その後、釣り座を小高い岩場へ移動し、潮がやや緩んだタイミングを見計らって再び竿を出した。朝方に比べ風も落ち着き、海は一見すると釣り日和。しかし、依然としてウネリは残っており、せっかく馴染んだ仕掛けをたびたび持ち上げられてしまい、思うように攻め切れない時間が続いた。それでも時折、潮の筋が変わる一瞬を狙って仕掛けを流すと、穏やかな表情の海の下では確かに生命感があり、次の一匹への期待が途切れることはなかった。何としても良型の尾長を仕留めたい――。そんな一心で、最後の望みを託して竿を振り込む。潮の変化を感じながら集中していると、突如ウキが「スッ」と沈み込み、次の瞬間、勢いよく海中へ引き込まれた。渾身の合わせを入れると、竿全体にずしりと伝わる重量感。手に伝わる感触からして、これは間違いなく今日イチの魚。慎重にやり取りを重ね、ついに姿を見せたのは、黄金色に輝く45cmのジャンボイサキ。本命の尾長ではなかったものの、締めくくりにふさわしい堂々たる一尾で、今回の釣行は納竿となった。