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出た!40kg超!神奈川県・相模湾キハダ&本ガツオ、俄然沸騰中!

2019年09月01日公開

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朝夕は随分と涼しくなって来た今日この頃。相模湾の海上では依然としてキハダマグロ&本ガツオ・フィーバーが冷めやらぬ。秋の訪れと共に型も良くなり、数も期待できるとの噂を聞き付け、神奈川県・葉山あぶずり港『たいぞう丸』へ出掛けた。

午前4時過ぎ、大物ファン続々!

『たいぞう丸』の窓口は、葉山あぶずり港にズラリと並ぶ船宿のほぼ中央。オープン前に到着したら、店頭のファイルに掲示された座席表に名前を書いて釣り座を確保する。駐車場は船宿に向かって右手のゲートを入った奥にあるので、誘導のスタッフに「『たいぞう丸』のキハダ船です」と声を掛けて駐車場所を案内して貰う。この日は平日の水曜日だったが、午前4時過ぎには既に1/3が埋まって続々と車が入ってくる盛況ぶり。集合時間になったら船宿へ向かい、乗船料を支払う。慣れている人なら釣り具やクーラーを降ろすのはその後でも充分だが、初めての乗船なら先に港の売店でクーラーに氷を詰め、予め道具を船着場へ運んでおくと安心だろう。

出船前準備の豆知識
乗船の際は2隻出しなので乗り間違いに注意。釣り座には釣り人の数に合わせてコマセ桶のリングとコマセと付け餌の冷凍ブロックがセットされているので、これを真っ先に解凍したくなるのだが、まずは表面の1/3程を解凍して、残りはビニール袋を封してクーラーへ仕舞って置くと良い。餌の鮮度は釣果に大きく影響するので是非ご留意を。なお解凍した付け餌は、厳選した物をタッパーに入れてクーラーへ入れておくとハリ持ちの良さが長時間キープできる。更に塩で締めたり、ガムシロップ漬けにするなどの秘策はお好みで。かくして滞りなく出船準備は整い、「第21たいぞう丸」は定刻よりちょっと早めの河岸払いとなった。

船団がカツオを追う中、船長の英断

穏やかな相模湾を走ること30分ちょっとで江ノ島沖に形成された船団と合流。指示ダナ15mで竿を出すと間もなく、船のすぐ近くにボイル(カツオの捕食による海面の波立ち)が起こるなど、ボルテージは最高潮。各船、ポールポジションを巡る壮烈な操船技術を披露した。が、血気盛んにカツオを追う船団をよそに、魚群探知機を見ながら船を静止させた河村船長。「はい、どーぞー。30でやって下さい、30!」と一段深いタナを指示。船中の一同が指示ダナでコマセを振り、仕掛けが潮に馴染む丁度その時、右舷胴の間(中央)の福田さん(甲府市)の竿先が海面に絞り込まれた。ややノされ気味の体勢を船長がすかさずサポート。ハリスが14号と聴くと、船中全員に仕掛けを上げるよう協力を要請した。魚が走る、ないし潜る間は竿でタメてプレッシャーを掛け、魚が上を向いたら船長が手で道糸を手繰るスタイルのファイトを繰り返すこと15分程。右回りに円を描きながら海面に現れたのは良型のキハダマグロ。無事、タモ入れに成功し「せーの、よいしょー!」の掛け声で取り込まれた魚は全長145cm・重量27.7kgのグッドサイズ!船長や同行の釣り友だちと握手を交わした福田さんは「いやぁ嬉しいですね、今年は初めてです」と感無量の面持ち。暴れる魚は船長によって手早く神経締めにされ、更に手際良くエラを抜いて血抜きが行われた。その間わずか90秒。この後、魚は船尾の大型クーラーで帰港するまで氷詰めにされた。「美味しく食べて貰いたい」と語る船長の意気込みが伺われる万全のアフターケアだ。この良型がこの日の船中1匹目。弥が上にも釣り人たちの期待感は高まった!

この日の本ガツオは足速く捉え難し
この日の本ガツオは足が速く、群れも決して大きくなかったようだ。そのため走っては投入、1分も待たずに巻き上げて移動のランガンが繰り返された。決して容易ではないこの状況で、チャンスを逃さず船中最初の本ガツオを捉えたのは左舷胴の間の森田さん(横浜市)。「このサイズで写真は恥ずかしい」と謙遜していたが、この後も着実に魚を掛け、数を伸ばす腕前には驚かされた。そのお隣、貸し竿でチャレンジしていた谷中さん(小金井市)は初めてのキハダ&本ガツオ釣り。『たいぞう丸』にはマルイカで乗船するのが常とのことだが見事本ガツオをGET。「あの大きさであんなに引くとは」と釣趣にも大満足のご様子。同じく左舷の橋本さんにもヒット。手巻きのウインチ釣法で危なげなく同サイズの本ガツオを取り込んだ。こうして本ガツオも無事獲れて船中が盛り上がる中、反対舷のトモ(船尾)からビッグバイトの狼煙が上がった──!

