キンメダイもヤリイカも、ちょうど今頃が美味しい時期。更にこの釣りでは美味しい“ゲストフィッシュ”が釣れるのも特徴だ。まずはこの日最も釣れたサバ。中でも水深300m近くを回遊する体高の高い大型のマサバは“ヒラサバ”とも呼ばれ、この時期特に美味しくなる。取り込みをモタモタしているとオマツリに繋がるので、何も考えず船縁で海へ返してしまったり、デッキに放置してしまいがちだが、しっかり血抜きをして活け〆にし、氷の効いたクーラーで持ち帰れば、釣り人だけが味わえるプライスレスな極上食材となる筈だ。また、ヌルヌルな体液のケアは大変だが、釣り味も味覚も素晴らしいメダイ。焼いて食べるなら西京漬けがお薦めだが、生で食べるなら昆布〆をお試し頂きたい。またイカ族では、ずっしりしたスルメイカも交じるので、その肝にヤリイカの身を和えて食べるのもオツなもの。他にも煮付けると美味しいユメカサゴ(ノドグロカサゴ)やウルメイワシが釣れることもあるので、沖では食べ方が分からなくとも、まずは大切に処理して持ち帰ることをお薦めしたい。この丁度良さ、分かるかなぁ~ユニークな“ヤリ・キン”リレーについて、小倉忠船長に訊いた。「キンメを釣る遠征用のリールや水深400mの釣りが出来るリールって東京、神奈川、千葉では他に使い道がないんだよね。水深300m以上は追っかけない、届かなくなったらやめる。そうすると朝の2時間ぐらいしか釣りにならない。2時間走って、2時間釣りして、2時間かけて戻って来るって何か勿体ないなって思って。イカのポイントもあるし、ちょっと寄り道しようかと。キンメの専門船で釣るよりサイズは可愛いし、イカの専門船の半分も釣れないけど、少しずつでも釣れれば“合わせ盛り”ができるんじゃないかって」とユーザーフレンドリーな発想から誕生したようだ。「今日は全然釣れないワケでも無く、締まりのない釣りになっちゃったけど…たまには良い時もあります」と笑う船長。取り繕わず、肩肘張らないこの雰囲気が、リピーターの多い『二三丸』の魅力なのだろう。確かに釣果を数字で見ると派手さは無いが、クーラーの中身はすこぶる賑やかだ。2月と3月の期間限定で楽しめるヤリイカ&キンメダイリレー。この機会に是非、パワフルな電動リールにPE4号を300m+αぎっちり巻いて、冬の味覚ハントを満喫して頂きたい。