターンに近い。そこに「夜・暗い」というキーワードがあり、食わせる間を確り取る事でフッキング率が上がると言う展開に見えていた。

色々と試してみると

船中良いペースでタチウオが上がったので、ここで私も竿を出した。まずは水中ライトを装着しないでスタートする事にした。一旦45mまで沈めて佐野さんのパターンで狙ってみる。2m細かく誘って食わせる間を取る。これを35mまで誘うと、「コココッ」と竿先にアタリが出た。一旦アタリを見送り、微妙に穂先だけの感覚で誘いを入れてみる。この時、更にアタリが大きくなり合わせるとヒット。1投目からタチウオの引きを味わい90cm級のタチウオを上げる事が出来た。更に3投で3匹連続ヒット。見ていると水中ライトを装着しなくても大丈夫と思うかもしれない。ところが、確実に違う部分を見つけた。「アタリ自体はライト付きより少なく、誘い込むタナが長い距離になる」という事だ。次に、確りと蓄光させたオモリを使うとタナは短くなり、アタリが少し多くなった。そこで、ハリ付近に装着する夜光タコベイトを付けてみると、確実にアタリ多くなり、さらに食い込みを待てる状態に変化。ヒット率もアップした。何も装着しない時は追い食いが少なく1回のアタリを仕留める事に集中したが、装着後は「アタリが有ったらどう食わせるか?」と攻略の余裕が出来る感じだ。ただし、潮の影響や活性の状態で変わって来るので、ハリのサイズを変更等、他の部分のアイテムも釣果アップの幅を広げる事が出来るだろう。後半アタリが少なくなり単発のヒットになったが、上がり間際に再び活性アップ。そのまま午前0時、沖上がりの時間を迎えた。トップは佐野さん、1m越えを含む32匹、三浦さんは、友人に釣りを教えながら25匹とまずまずの釣果。「やっぱりタチウオは楽しい」と実感した釣行だった。シーズン後半との事であるが、まだまだ行けそうな夜タチウオ。是非楽しんで見ては如何だろうか。

今回利用した釣り船

静岡県田子の浦港『鶴丸』
〒419-0201 静岡県富士市厚原894-11
TEL:090-1629-3680 釣果・施設情報 鶴丸 ホームページ

出船データ

夜タチウオ乗合
料金:9,500円 税込(餌・氷付き)
出船:午後6時集合 12時沖上がり(集合時間は船宿確認)
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

山口 充
プロアングラーとしてテレビ出演、企画、撮影、雑誌執筆やカメラマンをこなしながら「旅と釣り」をテーマに日本中を釣り歩く。公益財団法人日本釣振興会神奈川県支部長・普及振興委員会。2016年JGFA・MVPアングラーズアワード受賞。伝統の和竿「横浜竿」を使い、2020年IGFAタチウオ世界記録を獲得。
このライターの他の記事も読む

その他オススメ記事

釣りビジョン倶楽部