オフショアマガジン
2015.3.1号

信栄丸・千葉県乙浜港
千葉県・白浜沖のヤリイカ…心温まるおもてなしに大満足!

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今シーズン、各地で絶好調のヤリイカ。ベストシーズンを迎え、とくに千葉県・南房エリアでは、いい日には束釣り(100杯超え)もあるなどまさに“爆乗り”状態。2月下旬、千葉県・乙浜港『信栄丸』を訪れた。

心温まるおもてなしで釣り人を迎えてくれる

『信栄丸』の乗合船は予約乗り合いで人数限定。ヤリイカの場合は片舷5人の10人限定だ。船の大きさからすれば片舷8人ほどは乗せられるだろうが、片舷5人しか乗せない。「せっかく来てくれるんだから、心から楽しんでもらいたい」という安田仁船長のおもてなしの心の表われである。貴重な休日に釣りをゆったりと楽しめるということで、とくに週末はすぐに予約で一杯になってしまうほど人気の船宿である。『信栄丸』の“おもてなし”は、乗船人数だけではない。乗船すれば、その数々がすぐに伝わってくる。
釣り座には船長お手製のツノマットのほかに、タイルマット、さらにはクッションまでもが置かれている。勿論、投入器も借りられる。灰皿もある。そして、乗船して釣りの準備をしていると、なんと女将さんからホットコーヒーが配られた。温暖で早くも花盛りの南房とはいえ、2月の朝はまだ寒い。そんな時の温かいコーヒーのサービスは、身も心も温めてくれる。
釣り座は、出船前にくじ引きで決める。どこに座るかは運次第となるが、希望の釣り座を取るために出船の何時間も前に港に来たり、さらには前夜に来たり、早朝に車を飛ばして事故に遭ってしまったり…といったことがないようにという、これまた安田船長の配慮によるもの。

釣り座はくじ引きで決めるので、慌てて来る必要はない
釣り座が決まったらタックルの準備。ここで女将さんからホットコーヒーのサービス
釣り座にはツノマット、タイルマット、そしてクッションが置かれている

反応はあるものの…本来の南房とはほど遠い乗り

ポイントは航程20分程と近い。当日はかなりのウネリが残っていた
女将さんが淹れてくれた温かいコーヒーを飲みながら支度を済ませ、いよいよ出船。港を出ると、東海上にある低気圧の影響でウネリが高い。天気予報では波高4m出ていた。ポイントは航程20分程の白浜沖。水深は130mだ。
ベストシーズンを迎えている南房のヤリイカ。否が応にも期待は高まる。しかし、暫く流してもイカからの反応はない。
「乗らないね。魚探反応はあるのにね…」と船長からアナウンス。次の流しでは、ヤリイカとスルメが1杯ずつ上がった。しかし、本来の南房のヤリイカ釣りとはほど遠い乗り具合だ。というのも、南房エリアのヤリイカの特徴は、1度魚探反応に乗せて釣り始めるとかなりの時間流しっ放しということが多い。1日に2、3回しか流し直しを行わない時もあるほどだ。それだけ群れが濃く、しかも広範囲にいるということ。束釣りも珍しくないほどの“爆発力”があるのだ。

期待とは裏腹に、なかなか乗らない…
乗ってもポツリ、ポツリ。どうしちゃったんでしょうね…
渋い中、価値ある1杯

基本はプラヅノ11cm。どんな状況にも対応できるよう準備しておこう

ヤリイカの仕掛けは、基本11cmのプラヅノ。それに“コマセヅノ”としてスッテを交ぜてもよい。ツノ数はブランコなら5~8本。初心者なら5、6本がお奨めだ。ツノ数が少ないほうが仕掛けさばきがラクで、手前マツリ(投入前に仕掛けが絡まってしまうこと)も防ぎやすい。また、南房エリアは沖からの潮の影響を受けやすく、海水温の変動も激しい。状況によってはスルメイカの割合が高くなることもある。そんなときのために、14cmプラヅノのブランコ&直結、18cm直結の仕掛けを持っておこう。オモリは120号と150号を用意。取材日は濁りが入ってイカが水深の浅いポイントに入ってきていたため、120号を使用した。どちらのオモリを使うかは出船時に船長から指示があるのでそれに従う。

船長オススメ仕掛け。オモリは120号と150号を用意
仕掛けは、ブランコの場合は11cmプラヅノを5~8本
仕掛け図

サバの猛攻にあうも、ウネリで直結仕掛けが使えない

船長は、何度も流し直しを行うが、一向に南房らしい乗りがない。そして、ついにはサバの猛攻にもあってしまう。ただ、この時期のサバは“寒サバ”と呼ばれ、脂が乗って大変美味しい。型のいいものはすぐさまクーラーボックスへ入れよう。サバの攻撃をかわすためには直結仕掛けが有効だが、この日のウネリでは直結仕掛けが使えない。アタリが取りにくいうえに、たとえ乗せても船の上下動によって取り込み時にバレてしまうからだ。我慢してブランコ仕掛けを使うしかない。とはいえ、サバの攻撃はおおむね朝方に限られることが多い。暫くすると、サバが邪魔することは少なくなった。

