8時半に浅根という名前通りの、よりシャローに移動。開始直後は2ノットあった潮流も1ノット前後と落ち着いてきた。潮目も見えるこのポイントでいよいよ御前崎沖のポテンシャルの高さを実感することとなる。時合が来たのか、船中誰かしらにアタリが出だした。食べ頃サイズが中心の中、「これからデカいのが口を使い始めますよ~♪」との船長の予言通り、徐々にサイズアップしていき、潮目の右寄りをキャストして探っていた伊達丸常連の杉山稔さん(浜松市)に一際大きなアタリ! ドラグを唸らせて心地良いファイトで上がってきたのは、乗っ込みの残りを思わせる黒ずんだ立派な魚体であった。御前崎サイズとはいかないまでも、3㌔前後の良型もダブルヒットで顔を見せ、船長曰くナナマル(70cm)を思わせる強烈な引き込みとやり取りの末のバラシも数回見られるなど、船上は一時お祭り騒ぎ! 船長のランディング時の「ナーイスフィッシューー!!」の歓声も心地良い。「この時期の浅場で掛けるマダイほど横走りするタイはいないので、やり取りは一際スリリングです。今回はバラシで終わりましたが、だからこそ、この釣りを知っちゃったら止められなくなるんですよ♪」。また、御前崎沖という豊かな漁場を証明するかのように、マダイ以外の外道も豊富。ヒラメ、イサキ、ホウボウ、トラフグから果てはクエの幼魚まで、高級魚のオンパレードである。この多彩な魚種も魅力の一つであろう。御前崎沖はタイラバの聖地になりうる!?後半、時合を過ぎてもポツポツとアタリが続き、結果は船中オデコ無しの2~6匹という結果であった。それでもリリースやバラシなどを含めるとアタリはその倍以上あり、シビアな関東のタイラバゲームを知る人間としては驚愕の成績であった。「このタイラバゲーム、安定して釣果を出すことが非常に難しい。前日爆釣だったお客さんが翌日、同じタイラバを使って同じ釣り方をしても、結果が出ないなんてザラです。上手な人が必ずしも結果を出せるとは限らない、かと言って結局引き出しの多い方が結果を出す。いや~、こんなに奥が深い釣り、他にありますか?」。数多の釣りを経験してきた伊藤嘉朋船長が辿り着いた、ある意味究極のゲームフィッシングであるタイラバゲーム。関東というフィールドで修行に近い”痺れた釣り”を経験してきた方に、特にお勧めしたいタイラバの聖地がここにありました。唯一の心残りといえば・・・私は満船で竿を出せなかったこと。だって、あれだけの釣れっぷり見せられて釣り師としてストレスが溜まらないわけがないでしょ? 近々、に私も取材抜きで再訪する予定です。何故かって? それだけ遠征する価値が十分あるフィールドなのですから。・・・それが私の答えです。