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駿河湾・金洲のコマセ“五目”、待望の本ガツオシーズン突入!

2020年08月15日公開

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夏の楽しみと言えば、黒潮に乗ってやってくる本ガツオ。今年は何故かスロースタートな雰囲気だったが、駿河湾の大場所、金洲エリアで沸騰しているとのウワサを聴き付け、静岡県・御前崎港『博栄丸』へ出掛けた。

午前4時集合、巡視船「ふじ」が目印

『博栄丸』の船着場は、常夜灯を点けた海上保安庁の巡視船「ふじ」が目印。集合時間になると受け付けとなる軽トラックが到着し、「博栄丸」が着岸する。釣り座は船長によって割り振られ、クーラーボックスに氷を詰め乗船する。釣り座での準備は冷凍オキアミの解凍のみ。滞りなく出船準備は整い、午前4時15分、「金洲ノ瀬」を目指して出港した。

航行90分のプチ遠征で紺碧の海へ!

御前崎から南南東へ20海里(約37km)、「金洲ノ瀬」までの航程はおよそ1時間30分。往復のこの時間は、御前崎までがロングドライブとなる釣り人にとって程良い休憩時間となる。しかもこの日は快晴ベタナギ。出船当初は月の明かりを、日の出後は海風を浴びながら心地よいクルージングを楽しんだ。午前5時44分、釣り場に到着。船長から仕掛けや釣り方の案内があるので、道具や仕掛けの準備はそれからでも全く遅くない。ソナー魚探と目視でカツオの群れを捜索すること暫し。6時4分、上乗り役の大船長から「いいよー!」の声掛けで竿入れとなった。その僅か2分後、右舷で早速ヒットしたが、オマツリでフックオフ。悔やむ間もなく右舷側で本ガツオのボイルが湧き立ち、一同大急ぎでコマセを詰め替え仕掛けを打ち直すが、魚の足は速く、群れの反応は瞬く間に霧散してしまった。

 

忍耐と粘りで好機を逃すな!

この後、ソナーの反応やカツオのハネを追跡する事2時間30分弱。ようやく待望の本ガツオがタモに収まったのは、日も高くなった頃だった。最初のカツオを取り込んだのは右舷胴の間(中央)の杉本さん(静岡市)。「このサイズで写真撮るの!?」と謙遜していたが、ようやく手にした獲物に嬉しそう。その後も良型のゴマサバやシイラが上がる中、何の前触れも無く本ガツオが口を使うタイミングが幾たびか訪れ、釣れて来るサイズも徐々に大型の個体へと推移していった。この日上がった最大の本ガツオは70cm/5.5kg。胃の内容物はイワシが殆ど。「この間まで釣れてたカツオとは別群れなのでは」と、この状況が推し量られた。

金洲のコマセ“五目魚”図鑑

金洲のコマセ“五目”と言えば、釣れる魚種の多彩さも特筆だ。筆頭は相当数が上がったゴマサバ。丸々とした大型の個体が多く、釣れてすぐ首を折って血抜きをすれば極上の逸品となる。定番のシメサバは勿論、脂の乗った個体は煮ても硬く締まることがないので、味噌煮や煮付けでお楽しみ頂きたい。そして、南海の美味、ムロアジ。夏場は脂が少ないので青唐辛子やタマネギのスライスと一緒に塩とライムで締める“セビチェ”がお薦め。紡錘型の“紡=つむ”から銘々されたツムブリも上がった。背の身と腹の身で味わいが異なるので、釣れたら是非お試し頂きたい。鮮やかな体色が遠目の船上からでも確認できるシイラは5年魚と思しき大型の個体もいて、サバの取り込みなどモタモタしていると此奴に持って行かれてしまう。関東ではあまり食べられないが、日本海側や山間部、ハワイなどではメジャーな食材で、カルパッチョやムニエル、ポキにすると美味。アカイサキは誤解が多いようだが下処理をして冷蔵庫で2、3日寝かしておくと美味しくなる。皮目に旨みがあるので、焼き霜造りや煮付けがお薦め。ちなみに分類としてはイサキよりハタに近い。

【動画】カツオ舞う!金洲五目釣り

船長に聞く「金洲コマセ“五目”」のコツ

夏の「金洲コマセ“五目”」について、大澤洋輔船長に訊いた。「例年に比べて黒潮が近いもんで、水温が上がってカツオがメインになりましたね。カツオのコツはバラシを少なくするように、リーダーをすぐ掴めるところに電動リールの(船縁停止)設定をしておくことです。細かいことになりますが、最後の1、2mでも手で巻くと、その一手間でバラすことにつながる。カツオ用のリーダーを必ず付けるようにしてください」とのこと。船長の言う「カツオ用のリーダー」、これは『カツオコード』とも呼ばれ、仕掛けを手繰りやすくするための編み糸のこと。カツオには80号が好適だ。道糸とテンビンの間に付けるか、テンビンとハリスの間に付けるかは好みがあるようだが、その日の状況を見て迷ったら、船長に尋ねるのが何より得策だ。

釣況復活、この夏こそ本ガツオにチャレンジ!
この日の竿頭は本ガツオ2匹を上げた内炭さん(沼津市)。釣れた数としては釣果の谷間に当たってしまったこの日。翌々日には釣況復活して竿頭本ガツオ8匹他、ウメイロ、ジャンボイサキ、ハガツオにカンパチとクーラー満タンの画像が届いた。本ガツオの大群と饗宴のような大漁に遭遇するには、行ける時に足繁く通うのが近道。紺碧の海に大魚のロマンを追う金洲のコマセ“五目”。釣果情報から目が離せない日々が続きそうだ。

今回利用した釣り船

静岡県御前崎港 『博栄丸』
〒437-1621 静岡県御前崎市御前崎4145
TEL:0548-63-3337
定休日:なし 釣果・施設情報 博栄丸 ホームページ

出船データ

金洲五目乗合
乗船料金:1万4,000円(氷付き/コマセ3kg1枚:1,000円)
集合:船着場へ4時(時期により変動あり、予約時に確認を)
出船:準備が整い次第
     
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この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込むツリキチ。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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