オフショアマガジン

2019年8月15日号

茨城県・波崎沖のアカムツ、浅場で良型、最盛期突入!

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中深場の美味しい魚として、近年すっかりポピュラーになったアカムツ(ノドグロ)。「超高級!」、「幻の!」と持て囃されるこの魚を、竿頭は“ツが抜ける(10匹以上)”程釣らせる船宿があると聞き、茨城県・波崎港『仁徳丸』に出掛けた。

7月30日に最大43cm竿頭ツ抜け達成!

冬の間は水深350m前後の深海に生息しているアカムツは、梅雨の訪れと共に産卵期を迎え、水深150m以浅へと移動してくる。『仁徳丸』が出船する波崎沖の寒猫根(かんねこね)は言わずと知れたアカムツの大場所。だが、今シーズンは、例年より中小型が目立ち「何かおかしい…」とアカムツファンたちをヤキモキさせていた。そんな折も折『仁徳丸』では40cm級の良型を頭に竿頭は“ツ抜け”達成と絶好調。期待を胸に東関東自動車道・潮来ICから波崎港を目指した。カーナビには「青木屋旅館(茨城県神栖市波崎9495)」と設定すると、目的地手前で右手に『仁徳丸』の電光看板が見えるので便利。看板のあるコンテナに寄せて車を停めれば、乗船場所は目の前だ。釣り座は先着順なので、船縁に竿を立て好みの場所を確保しよう。集合時間の30分前には船宿の軽トラックが船着場に来るので、乗船料の支払いと乗船名簿の記入を。乗船準備は滞りなく完了し、午前4時20分「仁徳丸」は出船した。

暗い時間帯でもこの看板が目印
釣り座は先着順、竿やクーラーを置いて確保
駐車スペースは乗船場所の目と鼻の先
軽トラックの荷台で受け付け
氷は船尾の大型クーラーから各自で
朝焼けを背に出船!

船中1匹目から38cmの良型!

波もなく穏やかな海を走ること50分程で寒猫根に到着。この日、小笠原のはるか沖合を通過した台風8号の影響か、大きなウネリが海面を渡っていた。警笛を合図に水深110mの釣り場からスタート。間もなくアタリはあったが取り込まれたのはゴマサバ。この後も流し変える度に良型のサバやアジが上がるのだが、アカムツからの魚信は無い。やや弱気になりかけた6時17分、水深130m前後の釣り場で紅一点の岡田さん(佐倉市)がリールで道糸を巻き上げてから底を取り直す“巻き落とし”で、オモリの着底と同時にガツ、ガツ、ガツ!と独特のアタリを出した。慎重なファイトの末に海面へ浮かび上がったのは38cm、1㎏弱の良型アカムツ。難しい状況でようやく掴んだ1匹に「やった!結構大きいわ」と喜びもひとしお。それから間もなく、お隣の塚瀬さん(成田市)も良型を取り込んだ。普段はジギングなど海のルアーフィッシングを楽しんでいると言う塚瀬さん。「アカムツは3回目。犬吠埼ばかりで波崎の“夏アカムツ”は初めて」とのことだったが、浅場のテクニカルな釣りが醍醐味の寒猫根にも、良い思い出が刻まれたことだろう。

岡田さんが獲った38cmの良型アカムツ!
巻き落としで着底と同時に口を使った
塚瀬さんも負けずに良型Get!
【動画】日差しを浴びながら!アカムツ釣り

寒猫根のアカムツ釣りとは

水深130m前後を狙ったこの日の釣り、同船した方々の釣り方を紹介しよう。水深が浅く、道糸も徒に太くないためオモリは120号とアカムツにしては軽量。そのため、誘い上げ、落とし込み、ゼロテンション、弛ませ…と様々な釣り方が楽しめ、そのスタイルによって操作性の高い先調子の竿を使う釣り人と、掛けた魚を暴れさせない胴調子の竿を使う人は船中でも半数ずつ。餌は船宿が用意する冷凍ホタルイカをメインに、サバの皮目を削いで短冊にしたものを合わせ掛けにする人。ホタルイカの外筒(胴体のとんがり帽子部分)を剥いで、ゲソを餌にする人。ホタルイカはそのままの形で、先端付近の背骨にハリを打つ人。食用色素で染色したサバ短や鶏皮を使う人…と様々。実際の所どの餌でも釣れていたので、これも“お好みで”と言うことになるだろう。船中全員が一致していたのは「捨て糸の長さ」の1.5m。これは船長監修の船宿仕掛けも同寸法で、非常に興味深い。皆さんも仕掛けを作る際にはご参考に。また、ずっと手持ちで誘い続ける釣りだけに、まめな水分補給や効率的な休憩など、積極的な熱中症対策もどうぞお忘れ無く。

