釣りビジョン

2015.10.1号

しまや丸・千葉県乙浜港
千葉県・乙浜港沖のチカメキントキ、強烈な引き込み!

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数年前、大いに釣れ盛った千葉県・乙浜港沖のチカメキントキ。今シーズンは、久し振りに好調で9月14日には、大型交じりでトップ17匹の好釣果を記録、大型のトルクフルな引きとその食味に心躍らせ、16日に乙浜港『しまや丸』を訪れた。

平日でも満船の人気!

『しまや丸』は、館山自動車道を終点で降りて20km余り。買い物があれば降りて間近のコンビニで済ませておいた方が良い。途中、安房グリーンラインを通ると信号も無くスムーズ。30分余り走ると『しまや丸』の看板が左手に見え、道を隔てた向かいに船が舫ってある。午前5時の集合時間に、船長からペットボトルを凍らせた氷を受け取り、乗船名簿を書き込んで乗船、餌の冷凍イワシが程よく溶けてきたら船にある小さなバケツに入れて釣り座へ。この日は水曜日だったが片舷6人ずつの満船状態で、チカメキントキの人気高さが窺い知れた。

『しまや丸』の看板が目印
船宿の向かいに船が舫ってある
餌の冷凍イワシが解凍したら各自餌入れへ

目指すポイントは白浜沖

当日は、北東の風が強く曇り空。港を出るとすぐにウネリと風を強く感じた。船長は船を西へと向け、白浜沖のポイントを目指した。船宿の基本仕掛けは3本バリの胴突きだが、常連さんは5本バリに特餌も持参していた。解凍したイワシは、下顎から上へと硬い頭を貫くように餌付けするのが基本だ。
船長は、魚探とソナーとを睨みながら微速で船を走らせ、底付近とやや浮いた反応に旋回して船を乗せた。直後、待望のリバースギアで震える船体、第1投で右舷ミヨシ(船首)の釣り人が良型のチカメキントキを釣り上げた。

自作の5本バリ仕掛けに特餌としてイカも付ける常連さん
『しまや丸』特製仕掛け
底付近と浮いた反応にロックオン!

 船中1匹目をGET!

序盤は苦戦も中盤から入れ食いに!!

高級魚クロムツ
その後の流し替えで2匹のチカメキントキとクロムツが上がったが、船長の表情は冴えない…。ここでもう少し西の布良沖方面に移動するが、段々と風が強まり潮も速くなって難しい状況になって来た。15分余り走っただろうか、突然の中立ギアに行足が鈍る船、ここぞとばかり船を回す船長。開始の合図に待ってました!とばかりにオモリを投げ入れ、海へと吸い込まれていくラインのマーカーを追う釣り人。すると、着底直後からしなる竿、竿、竿!! 数年前を彷彿させる“キントキ祭り”が始まった!

30cmオーバーはレギュラーサイズ!
これも良い型、太っています
仕掛け図

着底直後が最大のチャンス!

海の状況が徐々に悪化する中、群れを直撃しているのだろう、仕掛けが着底すると同時に竿が絞り込まれるというまさにアドレナリン出まくりの流しが続いた。一時は宙層に反応が出たが、この日は主に底での反応が良く、オモリが着底してから糸フケを取るとかなり明確なアタリがある。しかし、その後「?」マークが頭の中をかすめることもしばしば…。それは、チカメキントキは餌を咥えると食い上げることがあり、その速さは電動リールを手巻きで巻いているのでは間に合わない程。ここで一気に電動をONにして高速でラインを巻き込み、魚の重みが加わったら中速にする。海面まで続く、時折竿をのされそうになるパワフルな引きが味わえる。

食い気が立てばダブルも珍しくない!
当日最大魚は何と44cm!
独自の仕掛けでダブル!

続く“爆釣”に堪らず竿を出す

「もう十分撮ったでしょ。いつ食いが止まっちゃうか分からないからさ、竿出してみなよ、竿!」と、船長に背中を押されて竿を出した。水深は80m前後だが、風とウネリに船が振られて90m近くラインが出て止まった。糸フケを取った直後の強い引き込みに思わず頬が緩んでしまう。2投目はアタリがあったもののハリ掛かりには至らずここで思案。イワシを短くカットして、キントキが一口で餌を口の中に吸い込めるサイズにして再トライ。すると、オモリ着底と同時にアタリ。食い上げないので逆に少し送り込んでみて多点掛けを狙ってみたところ、弛んで海面に漂っていたラインが急に張り、ここで聞いてみるとかなりの手応え! 一荷(2匹)は間違いない-と確信してリールのレバーをON、竿を両手で持ち直した。

食い込みを良くする餌のカットが功を奏した
釣り上げた直後、ヒレをピンと張り実に綺麗

盛り上がりは下降線へ、そこでもう一工夫

そんな好調さもやがて終息。天候悪化もあり帰港する方向に船を向けながら海中をリサーチする船長。開始の合図と共に投入するが、先程のような食いは無い…。ならばと、斜めになったラインを張り、竿一杯分オモリを切りカーブフォール、仕掛けに横の動きを与える誘いを2度、3度と繰り返しているとアタリが出始めた。食いを促す為幹糸の張りが緩むよう竿を下げてラインを出し、たとえハリスが張り切っていても幹糸の弛みで食い込ませ、1匹、また1匹と攻略していった。常連さんもサバ、紅染めのイカ、カラフルなハリなど、思わず唸ってしまう様々な工夫をしていた。

持参のサバ、紅染めのイカなど
ハリの色、ハリスの色、夜光玉などの釣る為の工夫

好釣果で帰港

チカメキントキは、魚体と比較してヒレが大きい。特に胸ビレの面積が広く、竿を元までしならせ海面まで大暴れする。その引きは暴れん坊として知られるシマガツオにも負けない。多点掛けだとヒヤッとして腰を落としてやり取りしてしまうほどだ。そんな引きと海況の悪さにオマツリも多発したが、終わってみればトップ21匹、次頭20匹が2人、その後19匹と続き、中盤以降から竿を出した私も“ツ抜け(2桁)”することが出来た。帰港後は朝渡されたペットボトルの氷を板氷に替えてくれた。長距離を帰る人には嬉しいサービスだ。
「10月一杯位までは楽しめるんじゃないかな」と船長。食味も上々な“パワフルなおしゃまさん”に是非挑戦されてみては如何だろう。

申し分の無い釣果
溶けたペットボトルの氷と板氷に替えてくれる嬉しいサービス
良い群れに当ててくれた島野 一男船長

(釣りビジョンAPC・林 良一)

今回利用した釣り船
千葉県乙浜港「しまや丸」
〒295-0101
千葉県南房総市白浜町乙浜1304
TEL:0470-38-2567
定休日:第2、第4水曜日
詳細情報(釣りビジョン)
しまや丸ホームページ
出船データ
《乗合》午前 キントキ五目 5:00集合、5:15出船
料金:1人1万円(税込)餌・氷付き
午後 カサゴ五目 13:00出船
料金:1人9,000円
どちらも事前の予約が必要
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