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常磐沖のタチウオ、テンヤ&ジグで狙うテクニカルゲーム!

2023年01月24日公開

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ここ数年、タチウオが北上、東北エリアでも乗合船が出る等注目されているが、茨城県・常磐沖でもタチウオ釣りの人気が急上昇。「常磐タチウオ」とも呼ばれ、良型を求めて各地からアングラーが訪れている。日立久慈港『明進丸』に出掛け、神出鬼没のタチウオ攻略の模様をレポート。

【この記事を書いたライター】山口 充

アクセス&受け付け

日立久慈港へは、高速道路のアクセスが良く常磐自動車道・日立久慈ICから10分程。国道6号線も常磐道と並走しているので夜間安全第一でリーズナブルに走行する事も出来る。ただ、港近くは夜間大型車の通行が多いので注意が必要。「明進丸」停泊場所で受け付けまで待機、荷物を下ろし受け付けをしたら車を駐車場に移動する。釣り座は受け付けの際に決めてくれるので慌てる必要はない。特に冬季は暗く足場が凍っている事も有るので慎重に乗船しよう。

有名アングンラーに遭遇

集合は午前5時だったが、少し早めに港に到着。前日はシケで出船を取りやめたとの事。風が少し残り、底荒れや、この釣りに影響が出易い“水色”が気掛かりだった。船長が到着して暫くすると受け付け開始。「あれ、山口さん」と声を掛けてくれたのは、タチウオスペシャリストとしても知られる三石忍さん。これは助かる。細かい状況や傾向等を聞く事が出来る。メタルジグの用意はしていたが、三石さんが居るなら私は撮影に専念出来るので道具は撤収。次々に釣り人が乗船して5時30分に関裕二船長の操船で出船。釣り人に聞くと「今期3回目だけど、幽霊とも言われるタチウオだけにどうなんですかね。沢山釣れるよう頑張ります」と笑いながら話してくれた。釣り場迄は約1時間。御来光を浴びながらポイントに向かった。

 

タックル

タックルは、テンヤの場合は専用竿が望ましい。細かい操作、アタリから合わせのタイミングが取り易く幅広い誘いも行える。リールは小型電動リール、道糸はPE1.5号前後、先糸はフロロカーボン10号前後を2m。近年、テンヤは各種有るが40号から60号を用意したい。餌のイワシは各自購入して持ち込む。ルアーはメタルジグを使用。ロッドは7ft前後で、ベイトタックルが基本になるが、広角に広く探る場合も有るので特性を活かしてスピニングタックルも有ると便利。ジグウエイトは120~160g。メインラインはPE1号前後、リーダーは20~30lbナイロンかフロロカーボンを2m前後。テンヤの基準が40~60号とすると、1号は3.75gなので40号で150g。50号で187.5g。形状による沈降速度の差は別として、メインラインの太さを考えるとジグとテンヤの重さの差は殆ど無い。

低い反応と神経戦

久慈沖に到着して船長は反応を探す。暫くすると合図が出てスタート。水深は約80m。「底から5m位を探ってください」とのアナウンス。テンヤとルアーの比率は3対1でテンヤからスタートする釣り人が多かったが、途中で変更が可能なので、状況によって使い分けて楽しむ事が出来る。ルアーは160g前後を用意しているアングラーが多かった。ただし、底から5m程度の反応の場合はジギングにとっては誘い幅が少なく、フォール重視となる場合が多い。潮回り、再投入を繰り返していると右舷胴の間(中央)でテンヤを使っていた人にヒット。タチウオならではの引き込みで楽しそうだ。上がって来たのは良型のタチウオ。「ほぼ底で喰って来たよ」と嬉しそう。すると右舷側のルアーアングラーにもヒット。潮回りの状況から厳しいと予想したが、ドンピシャの反応で連続ヒットしたようだ。無事タチウオが取り込まれた。状況を聞いて見ると「下から数mと言う所でヒットして来ました」との事。底から5m前後の反応というレンジでどの様に攻略するのか。テクニカルゲームの様相になった。

【動画】明進丸・茨城県日立久慈港・タチウオ

状況を読むスペシャリスト

三石忍さんは、状況を分析しながら細かい操作を繰り返し探って行く。この辺は見ていても参考になる部分が多く、アクションから喰わせる間のタイミング等、渋い状況に合わせて変化させるのは流石。「どうも5、6m位のところで“二枚潮”になっているみたいです」との事。船長が言っていた「下から5m」と言うのが当て嵌って来る。そして細かいアタリを捉えて合わせが決まる。良型タチウオを上げた。「このエリア活性が高いと比較的釣り易いんですけどね。今日は厳しいかも」と三石さん。タチウオは特に“水色”による光量の変化や海水温に影響されやすいターゲット。その辺の引き出しも持っているアングラーなので分かり易く説明してくれる。パターンと傾向を掴んだ三石さんが再びヒットさせた。潮回り再スタートで、「喰う」反応と「喰わない」反応がハッキリと出るコンデション。投入の際は合図の前に準備をして備える事も重要。後半は単発ヒットが多く、メタルジグにカンパチがヒット。午後1時沖上がりの時間を迎えた。
今回は偶然スペシャリストの三石さんに遭遇して釣りを見せて頂いたが、テクニックもさることながら「基本を突き詰めている」感じを受けた。テクニックは多くの経験で培ったものだが、「基本」はビギナーでも出来る事。餌付けの丁寧さ、準備等々。もし、お会いする機会が有ったらその辺も質問すると良い。快く教えてくれる筈だ。渋い状況だったが、「常磐タチウオ」はこれから本番。是非楽しんで頂きたい。

今回利用した釣り船

茨城県 日立久慈港 『明進丸』
〒319-1222 茨城県日立市久慈町1-2-2
TEL:090-2276-8806
定休日:第3月曜日 釣果・施設情報 明進丸 ホームページ

出船データ

タチウオ乗合
集合時間:午前5時に船着場へ
出船時間:準備出来次第
乗合船料金:1万1,000円(氷・昼食付き)
※女性2,000円引き/小学生以下半額
出船日・料金は要確認・ヒラメなどにも出船
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

山口 充
プロアングラーとしてテレビ出演、企画、撮影、雑誌執筆やカメラマンをこなしながら「旅と釣り」をテーマに日本中を釣り歩く。公益財団法人日本釣振興会神奈川県支部長・普及振興委員会。2016年JGFA・MVPアングラーズアワード受賞。伝統の和竿「横浜竿」を使い、2020年IGFAタチウオ世界記録を獲得。
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