餌は冷凍ホタルイカ
サバの皮目でサバタンを作る人も
基本、ホタルイカは外筒を剥いでハリに
仕掛け図
船長のノウハウが詰まった船宿仕掛け
先調子と胴調子、竿の選択はお好みで

美味しい“ゲストフィッシュ”たち

この釣りの特徴に、多彩な“ゲストフィッシュ”が上げられる。概ね型が良く脂の乗ったゴマサバやアジは非常に良く釣れていて、嬉しい“ゲスト”の一つ。1m以上にまで成長するアラの若魚も複数上がったが、これはサクにして熟成させると非常に旨い。骨やアラから良い出汁が取れるので、余すこと無く味わって頂きたい。“ドンコ”の呼び名が一般的なチゴダラは、肝と一緒に味噌汁にすると美味。アカムツと同じ“ノドグロ”の異名を持つユメカサゴは煮付けがお薦め。また、釣れても海へ返してしまう人の多いムシガレイはバターたっぷりのムニエルにすると美味しいのでお試し頂きたい。煮ても焼いても美味しいオキメバル(ウスメバル)は、大型の個体が釣れたら是非、刺し身で食べてみて欲しい。万が一、“本命”のアカムツを獲り逃しても、これだけ多彩な魚が釣れてくるのでお土産の心配はご無用。釣果情報としては大きく掲載されない“ゲスト”たちだが、バラエティ豊かな釣果というものは、食の楽しみの幅を広げてくれる大きな魅力では無いだろうか。

夏が旬のゴマサバ
比較的良く釣れる大きなマアジ
このサイズのアラも上がった
定番ゲストのドンコ
奇しくも別名はノドグロのユメカサゴ
これも良く釣れてくるムシガレイ
良型の沖メバル
「次は何が…?」釣果が多彩で楽しい

船長に訊く、アカムツ釣りの「コツ」

親切で物知りな三橋正幸船長

朝マヅメから9時までは型狙いの海域、後半は数が釣れる海域に、という作戦が見事的中した三橋正幸船長。アカムツ釣りの道具立てについて訊いた。「今は柔らかめの竿の方が良いかな-って気はしますね。バラシが少ない。(魚を待っている時は)7:3くらいでやっていて、アタリがあって食わせたら6:4くらいになるような竿が。柔らかいって言っても、あまりに粘りの無い竿はダメだね」と船長。また、大きなアカムツを釣るための心得を尋ねてみた。「なるべく底を切った方が良いですよね。サイズの良いアカムツは大体、上バリに掛かって来るので。捨て糸が短いとドンコやユメカサゴ、サメが多くなるし、アカムツが釣れても小さいことが多い。だからサイズ狙いの人は捨て糸を長く取ってください」とのこと。数を釣りたいか、型を狙いたいかは釣り人それぞれの好みだが、大きな個体ほど上バリに食ってくるのは、この日の傾向でも顕著だったので、この提言はメモして置きたい。

波崎沖のアカムツ、最盛期はこれから!

この日の竿頭はアカムツ2匹と多彩な“ゲストフィッシュ”を釣った常連の佐藤さん(茨城県美浦)と、寒猫根初アタックの塚瀬さん。この日は釣果の谷間で難しい一日だったが、それでも“本命”アカムツを乗船の全員が手にするという快挙。さらに取材後に釣況は回復、再び竿頭“ツ抜け”達成の情報が届いている。「サイズの良いのが産卵で寒猫に入ってくるので、型も数もこれから良くなって行くんじゃないですかね。これからが一番良いシーズンなんじゃないかな」と船長も太鼓判を押す。この夏こそ記憶に残る大物との出会いと、忘れられない高級魚の美味を心ゆくまでお楽しみ頂きたい。

アカムツ2匹で竿頭の佐藤さん
良型をしっかり揃えて大満足のお二人
取材前日にはこんな大釣りも(船長撮影)
船室にはリクライニングシート付き
帰港後に真水の手洗い洗顔と冷たい飲み物
アカムツ釣りが身近に感じられる船宿だ

釣りビジョンAPC・川添法臣

今回利用した釣り船

茨城県 波崎港 『仁徳丸』
〒314-0408 茨城県神栖市波崎8573-5
TEL:090-3345-3651
定休日:毎月第3月曜日
釣果・施設情報 仁徳丸 ホームページ

出船データ

アカムツ乗合(予約制)
集合時間:午前4時(変動アリ、予約時に確認を)
出船時間:準備出来次第
乗船料金:1万2,500円(ホタルイカ1パック&氷付き)

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