釣りビジョン

2016.11.15号

新明丸・神奈川県鶴見
船からのハゼ釣り、これからが面白い!神奈川・鶴見川

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夏から秋にかけて陸っぱりのターゲットとして知られるハゼ。その時期は簡単に釣れるとあってファミリーやカップルなどのビギナー層にも大人気の釣り物だ。そんなハゼも秋が深まり、水温が下がるにつれて深場に移動すると、今度は船釣りがメーンとなる。伝統的な“ハネ込み釣り”で狙わせてくれる神奈川県・鶴見『新明丸』へ出掛けた。

“江戸前”の釣り物ならお任せ!

潮見橋の袂にある船宿『新明丸』
鶴見川に架かる潮見橋の袂にある『新明丸』は、マゴチやスミイカ、フグやマダコといった東京湾の“江戸前の釣り”を四季折々で楽しませてくれる老舗船宿。交通の便も良く京浜急行・鶴見駅から徒歩圏内。勿論、駐車場もあるので(有料500円)車でもOK。ハゼ船の出船時間は、7時45分とゆったりなのも嬉しい。7時過ぎに着くと、受付で店主の新明利勝さんが迎えてくれた。

受付はこちら
“江戸前”の釣り物を中心に出船中
話も楽しい♪陽気な店主の新明利勝さん

オリジナルの“江戸前ハゼ竿”
中通し竿なのでワイヤも必要
オリジナルロッドの販売もしてます!

“江戸前”にこだわる!“ハネ込み釣り”にこだわる!!

鶴見川河口の船着き場。ここから乗船
出船前に店主に聞くと、10月初日の開幕から連日トップは束超え、7日には竿頭で246匹と出だしから好調との事。シーズン初期は“ハネ込み釣り”が有利で、延べ竿での釣趣に惚れ込んだこの釣りを、心待ちにしている熱烈なファンも多いとの事。こう言うと、マニアックで敷居の高い釣りのイメージを持たれてしまうかも知れないが、そんな事はない。勿論、リール竿を使用しても構わないので、人それぞれ好みのスタイルで楽しめばいい。

奥に係留してあるのが今回乗船した「第六新明丸」
こだわりの詰まった『新明丸』特製ハゼ仕掛け
ベテランは手バネ2本竿でのハネ込み釣り

こちらは「東作」の和竿。もはや芸術品
懐かしい太鼓リールを使う人も
勿論、スピニングタックルでも構わない。こちらは軟調メバル竿との組み合わせ

私は管理釣り場のトラウトタックルを持ち込んでみました
仕掛け図
仕掛け図

航程0分!?船着き場のすぐ目の前がもうポイント

定刻通りに5人を乗せて出船。舵を握る高橋英夫船長にポイントまでの航程を聞くと、「ポイントで言うならここもポイントだよ(笑)。今年はあまり数が出てないけどね」。そう、船着き場もポイントなのだ。事実出船して間もなく、下流の鶴見川橋をくぐった少し先で「どうぞ!」とアナウンス。時間にしてものの数分である。今年は9月に台風が多かった影響でハゼも流されたのか、川を下るほどアタリが増える傾向にあるそうだ。船長は丁寧にエンジン流しで川筋のポイントに当てていく。土手の遊歩道には犬の散歩をする人やジョギングをする人がいて、いやはや何とものどかな風景である。

この橋を潜ったら…そこはもうポイント
ポイントは鶴見川河口の川筋
鮮度良く持ち帰るならエアポンプ持参がおススメ

計数用カウンターもあると便利
餌は支給の青イソメ、予め餌をカットしておくと手返しが早い
ナス型オモリに片天ビンが基本

市販のキス・ハゼ仕掛けでも対応可能
好奇心旺盛なハゼには、金のタイコオモリも効果アリ

河口の川筋は良型狙い

ここの水深は約3m。この日“ハネ込み釣り”をする人は3人で、皆さんリズミカルに2本竿を駆使して小突いていく。この河口の川筋は数よりも型狙いのポイントだそうで、開始からポツポツではあるものの、この時期としては、良型の平均15cm前後のハゼが取り込まれていく。プルプルッというハゼ特有のアタリを合わせ、軟調子の延べ竿がしなる光景は実に釣趣深い。
ここでコンスタントに釣り上げていた右ミヨシ(船首)の高木弘さん(西東京市)にコツを伺うと、「ハゼは小突きの誘いと食わせの“間”。要はバスのワーミングの様なもんだよ」との事。以前はバスやソルトのルアーマンだったそうで、それがハゼの“ハネ込み釣り”に惹かれて、最近はこの釣り一色だそう。釣りに精通したルアーマンが、どっぷりハマるこの釣りの魅力…実際に体験してみないと分かりませんよね?

