釣りビジョン

大阪湾・タチウオ!テクニカルテンヤゲーム!!大阪府北中通漁港『上丸』

2023年12月08日公開

1077_top

大阪湾を代表する釣りの一つ「テンヤ・タチウオ」。今では“全国区”な釣り方となり、根強い人気を博している。そんな大阪湾のタチウオをストイックに追い続けている大阪・泉佐野市・北中通漁港の『上丸』へ出掛けた。

人気のテンヤ・タチウオ!

取材日の開門時刻は午前5時。今シーズン一番の冷え込みが酷暑だった夏を忘れさせるが、港内はタチウオを追い求める釣り人で活気に満ちていた。乗船名簿へ記入する釣り人が列をなし、手際よく受け付けをこなす佳世船長がいる。さらに乗船名簿の横に並んだオリジナルテンヤが目を引いたのだが、受け付け時に購入する釣り人が後を絶たない。在庫は豊富そうだったが常に変動するため、購入希望者は予約時に伝えた方が良いだろう。尚、『上丸』ではテンヤ40号・シングルフックが指定となり、ワイヤーリーダーは禁止。

釣り支度を済ませた頃に「上丸」がゆっくりとやって来て着岸。降りてきた村上利行船長が釣り人へ渡す氷を準備。クーラーに氷を入れた釣り人たちは指定された座席へ向かい仕掛けをセットしている。しばらくすると船長から出船のアナウンスがあった。5時50分出港。目指すは大阪湾南エリアだ。

プラ・スキルアップ・エンジョイ!

航程1時間弱で洲本沖へ。そろそろスローダウンと思いきや、船は止まらない。しばらくすると友ヶ島が見えて来た。アニメの舞台にもなった友ヶ島の反対側には遠くに浮かぶ沼島が見える。そんなロケーションの中でスローダウン。この日は満船だったのだが、釣り人はプラクティス(下見)、スキルアップ目的、普通に釣りを楽しむという3種のスタイルに分かれていると説明してくれた。佳世船長は「利行船長もメニュー作りに苦労すると思うよぉ」と言いながら餌のイワシを配り始める。

プラクティスというのは大阪湾で毎年開催さていれる『大阪湾タチウオKINGバトル』という大会の決勝戦のことで、その決勝戦が『上丸』で行われる。その決勝を間近に控えた選手が下見に訪れ、同行者はスキルアップと共にファイナリストへの情報にもなれば、ということだろう。餌が全員に行き渡った7時に投入のアナウンス。水深は60mとのことだ。

すると早速アタリを捉えた釣り人が電動リールで巻き上げる。その中には「ファイナリスト」と呼ばれていたレディースアングラーの姿もあった。

 

アタリ多くも苦戦が続く

アタリは頻繁に見かけるもハリ掛かりが悪い。また小型も多く、釣り人を悩ませている。早々に感度重視の竿にチェンジする釣り人もいた。今回の取材ではサンマなどを加工した自作の餌を使う釣り人が多かったが、どの餌であれ複数のテンヤに餌をセットし、何かあればすぐにチェンジ出来るようにしておくのは基本である。

自作餌を使用する釣り人もイワシ餌とのダブル体制でテンヤをスタンバイ。適宜使い分けていた。アタリは自作餌に集中することなく船内随所で竿が曲がるも型が伸びない。さらに共食いをすることで知られるタチウオだが、巻き上げ時に共食いされたであろうタチウオの姿も目立っていた。共食いしているタチウオのサイズが気になるところだが、まだ良型は姿を見せない。この場所に見切りをつけ8時30分に移動。洲本沖へ向かった。

ストイック&探究心!

移動した先の洲本沖は賑わっていた。スローダウンしながら投入ポイントを見極め、水深65mの辺りで投入の合図が出された。「40m付近まで反応アリ!」という利行船長のアナウンスに釣り人の集中力が上がる。すると随所でヒット!小型も交じるがアベレージが良くなった感じだ。

釣り人の集中力もさらに上がる中、オマツリが目立ち出した。潮は勢い鋭く流れている。タチウオに対して”ストイック”や”探究心”という言葉が似合う『上丸スタイル』は、向上心高い釣り人に人気。とはいえややこしい釣りを提唱しているわけではない。『上丸』が監修している”上丸テンヤ”のキャッチフレーズは「オマツリ激減」。

効率的な攻めと言った方が良いだろうか。この日は気持ちの良いナギだったが、清々しい朝イチは慣らしを兼ねたウォーミングアップ、そしてここからが本番。そんな感じに見えた。前述した通り、取材日は常連からご新規まで幅広い釣り人が乗船。すべての釣り人に配慮したこの日のメニューは「徐々にギヤを上げていく」。そんな気がした。

テクニカルテンヤゲーム!!

洲本沖ではすぐに“全員安打”を達成。あとは良型のみ。そんな空気となっていた。水深100m付近まで幅広く探っていく。そしてトモ(船尾)の様子を伺っていた私が、ふと前を見ると一際大きく竿を曲げる釣り人がいた。近くへ寄り、その姿を待つ。上がって来たのはこの日一番の太いタチウオ。「これは!」と思ったが、120㎝(ドラゴンサイズ)を僅かに切っていた。しかしアベレージは上向き、大会規定となる口先から肛門までの長さ26㎝というノーカウントサイズは見受けられなかった。

引き続き攻めて行く。水深150m付近や激流ポイントへ。利行船長からその都度アドバイスが出される。決め手はキャスティングと着底からの素早いリーリング。これはオマツリと根がかり回避が目的なのだが…さらに誘いや食わせの”間”を加えなければタチウオは掛からない。底付近で良型が喰ってくる時は非常に繊細であり、そのパターンも変わってくる。まさにテクニカルテンヤゲーム。

ただこの日は全体として明確な誘いのパターンは存在しなかった。数もそれなりに釣れる中、14時に沖上がりとなったが、そのような状況下で「ドラゴン」サイズを見つけて喰わす。これが面白いと2人の船長は口を揃える。比較的数の釣れる大阪湾のタチウオ。さらにその上を目指す釣り人にとっては勿論、ヤル気のある釣り人にも人気の『上丸』だが、わからないことは何でも教えてくれる。また、佳世船長が強い味方となってレディースアングラーをサポートしてくれる、女性に優しい船宿でもある。

今回利用した釣り船

大阪府北中通漁港『上丸』
〒598-0061
大阪府泉佐野市住吉町泉佐野食品コンビナート内
TEL:090-8383-6633 釣果・施設情報 『上丸』ホームページ

出船データ

(交通)
車は阪神高速4号湾岸線泉佐野北IC降りて、住吉町の信号を右折、すぐの信号を左折。右手に「おさかなはうす」を越してすぐに乗船場入口がある。 電車は南海本線「井原里駅」より泉佐野食品コンビナートに向かい、突きあたりを左折。右手に「おさかなはうす」を越してすぐに乗船場入口がある。
(出船データ)
完全予約制
乗合船タチウオ1日便1万円。餌・氷付き
女性・子供は2,000円引き
ポイントカード有り
レンタルタックル有り
無料駐車スペース有り
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

その他オススメ記事

釣りビジョン倶楽部