誘いっぱなしはダメ。巻き落としはどんどんやろう

釣り方について船長に聞いてみると、「基本が一番です」とのこと。ヤリイカは底付近を回遊していることが多いので、海底から10mを中心に、シャクって誘い、そして止めて、竿先に出るアタリを見る。重要なのは、必ず「止め」を入れること。更に、この日は高いウネリがあった。船はそのウネリで大きく上下している。つまり、竿を保持しているだけでも誘いになっているのである。そこに、たとえばウネリが3mある状況で竿一本分の大きな誘いを行えば、最大で5mも誘っていることになる。これではさすがにイカも乗りづらい。実際、この日よく乗せている人の誘いを観察していると、ほとんど竿を動かしていなかった。
もう一つ忘れてならないのは“巻き落とし”。暫く誘ってもイカが乗らなかったら、20~30m一気に仕掛けを巻き上げて、再び落とすだけという非常に簡単なテクニックだ。しかし、この“巻き落とし”の効果は絶大だ。誘い過ぎはよくないこともあるが、“巻き落とし”はどんなにやってもやり過ぎということはない。どんどんやろう。

アタリは必ず竿先に出る。竿先をしっかりと止めて、アタリを見よう
大型はズシっとした乗り味が魅力だ
大型と小型の一荷も

濁り潮にはスッテが効く!

途中、「濁りが入っているからスッテによく乗るよ」と船長からアナウンスがあった。
そのアドバイスをいち早く取り入れた右舷大ドモ(船尾)の松崎憲治さん(八千代市)が、なんといきなり5点掛け。そして次の投入では4点掛け。2投にして9杯だ。その様子を見ていた他の釣り人も、スッテを多めに入れた仕掛けに変更、もしくはプラヅノの一部をスッテに替えた。すると、突然、船中あちらこちらでヤリイカが乗り始めた。
「スッテが乗るって、ホームページに書いておいたんだけどな…」と船長は苦笑い。『信栄丸』のホームページには、その日の状況や釣りのヒントなどが安田船長のユニークな文調で紹介されているので、是非チェックしておこう。

渋いなか、松崎憲治さんは5点掛け、4点掛けを連続
誘ったら止めてアタリを見る。誘いっぱなしはNGだ
松崎さんがよく乗ったという仕掛け。スッテとプラヅノが交互に配置されている

状況がよければこんな光景は珍しくない
「釣れなかった」といえども、お土産には十分だ
これはうれしいお土産、カイワリ。スッテを丸呑みにしていた

ヤリイカはゴールデンウイーク頃までロングランで楽しめる

結局、この日は、80mの浅場などいろんなポイントを攻めてみたものの“爆釣”タイムがないままに沖上がりの時間を迎えてしまった。 「釣れないのも釣りです」と船長。しかし、あまりいい釣果でなくても、不満をこぼす釣り人はいない。「また来るよ!」と、笑顔で船を降りていく。船長をはじめ、女将さんの心温まるおもてなしがあるからだろう。南房のヤリイカはゴールデンウイーク頃までロングランで楽しめる。そしてその後はイサキとなる。『信栄丸』では、このイサキを南房地区初というライトタックルで楽しめる。こちらも勿論人数限定、しかもイサキはレンタルタックル無料とのこと。
ヤリイカもイサキも、とくに週末はすぐに予約で一杯なってしまうので、予定が決まったら早めに予約を入れておこう。

『信栄丸』のトレンドは、ヤリイカを活けで持ち帰ること!
キャンプ用ポリタンクにブクを取り付けて海水で満たし、その中にイカを入れる
タンクの中のイカは元気いっぱい。この状態で持ち帰れば、今の時期なら3、4日は活きているという。

「釣れないのも釣り。いい時もあれば、悪い時もあります」と安田仁船長
ヤリイカはゴールデンウイーク頃まで楽しめる。その後はLTイサキの予定だ
船内には電子レンジの他、電気ポットも完備。温かいお弁当やカップラーメンなどを食べることができる

(釣りビジョンAPC・滝 徹也)

今回利用した釣り船
千葉県乙浜港『信栄丸』
千葉県南房総市白浜町乙浜1299-3
TEL:0470-38-2427
詳細情報(釣りビジョン)
信栄丸ホームページ
出船データ
ヤリイカ予約乗合
乗合料金:午前船:10,000円
午前船:集合時間:午前5時30分、出船時間:午前6時
午後船:集合時間:正午、出船時間:12時30分
貸道具:あり(有料)
定休日:毎月第2・4水曜日
※料金等は取材当時のものとなります。出船時間や料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては釣り船までお問い合わせください。
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