“ハネ込み釣り”で船中まず1匹目
リール釣りでも
これはウロハゼ

河口で釣れるのは比較的良型でした
クーラーは小型で充分
釣り座に合わせた腰掛け。これは楽チン

年季の入った木製餌箱。これはもうディープな趣味の世界ですね
裏技…青イソメに焼酎を飲ませる?と動かなくなって餌付け簡単
河口でのアベレージサイズは15cmでした

運河に移動して数狙い

お見事でした!高木 弘さん
10時半を過ぎたところで、右岸側の運河に移動した。とは言ってもものの10分足らずで到着。現在、『新明丸』では午後1時半沖上がりの「ショートハゼ」というスタイルで出船しているが、移動に要する時間がほとんどないので、実釣時間は意外に長く、得した気分になる。
ここまでの高木さんの釣果は30匹だったが、ここから怒涛の入れ食いタイムの始まりである。このポイントは開始直後から仕掛けを降ろせばアタる高活性で、サイズは河口よりも一回り小ぶりながら一荷(2匹)も度々あり、皆さんここで数を稼いだ。
「ここは宝運河と恵比寿運河、大黒運河が重なり合う境目のポイントなので潮通しが良く、しかも上げ潮が効いてきたから、横浜港から温かい潮が入ってきて一気に活性が上がったね。やり始めから比べると、水温が21℃から23℃まで上がったからね、ハゼは水温が高ければ高いほど活性も上がるんだ」と船長。 ここで私も竿を出した。1投目からアタリがあり、持ち込んだ管理釣り場用のウルトラライトタックルだと引き味も実に心地良い。それでもプルルッとアタリがあっても掛けられない、このハゼ独特の駆け引きが実に…。

こちらは一荷。川崎市の持田一成さん
愛嬌のある顔に飴色の艶…愛される魚です
オケにはどんどんハゼが埋まっていきます

3つの運河の境目がポイント
一荷も頻繁にありました
たまに釣れるのはヒイラギ

今後はより深場に落ちて、よりテクニカルに

トップは高木さんの146匹
結局、アタリは納竿の午後1時半まで続き、後半ハイペースで数を伸ばした高木さんが146匹で竿頭。スソでも82匹と皆さん大満足の釣果となった。 「状況にもよるけど、11月中旬頃まではこのポイントで続けてみて、水温の低下と共に京浜運河の水深6~8mを狙い、その後は“一日船”として沖に出して根岸湾・富岡、長浦湾の水深10m前後を年内一杯狙うというのが毎年のパターンかな。沖に出ちゃうと水深も深いし、風の強い日は影響も受けるから“ハネ込み釣り”だと厳しくなるけど、それでも好きな人はいるよね。今年の湧き具合だと今後も期待できると思うよ」と船長。
ポイントが運河や湾内なので、風波の影響も殆どなく船酔いの心配もまずない。アタリも頻繁にあるのでファミリーやビギナーにも楽しめ、それでいてベテランをも唸らせる奥の深い釣り物ハゼ。粋な“江戸前の釣り”、ブラリと出掛けてみませんか。

お世話になりました!ハゼ釣りに造詣の深い高橋英夫船長
“江戸前”といえば胡麻油を効かせたハゼの天婦羅
子供も大喜び!小型は骨まで食べられる唐揚げがおススメ

(釣りビジョンAPC・牛島誠)

今回利用した釣り船
神奈川県横浜鶴見 新明丸
〒253-0061 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央5-13-24
TEL:045-501-2081
詳細情報(釣りビジョン)
新明丸ホームページ
出船データ
出船時間:午前7時45分出船 沖上がり午後1時30分(ショートハゼ船)
基本料金=7,000円(エサ付き)女性・子供半額
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