アカムツを釣るためのコツを渡辺英雄船長に訊いた。「できれば専用竿が良いけれどイカ竿みたいな仕掛けをしっかり動かせる竿で、常に誘い続ける方が良い。誘いが効いて、引き込みを凌げる竿ですね。ホタバリを使うならアタリがあったらしっかり合わせて、竿掛けに掛けずに手持ちで巻上げる方がバラシは少ないです。餌はあまり大きくしないで、アカムツが食いやすいようにしてあげるのも大事ですね」と非常に分かりやすく説明をしてくれた。これも、一日のアカムツの動きと周年のデータを持っている渡辺船長ならでは。“オモリトントン”の置き竿釣法から一歩進んだテクニックを習得する格好の機会となった。印象を一言で言うと「穏やかな船宿」「この船宿でアカムツのボウズは初めて」と常連さんたちが口にする程難しかったこの日の釣り。「今日は厳しかった。魚は潮が行かないと食わないですよ。居ないことないんだけど、大きな魚ほど体力があるから条件が揃わないと口を使わない。たまにはイイ思いもするけどさ、いつもいつもは釣れないもん」と笑う渡辺船長。この大らかな雰囲気が常連さんたちにも共通していて、希少な高級魚を釣る乗合船の割には、終始穏やかなムードが漂っていた。沢山釣れれば嬉しいし、人より釣れたら鼻が高いのは当然だが、「楽しく釣る」ために欠かせないことは何か。それを再確認する一日だった。