なかなかのファールド君の働きぶりで楽しい1日だった。だが、当然、モノの持つ正が負を兆すということがある。ファールド君が素直すぎてリーダーがフライリーダーより先に落ちることがあった。メンディングをするとフライがすっ飛んでくることもあった。フロータントが不十分で、すぐに水を吸って重くなり瀬を叩いてしまった。その他、こまごまと難儀をしたが、すべて使い慣れないことからくることなのでブンブン使い込むしかないのだ。だがひょっとしたらその途中で、やっぱりナイロンだ、と回帰する釣り人もいるかもしれない。この歳だから、初級者からの脱出に鈍重な持続力を強いられるより、やっぱりモノの力を借りてでもパッと上手くなりたいと思っている。だがモノはあくまでも形のうちにとどまっているわけで、結局、技とか注意力がなければモノが生きることはない、とモノの基本を改めてファールド君から教えられた。ナイロンリーダーに今でもてこずっている喜寿アングラーとしては、どちらがいいかと聞かれたら、「ウーン…」と考え込んだ後、やっぱり個性を愛するという誰もが知っている愛の定説を持ち出して答えることにしたい。