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東京湾のショウサイフグ、今期はまだ白子がタップリ!食味最高!

2019年07月15日公開

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昔はマニアが楽しむ釣り物のイメージがあったフグ釣り。カットウという独特の仕掛けを使い、アタリの出辛いフグを釣り上げていくにはそれなりの経験が必要だった。しかし、各老舗船宿が様々なアイテム、竿を製作した事もあってビギナーにも釣り易くなり、大人気になった。ショウサイフグは文句無しの高級魚。処理師資格を持った船長、スタッフが捌いてくれ、贅沢にフグ料理を楽しめる。金沢八景の老舗『野毛屋釣船店』に出掛けた。

【この記事を書いたライター】山口 充

アクセス抜群な金沢八景

『野毛屋釣船店』には、横浜横須賀道路・並木ICか朝比奈ICから約15分、京浜急行・金沢八景駅からもシーサイドライン沿いを歩いて5、6分で着く。まず座席の札を取って受け付けを済ませる。荷物は軽トラで船の前まで運んでくれる。船宿オリジナルのフグ専用竿や仕掛けは、老舗船宿のノウハウが詰まった現場で生まれたタックルだ。『野毛屋釣船店』でも黒川健太郎船長監修のオリジナルロッド、カットウ仕掛けを古くから製作。「健流」と言うブランドは東京湾・ショウサイフグ竿のスタンダートになっている。5代目を数えた竿は現在は販売されていないが、今回も3分の2の乗船者が初代から5代目迄の「健流」を使用していた。オリジナルカットウ仕掛けも長年のデータで仕様が決まっていて、オモリのカラーも綺麗で人気が高い。

大人気!平日でも賑わうフグ船

船宿に到着して空いていたら実釣を兼ねてレポートをとも思ったが、なんと14人の釣り人が乗船。撮影に専念する事にした。餌のアルゼンチンエビが配られると付け易い様に皮を剥いて準備しておく常連達。右舷胴の間(中央)の杉田さんは、「白子を狙いに最近も来たんだけど、何故か自分だけメスばかりで船長に聞いたら、モテて良いじゃんと言われて」と笑いながら話していた。気さくな方々が多く、取材も楽しくなる予感。健太郎船長が「大貫まで走ります」と午前7時15分に出船。航程約40分。久し振りの梅雨の晴れ間。大貫沖まで気持ちの良いクルージングとなった。

 

ショウサイフグと根競べ

ポイントに到着すると「最初は流していきます」とアナウンスがありスタート。水深は10m前後。軽くキャストして探って行く。勘所は竿の穂先に「ラインを軽く乗せる」フィーリングをいかに掴むか。所謂「ゼロテンション」という方法。潮の流れや風、水深でも微妙に変わるが「引いてもダメ、弛み過ぎてもダメ」という部分が面白いところ。「来たっ!」と素早く巻き始めて船中1匹目を上げたのは左ミヨシ(船首)の高原さん。「アタリはハッキリ出ました」との事。上げ潮が残っていた時間帯で、魚の食い気は有る様だ。左舷側でポツリポツリとショウサイフグが上がった。左舷大ドモの内海さんもコンスタントにアタリを出しショウサイフグを釣り上げる。右舷側でも数匹が上がるが、左舷側にアタリが多い時間帯。杉田さんも「やった!オスが釣れた」と嬉しそう。上がったフグは確かにオスが多い。少しずつ潮が無くなりアタリが掴み辛い状況になって来た。「中々餌が食われないな…」と油断していると、いきなり竿先に反応が出たりと気が抜けない展開。いかに集中力を切らさないかも重要だ。

常連さんのテクニックが光る

渋い時間帯にもそれなりに餌を触った感触を掴んでヒットさせていたのが右舷大ドモの上原さん。北風が軽く吹いていたのだが、風と道糸の向き、穂先に掛かるテンションを上手く合う位置にキャストしてアタリを出していた。アタリと言うよりも「微妙に触った重み」を捉えるこの釣りは、道糸の「張らず緩めず」が重要で穂先の細かい操作と感触が肝。風は天敵なのだが何処かの位置に道糸を乗せ易い所が有る。その位置を掴んで毎回キャスト。「アタリは多いんですよ」と話してくれた通り、ポツリポツリと良型をヒットさせていた。「船長の教えてくれた事をやるだけです。釣れない時間、どうしても我流になってしまう。すると迷っちゃうんです」と言う。暫くすると潮が効き始め、右舷側にアタリが出始めた。上手くヒットさせた時の釣り味は最高。引きも強く、あちらこちらで良型ショウサイフグが上がって来た。

アンカーを打って後半戦

後半戦はアンカーを打って再スタート。すると胴の間でも連発でショウサイフグがヒット。細かく船長がアンカーを打ち直してくれるので、その度にヒットする。午後2時頃になると、3連続ヒットやダブルヒットの場面も見られるようになった。最後にアタリがハッキリと出るパターンになり各自釣果を伸ばしていた。午後2時30分に納竿。トップは31匹を上げた上原さん。「白子も入っていて、これからも良い感じですので是非遊びに来てください」と船長。やはりフグ釣りは面白い。是非白子タップリな東京湾のブランド魚・ショウサイフグを楽しんで見ては如何だろう。

今回利用した釣り船

神奈川県 金沢八景 『野毛屋釣船店』
〒236-0026 神奈川県横浜市金沢区柳町7-5
TEL:045-781-5964
定休日:毎週木曜日 釣果・施設情報 野毛屋釣船店 ホームページ

出船データ

ショウサイフグ:9,300円
※女性1,000円引き、中学生以下半額、前回の乗車券の半券で500円割引
有料駐車場:500円
氷:210円
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

山口 充
プロアングラーとしてテレビ出演、企画、撮影、雑誌執筆やカメラマンをこなしながら「旅と釣り」をテーマに日本中を釣り歩く。公益財団法人日本釣振興会神奈川県支部長・普及振興委員会。2016年JGFA・MVPアングラーズアワード受賞。伝統の和竿「横浜竿」を使い、2020年IGFAタチウオ世界記録を獲得。
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