この日は常連の腕利きが集う、人呼んで「“鬼”の木曜日」。中井聡船長は正直言って強面だし、知らずに初めてこの船に乗る人はきっと怖気づくことだろう。しかし、浮き世に“鬼”はいない。船長はオマツリほどきやタモ入れの世話は勿論、質問には親切丁寧な答えをくれる。また常連さんたちも和気あいあいと釣りを楽しんでいて、小振りな(とは言え1kgはありそうな)オニを海へ帰してやったり、釣れなかった人には魚をわけてくれる。こういう船で初心者が釣り修行をすれば、オマツリに声を荒らげたり、隣席の釣り人と釣果を競うような、釣り天狗にはならないだろうなと思った。とは言え、オニカサゴの釣果は竿頭が8尾で次点は7尾を獲っているのだから、この漁場の持つポテンシャルと、船長の釣らせる気概に唸らされた。オニカサゴの旬、実はこれから!“冬の釣り物”と思っている方も多いが、オニカサゴの旬は夏から秋。その旨さの本領はまだまだこれからだ。あなたがもし、どうしても“大オニ”と出会いたいのなら、外房の鬼ヶ島・大原へ行くのが近道だろう。