2026年06月10日公開
全国各地の多くの河川が解禁を間近に控えた5月末、兼ねてから訪れたいと願っていた岐阜県和良川への初釣行が叶った。和良川は毎年、本解禁1週間前に2日間の「特別解禁」を設けて解禁を迎える。今年の「特別解禁」は低気温に雨と、生憎のお天気となったが、美しい〝和良鮎〟が心和む穏やかな町に夏の訪れを告げた。今年の〝和良鮎〟は成長が著しく、例年と比べて良型が多いとのこと。初めて目にする和良川、初めて手にする〝和良鮎〟に期待が高まる。新緑煌めく山々に囲まれた和良の町には、ゆったりとした至福の鮎時間が待っていた。
本解禁前日の「和良川ペア鮎釣り大会」に参戦
5時間の道のりを経て、解禁日の前日、夜明けの和良川へ到着した。そう、今回は解禁前日にも釣行を予定していた。同日に開催される「和良川ペア鮎釣り大会」へ参加することで、特別に竿を出すことができるのだ。大会は、男女でペアを組み、2時間交代で2人の総釣果を競う。
夜明けの和良川は驚くほどの寒さだった。その日の最高気温は30度を越える予報だったが、早朝はなんと8度。和良で生まれ育った友人に話を聞けば、和良町はとても寒暖差の激しい土地なのだそうだ。憧れだった川を噛み締めるようにあたりを見回す。どうやらここ最近、雨が降ることなく、〝ド〟がつくほどの渇水状態という。確かに一目に水量が少ない状況であった。渇水故に鮎の警戒心が強くなっているとのことで、「静かに、丁寧な泳がせ」がこの日のキモとなった。「川に波紋が起こるだけで鮎が逃げてしまう」と言うのだから、これは慎重に行かねば!
太陽が山々の隙間から顔を出し始めると、会場にも多くの参加者が集まりだした。気温も上がり始め、空を見上げれば雲ひとつない夏空が広がっていた。そして視線を落とせば、さすがは岐阜の大会。鮎釣り女子がそこかしこにいる。ペア大会だから当然といえば当然なのだが、普段、ほとんど釣り場で女性に出会うことのない私にとっては、とても特別で嬉しい光景だった。さあ、解禁前日の特別な日を存分に楽しもうではないか!
〝和良鮎〟は良型!眩しき追星鮎
さあ、いよいよ和良川での釣りがスタートした。初めての和良川、そして解禁前日ということで、いつもの大会とは違い、勝負よりも竿を出すこと自体が楽しみである。
選んだポイントは本部上流、入川口からすぐの流れ込み下の囲まれた小さな溜まり。ポイントを見渡すが鮎の姿を目視することができず、少々不安になったが、アドバイス通り静かに腰をおろし足元からオトリ鮎を送り出す。上流へソロリソロリと上飛ばす。するとコツ、ガツと鮎の姿は見えないものの鮎の気配はあちこちに感じ取ることができた。しかしながら、初河川とあってどうもパターンが分からない。
持ち得る引き出しをフル活用で探っていく。すると、小さな掘れ込みでフラフラとオトリを泳がしていた時だった。ガツン!ギューン!キターーー!初めての〝和良鮎〟が掛かった!慎重に取り込み、無事タモに収まる。そこに見たのは、体高があり、眩しいほど濃い黄色を纏う、盛期のような鮎の姿であった。爽やかな鮎の香りも漂う。これが日本一とも言われるブランド鮎の姿か、と大会も忘れて見入ってしまった。この鮎を放つと連チャンとはいかないが、ポツポツと釣果を上げることができた。釣りをしていて分かったことは、鮎が少しでも不自然な動きをすればたちまち反応がなくなるということ。ある程度、鮎を自由に泳がせることが大事だった。
開始から1時間もすると、川には真夏のような熱い日差しが降り注ぐ。鮎にも動きが見られ、水中にキラキラと鮎の煌めきを目にすることができた。そして、10時になると選手交代。この頃になると、鮎が動き出し手前の浅場にも姿を見せるようになり、相方に即ヒット。幸先の良いスタートを切る。しかし、鮎が浅場に出てきたとはいえ丁寧な泳がせがマスト。集中して目印を見つめる。1尾掛かると同じ場所では釣り返しが効かないのでポイントをずらしながら探っていく。鮎がいるところでは一発!目印が気持ちよく吸い込まれていった。
あっという間の4時間。初の和良川釣行は釣果よりも、1尾1尾の美しさに歓喜する心満たされる時間となった。
自然に、食に、鮎に。和良の魅力は無限大
大会が終了し、一度は静かになった和良川だったが、明日の本解禁に向け、夕方になると川見をする人で河原は賑わっていった。そんな中、地元の友人がなんと〝和良鮎〟を焼いてくださるとのこと。「全国清流めぐり利き鮎会」では計4回もグランプリに輝き、「日本で最も美味しい鮎」とも称される〝和良鮎〟。清らかな水と良質な川藻で育ったことによる、腹わたのほろ苦さと香りが最大の魅力だそうだ。綺麗に串打ちされた鮎が炭の上でジワジワと焼かれていくと、周囲が鮎の良い香りで包まれていく。焼きたて熱々の鮎を一口。「美味い、これは絶品!」。あまりの美味しさにあっという間に2尾3尾と平らげてしまった。この後、和良の郷土料理「朴葉寿司」も頂き、和良満喫の1日に幕を閉じた。
5月31日、和良川は多くの鮎師が待ち侘びた本解禁を迎えた。相変わらず、朝の冷え込みは強いが、今日も晴天。川を見ればずらりと鮎竿が並んでいる。私たちも空いている所に入れていただき釣り開始。深場のテトラ周りを狙う。昨日とは打って変わって鮎の姿がよく見える。黄色い追星までクッキリだ。足元からゆっくりと馴染ませていくとギュギューン!今日も実に良い当たり!掛かり鮎を放てば連チャンも。流れのあるポイントに入った相方も好調なようで、何度も竿を曲げていた。お昼が近づきこれから!と言う時間ではあったが帰りの長い道のりを考え、後ろ髪引かれつつ納竿とした。
初めて目にした和良川には、深呼吸したくなるような情景が広がっていた。雲ひとつない青空の元、追星輝く〝和良鮎〟に出会い、食せば至高の味、夜が更ければ町は漆黒に包まれ、川のせせらぎをBGMに満点の星空が広がっていた。川と人とが紡ぐ〝和良鮎〟。ここには心満たされる鮎時間が待っていた。
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