5月から10月まで楽しめるお手軽な高級五目「根魚テンヤ」。そのコツを肥田船長に訊いた。「テンヤが“コン”って底に着いたら(竿を煽って)跳ね上げる。そうすれば根掛かり防止になるし、食っていればフッキングする。(底を切って)リールで巻いたりしてると分からなくなるから、竿で跳ね上げるように」と、船長の言う通り、この“根掛かり避け”兼“誘い”のシャクリをしていれば、跳ね上げた直後の“沈み始め”か“着底直前”にアタリがあるので、すかさずしっかり竿を立てて合わせればまずハリ掛かりする。「あとは釣った魚はなるべく早くクーラーに入れることと、小さい魚はすぐにリリースすること」(船長)。嵌れば沢山釣れる魚だからこそ、この心掛けは大切にしたい。食べ方のお薦めを尋ねると「カサゴは唐揚げや味噌汁だね。アカハタは蒸し物にすると旨いよ。デカいのは刺し身だね。塩焼きにしてもイケるよ。面倒じゃ無ければ開いて干物にするとスゲー旨い」と船長。他にも“煮付け”や“ホイル焼き”“アクアパッツア”など様々な料理で楽しめるのも根魚の魅力だ。 帰港後に女将の朋子さんがよく冷えたコーヒーを出してくれた。「食べるのはモロコよりアカハタの方が好き」と、実は女将も釣りや魚にかなり詳しく、話を聴くと為になる。モロコ(クエ)を釣らせる宿としても名高い南伊豆手石港の『敬昇丸』。釣り人のロマンをいくつも叶えてきた船長と女将の人柄に触れるだけでも、南伊豆へ脚を伸ばした甲斐があると思える船宿だ。