沖から上がると、朝は受付で働いていたお母さんがお茶とカリントウを出してくれた。かつては名産のウナギに冠せられた“江戸前”という言葉。後に鮨の用語となり、今や築地市場に入荷されればそう呼ばれるまでに領域と解釈は拡大されたが、本来は「江戸の前の漁場」。羽田沖から旧江戸川河口までの小さなエリアのブランド名だったと伝え聞く。夏も近づくこれからのシーズン、浴衣美人のように涼しげで飾らないシロギスを求めて、江戸前から船出する釣り人の“粋”をぜひお楽しみ頂きたい。