釣りビジョン

東京湾のエビ・メバル開幕!春よ来い!

2020年02月15日公開

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シロギス、フグ、スミイカにカワハギ。東京湾の中、小物釣りは入門者も気軽に楽しめる反面、“腕利き”の釣り師とは大きく釣果に差が出る奥の深さがある。中でもマニアを唸らせるのが早春のメバル釣り。活きエビ餌のエビ・メバルが2月1日から開幕したと聞き、千葉県・浦安の老舗船宿『吉野屋』に出掛けた。

春は名のみの寒さなれど、メバル釣り師は熱い!

風情ある店構えが印象的な浦安『吉野屋』。今シーズン最も冷え込んだ釣行日も、暗いうちから釣り人の車を誘導する船宿スタッフの甲斐甲斐しさが清々しい。地下鉄東西線・浦安駅から歩いても7、8分で、電車釣行派にも好立地と言えるだろう。駐車場の入口付近にある船形から席札を取り、暖簾をくぐって店内にあるカウンターで乗船料を支払う。仕掛けやオモリもここで購入するのがお薦めだ。釣り物の書かれた「乗船券」と「乗船者名簿」を渡されるので、名簿は記入してテーブルにあるカゴへ。乗船券は席札と一緒に船で回収されるのでお忘れ無く。店前で氷を受け取ってクーラーに仕舞い、土手を越えて船着場の桟橋へ降りる。釣り座で支度をしていると、アジ釣りでお馴染みの“船縁リング”とコマセを入れる“フタ付きバケツ”が配られる。その中身は餌の活モエビ。淡水性のエビなので、移動中は海水が混入しないようフタをしておこう。こうして出船準備は滞りなく整い、6人を乗せた「第十七吉野屋丸」は、定刻より少し早めに出船した。

竿入れから良型の好反応!

風は冷たいが穏やかな海を走ること40分弱。大型船が液体貨物を搬出入するための係留施設“シーバース”周りからスタート。「ピンポイントに居る」と言う船長の言葉通り、海に浮かぶ大きな建造物の中で、魚からの反応がある場所はごく狭いエリアに限定される。その中で、船中1匹目となるカサゴを釣り上げたのは田中さん(さいたま市)。その直後に竿を曲げた加藤さん(行田市)にはグッドサイズのメバルが。同じ一角で大物と思しきアタリも何度かあったのだが、惜しくもハリス切れやバラシが相次いだ。この後も橋脚などの人工的なストラクチャー周辺や、目に見えない海底の根周りなど数々のポイントを廻り、それに即した様々な釣りを楽しんだこの日。釣り進むうちにカサゴやメバル、フッコ(スズキの若魚)やカイズ(クロダイの若魚)、アジやイシモチ(シログチ)など、魚の付き場や釣れ方に少しずつ違いがあることが見えてくる。こうした釣れる魚の多彩さや釣り分けもまた、この釣りに於ける楽しみの一つと言えるだろう。

 

船長がホットスポットを発見!

つもの釣り場を巡った正午近く。「いつもは船が停まってるのに今日は居ない」と言う岸壁に船長が舳先を寄せた。ミヨシ(船首)に立っても良い旨が船長からアナウンスされ、フロントデッキに出て岸際ギリギリに仕掛けを振り込んだ田中さんに早速アタリ。取り込まれたのは良型メバルの一荷(2匹掛け)。これに端を発してあちらこちらの釣り座で竿が曲がり、やがて岸壁沿いだけでなく、岸から少し離れたブレイク(水深が一段深くなる箇所)周辺でもアタリが出始めた。最初のアタリがあっても合わせず辛抱していると、更に竿が絞り込まれて2点、3点掛けで魚が上がってくる待望のホットスポット。船中の熱気も一気に高まり、手返し良く打ち直せば必ず魚からの反応がある気持ち良い釣りを、沖上がりまでたっぷり楽しんだ。

船長に訊く「メバル釣りのコツ」

「メバルは根魚ということを理解して釣って欲しい」と語る青山隆雄船長にメバル釣りのコツを訊いた。「メバルは警戒心が強いから、合わせ損ったりバラしたりすると(障害物の奥へ)引っ込んじゃうんだよ。1回引っ込んじゃうと中々出てこない。それで仕方なく船を移動するんだ。慣れてる釣り人なら1カ所で魚を引き出してず~っと釣れる、それもダブル、トリプルでね。根掛かり“する所”と“しない所”を把握して、根掛かりしたら、そこは魚の居る所だから、竿をギッギッって煽って外そうとしない。魚が散っちゃうから。外れる方向を探して道糸を引っ張るか、仕掛けを切るしかない。根掛かりしない所で魚が掛かったら、竿を最大限に曲げて、それで(追い食いを)待ってれば良いんだよ」との事。
<メバル釣りで禁物なこと>
【1】アタリがあっても竿を煽って“合わせない”
【2】魚が掛かったら丁寧に扱って“バラさない”
【3】根掛かりを外すために“竿を煽らない”
──まずはこの3つを心掛けたい。
こうした釣りを実現するために必要になるのがメバル専用竿で、入門者のために代用となる竿が無いか尋ねたが「慣れない人ほど専用竿じゃないと難しい」と船長。『吉野屋』にはメバル用の貸し竿があるので、無理せずレンタルするのが得策だ。また、メバル釣りのノウハウを船長にレクチャーして貰ったので、ビギナーは勿論、中・上級者にも是非ご覧頂きたい。

東京湾の“春告げ魚”メバルが面白い!

かくして取材日はメバル35匹を釣った竿頭がなんと2人。控えめな方でも“本命”15匹に加えカサゴやマアジを沢山釣っていたのでクーラーずっしり。みなさん恵比寿顔での帰港となった。“春告げ魚”の異名を持ち、煮ても焼いても美味しいメバル。大きな個体は焼き霜造りや湯霜造りが絶品。アクアパッツアやホイル焼きも手軽で美味しいので是非お試しを。貸し竿やライフジャケットは勿論、長靴のレンタルまである『吉野屋』は、船宿の休憩所やトイレも広々清潔でビギナーや女性アングラーにも安心。暖簾が語る老舗の粋と、東京湾の最先端の釣りをお楽しみ頂きたい。

今回利用した釣り船

千葉県 浦安 『吉野屋』
〒279-0004 千葉県浦安市猫実5-7-10
TEL:047-351-2544
定休日:毎週火曜日 釣果・施設情報 吉野屋 ホームページ

出船データ

メバル・カサゴ乗合
集合時間:午前6時30分までに乗船
出船時間:午前7時
乗合船料金1万円(氷・活き餌付き)
※女性9,000円/小学生以下6,500円
貸し竿・貸し道具あり
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込むツリキチ。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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