 

激闘60分、白熱のシーソーゲーム!

右舷トモに駆けつけると、先ほど27.7kgをタモ入れした望月さん(甲斐市)が渾身のファイトを繰り広げていた。クンクンと柔らかく竿先を揺らすのはキハダの特徴。そしてたび重なるトルクフルな引き込みは獲物の並ならぬ大きさを物語っていた。巻いては引き出され、テンビンまであと数mの所まで手繰ってまた100m以上走られ…そんなシーソーゲームを繰り返すこと50分以上。途中、電動リールが熱でダウンしたり、望月さんも都度都度給水しながら、ようやく船長の手にハリスが掴まれた。やがて海面下に全貌を現した魚体に一同は息を呑む。今季最大クラスのキハダマグロは船縁を中心に大きく円を描き、精根尽きたか素直にネットインした。全長150cm・重量40.3kg。その迫力はビースト(野獣)と呼んで誇張の無い風格と存在感を醸していた。1時間のファイトを征した望月さんも歓喜に包まれながらまさに疲労困憊。不屈の勝利を噛み締めながら、キハダマグロの自己記録更新を実現した。
大捕物を終えて、手早く神経締めとエラの抜き取りを済ませた河村船長は「では支度してください。次行きましょう!」と一同に声を掛けた。「第21たいぞう丸」は船団を離れ、真鶴から小田原沖にかけて海鳥の多いエリアへと新たな魚群を求めて走り出した。

船長に訊くキハダ&本ガツオの焦点

この釣りの留意点について河村丈志船長に訊いた。「カツオのハリスは短い方が良いです。2mから1.5m。1mでも良いくらい。短い方が取り込む時にバラシが減ります。マグロのハリスは20号あればまぁ安心です。長さは今なら4.5mを基本に考えてください。ハリは好みが分かれるんですが、とにかくしっかりした物を」とのこと。“強さ”と“コンパクトさ”が釣果へのキーワードだ。また、『たいぞう丸』では、クッションゴムと遊動テンビンの使用は安全のために禁止している。ハリス切れを恐れるより、船縁でバラした際に飛んでくるコマセカゴやハリによる“まさか”を危惧したい。偏光グラスや帽子、グローブも必携なので、お出掛け前のチェックを欠かさずに。この釣りのコツについては「餌付けは丁寧に、が一番ですね。コマセが入ってなくても餌がハリに付いていれば釣れる確率はありますから」と船長。基本が大切なのは、いかなる釣りにも共通だ。

相模湾のキハダマグロ&本ガツオ、最盛期はこれから!

「キハダマグロ&本ガツオって言うと初心者には難しいってイメージがあるかも知れませんが、実はそんなことありません。ウチは貸し竿とか道具は全て揃ってますから、是非、初めての方にもチャレンジして頂きたいです」と船長。予約時と乗船時に初挑戦であることを伝えれば、手取り足取り親切丁寧にこの釣りの“いろは”を教えてくれる。是非早めに乗船して、船長に声を掛けてみて欲しい。ビギナー目線で人気の沖釣りバラエティ「カンバク」こと『大漁!関東沖釣り爆釣会』のMCでお馴染み、太田唯さんもプライベートでこの船宿を訪れ、23kgのキハダマグロと6.6kgの良型を頭に6匹もの本ガツオを仕留めている。これから秋へ向けて、上がる数もサイズも盛り上がって行く相模湾のキハダマグロ&本ガツオ。令和元年の思い出に、記憶に残る大物を是非その手にして頂きたい。

今回利用した釣り船

神奈川県 葉山あぶずり港 『たいぞう丸』
〒240-0112 神奈川県三浦郡葉山町堀内50
TEL:046-875-1932
定休日:第1・3・5木曜日 釣果・施設情報 たいぞう丸 ホームページ

出船データ

キハダマグロ・本ガツオ乗合船
集合時間:午前5時
出船時間:午前6時
乗船料金:1万2,500円(餌・コマセ付き/氷別:バケツ1杯300円)
貸し竿:あり有料(予約時に確認を)
     
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この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込むツリキチ。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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