オフショアマガジン
2016.11.1号

初栄丸・千葉県大原港
秋風に吹かれて、千葉県・外房、大原沖のヒラメ釣り

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「答えは風の中にある」──シンガーソングライターとしては初めてノーベル文学賞に輝いたボブ・ディランの代表作「風に吹かれて」の一節だ。この曲を聴くと「釣り人は、どれだけ釣ったら満たされるのか」なんて、柄にもなく感傷的になる。10月16日、秋の風に誘われて、音楽好きな船長が精を出す大原港『勝見屋・初栄丸』のヒラメ船を訪ねた。

大潮、ナギ、曇天と絶好の釣り日和!

『夷隅東部漁業協同組合』前にある『初栄丸』の船着場に、釣り人たちが集まり始めたのは月影もさやかな午前4時過ぎ。漁協の脇に車を停め、徒歩数十歩の船宿で釣り座を確認して戻ると、船長が灯火を点けて釣り人たちを待っていた。前日の釣果は竿頭8匹と、ヒラメ解禁から好調なペースを掴んでいる『初栄丸』。さらにこの日は大潮、良いナギ、曇天の好条件に恵まれた。期待に胸膨らませた両舷に3人ずつの釣り人を乗せて、夜明け前の午前4時45分に出船した。

船宿は船着場からすぐ
船宿で釣り座を確認
船は『夷隅東部漁業協同組合』の目の前

備えあれば、憂いなし

穏やかな海を走ること40分足らず。太東沖、水深25mの釣り場に到着。支度をしながら釣り開始の5時30分を待って、この日の釣りはスタートした。
期待の1投目、一同が口にしたのが「潮が速い」の驚きの声。いつもならここで誰かしらの竿が曲がるのだが、この日は底を取った後に仕掛けが吹き上がる(浮いてしまう)ほど流れが強く、釣り人たちは頻繁にタナを取り直したり、重いオモリに付け替えたりと、各々の速潮対策を施した。そんな中、船中1匹目を上げたのは右舷トモ(船尾)の彦坂淳一さん(大田区)。道具立てはLT(ライトタックル)でありながらオモリは80号。臨機応変の構えが功を奏した。実にこの日、坂彦さんが持ち込んだオモリは40~120号。「潮流」と「船の速度」、「仕掛けの安定」のバランスが決め手となるヒラメの“横流し釣り”を知る人の備えに“まさか”はない。
次に竿が曲がったのは、普段はトカラ列島などで大物釣りを楽しんでいると言う斎藤正弘さん(大田区)。マハタを取り込み、試行錯誤の末の貴重な獲物に笑みがこぼれた。

朝日を迎えに行くような航路
一番手は常連の彦坂さん
朝一のマハタは斎藤さんに

[動画]秋風に吹かれて!ヒラメ釣り

「LT」も「ノーマル」も、選べる楽しさ

1.5号前後の細い道糸と、軽量なリールや竿を用いるLTのヒラメ釣りが、ここ数年ですっかり定着してきた。これを受けて、従来の長竿と2~3号の道糸で釣る“手持ちヒラメ”や“置き竿”の釣りを「ノーマルタックル」と呼ぶようになったが、『初栄丸』では、その全ての釣り方が楽しめる。LTとノーマルの両方を持ち込んで、海況や流し方を見て、またその日の体調によって使い分けることが出来るのも魅力と言えるだろう。また、餌のイワシのサイズも良い意味で不揃いなので、噛み跡が付くのに食い込まない時には小ぶりな個体を、また底を大きく切って高いタナで釣るときは、より目立つ大きなイワシを付けるなど、その流しで釣れているサイズや釣り方によって餌の大きさを選べるのも面白かった。

海水温が高く弱りやすいので大切に
洗練されシンプルな船宿仕掛け
仕掛け図

釣り人それぞれの釣り模様

左舷胴の間(中央)で釣っていたのは平山和芳さん(いすみ市)。この日はお孫さんの孝一君と一緒に初めてのヒラメ釣りにチャレンジ(巻頭写真)。船中最も大きなヒラメを釣り上げた。そしてその反対舷、「釣りは外房、ほとんど『初栄丸』」とおっしゃる常連の佐藤健二さん(台東区)は、2kgオーバーのマハタをゲットして「ヒラメより嬉しい」と本音がポロリ。そのお隣、平子勉さん(中野区)は、今シーズン3週連続乗船の皆勤賞(?)。苦戦の果てにパターンを掴み、沖上がり間近かに“本命”2匹を釣り上げた。
「今シーズン最も難しい日」と、船長がこぼしたこの日の釣り模様。同船した方々の表情を見ると、“漁師”ではない“釣り人”たちの追い求めるものが、決して釣果だけではないことに感じ入る、そんな一日だった。

初めてのヒラメと平山さん
佐藤さんには良型のマハタが
ようやくの“本命”に笑み

大原の本領発揮はまさにこれから!

水深の浅い釣り場で大きなヒラメが釣れるのが、大原沖・太東沖エリアの醍醐味。この日、解禁直後のフィーバーが落ち着きつつある沖の深いエリアを見切って、厳しくとも水深15~25mという浅場の釣りを貫いた勝見雅一船長。この辛抱と努力が実を結ぶ日に是非またリベンジしたい。また『初栄丸』と言えば、船長自ら選曲しながら船上に流す音楽も特筆。この日はお子さんから年長の方まで広い年層の釣り人が同船したので「実は選曲も難しかった」と笑う船長。トイレや船室の掃除が行き届いた清潔感や、予約客には無料で宿泊所を開放することなど、一家総出の心配りが温かい『勝見屋・初栄丸』。ヒラメ釣りも寒さも本番を迎えるこれからの季節、お勧めしたい温もりの船宿だ。

快適な船室には空調とレンジも
シャイだが魂を感じる勝見船長
船宿の広くて清潔な洗い場

“超”若女将が煎れてくれた
昼食サービスの“たこめし”
ホットなキャンペーン実施中!

(釣りビジョンAPC・川添法臣)

今回利用した釣り船
千葉県いすみ市大原港『初栄丸』
〒298-0004 千葉県いすみ市大原10396-1
TEL:0470-62-2807
詳細情報(釣りビジョン)
初栄丸ホームページ
出船データ
ヒラメ乗合
乗船料金:1万2,000円(餌・氷付き)
集合4:20 出船4:45(季節によって変動あり)
定休日:第1・第3月曜日
貸道具あり(無料)/宿泊施設無料/女性・子供割引きあり
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