2025年09月22日公開

「白身のトロ」と呼ばれ、近年では高級魚の代名詞となった“ノドグロ”ことアカムツ。市場では「幻の魚」「赤いダイヤモンド」とも喧伝されるアカムツが、連日、規定数(1人8匹の自主規制)を達成しているという。この好機を逃すまいと、茨城県波崎港『仁徳丸』に急行した!
集合1時間前、ノドグロハンターが続々と…
『仁徳丸』が係留する波崎漁港は、千葉県銚子市と茨城県神栖市を結ぶ「新銚子大橋」のほど近く。ナビに「青木屋旅館(神栖市波崎9495)」を入力すれば、目的地の手前100m右手に『仁徳丸』の看板が現れる。
集合時間は午前4時迄だが、3時前後から釣り人の車が次々と到着し、船縁に竿や目印の棒などを挿して釣り座を確保するのが常だ。
3時半には女将が軽トラックで到着。あいにくの小雨模様だったこの日は、コンテナ内で受付が行われた。乗船名簿を記入し、船代を支払い、エサの冷凍ホタルイカと氷を受け取る。
仕掛けのセットは釣り場に着いてからでも問題ない。釣り座に道具を積み込み、エサを桶に入れると釣り人たちはシート付きのキャビンで一息。午前4時10分、「第七 仁徳丸」は暁暗の海へと出港した。
スタート早々アタリが…!
小一時間で到着したのは波崎沖、水深120mの大場所「寒猫根(カンネコネ)」。アナウンスを合図に仕掛けを投入すると、早々に右舷トモ(船尾)の岡野さんにアタリ。サバ避けの1本針仕掛けが功を奏し、1投目から“本命”アカムツを引き寄せた。続いて右舷ミヨシでも「ガツガツ!」と明快な魚信。取り込まれたのはワンサイズ上のアカムツだった。
その後も船中のあちこちで竿が弧を描き、サバに翻弄されながらも順調にアカムツが顔を見せる。手の合う釣り師から釣果を重ねる中、辛抱の末に手にした一尾に笑みを浮かべる釣り人の姿も印象的だった。
船長に訊くアカムツ釣りのコツ
波崎沖・水深120m前後の浅場を攻略したこの日。アカムツ釣りのコツを『仁徳丸』三橋正幸船長に訊いた。
──今期のアカムツ、例年に比べていかがですか?
船長「ここずっと安定してて、数は上がってます。あと、サバが多い」
──浅場で楽しめるのはいつ頃まで?
船長「例年だと11月くらいまで。年越したら犬吠沖の方へ。アカムツを始めるなら今がイイです。やり易いよね、オモリは軽いし、水深も浅いし。犬吠沖になるとだんだん水深は深いしさ、潮の流れが速い時もある。ハードになるからね」
──アカムツ釣りのコツ、アドバイスは?
船長「第一はサバ対策だな。このところ数(釣果)伸ばしてる人は1本バリ。2本だと大抵間違いなくサバが来る。まぁとりあえず1本でやって貰った方が」
取材日もサバが多く、中深場のサバは食べても非常に美味しいのだが、アカムツと一緒に掛かるとアカムツを振り落としてしまうだけでなく、仕掛けの上げ下げに時間が掛かり釣りの効率を下げる。そのうえ、周囲の釣り人と重篤なオマツリを引き起こす要因にもなる。サバ避けしていてもお土産くらいには釣れて来るので、ここは潔く上針を外して1本針仕掛けにすることをお薦めしたい。
浅場で魚影濃くビギナーにもお薦め!
この日の竿頭はアカムツ初挑戦の白石さん。8匹を揃えて見事規定数達成。平均しても3~4匹と好調で、船中ボウズは皆無。さらにクロムツ、アマダイ、ドンコ(チゴダラ)、ユメカサゴにサバなどゲストも豊富で、クーラーは色とりどりに賑わった。
帰宅後は刺身を皮目炙りの焼き霜造りに、塩焼き、煮付け、潮汁、干物と、アカムツならではの多彩な料理で舌鼓。ゲスト魚も加われば食卓は一層豪華になる。釣趣に加え食味の満足感も、この釣りの大きな魅力だ。
浅場で魚影が濃く、ビギナーにも好適な波崎沖・寒猫根のアカムツ釣り。サバ対策と根気良く誘う釣りを心得れば数釣りも夢ではない。まだまだ暑い2025年の秋口、ひと足早い“海の豊穣”を味わいに足を運んでみてはいかがだろうか。
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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