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静岡県・南伊豆、神子元島周り“根魚テンヤ”爆釣!!

2018年08月15日公開

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「根魚」とは、浅場から深場まで海底の障害物周りに生息する魚たちの総称。釣って楽しく、食べて美味しい“ハタ系”や“カサゴ系”の魚を「一つテンヤ」で釣らせるユニークな船宿があると聞き、夏休みと宿を取って静岡県・手石港『敬昇丸』へとプチ遠征に繰り出した。

伊豆半島最南端、首都圏から最も近い楽園!

「敬昇丸」は、伊豆半島の南端に位置する手石港に停泊している。カーナビには『伊豆漁協南伊豆支所直売所』と入力すると分かり易い。子供たちは夏休みのど真ん中、渋滞は覚悟の遠征。安全運転のためにも近くに宿を取って、温泉でのんびりすることをお薦めしたい。
集合時間は午前5時。ここで肥田能研船長(モヒカンの巨漢)と初対面だった小生は、少々ビビリつつ“根魚テンヤ”について教えを請うた。詳しくは後述するが、解説の的確さと釣らせることに熱心で親切丁寧な対応。「『敬昇丸』の船長は、そのままプロレスのリングに上がれそうな風貌だが、無駄に怖がらなくて良い」これは特記事項だろう。上妻俊春さん(川崎市)と友人の匿名希望・顔出しNGさん、小生の3人を乗せて「敬昇丸」は午前5時30分に出船した。

まさかの低水温、低活性…からの!?

ベタナギの海を走ること20分弱で最初のポイントに到着。竿入れの6時を待つ間、撮影の支度をしていると「水温がちょっと低いかも!」と不穏なセリフをさらりと口にする船長。期待の第1投も竿が曲がる事は無く、テンヤで底を取ってはシャクリ上げる時間が暫し流れた。この膠着状態を破ったのは左舷の匿名希望さん。高切れした道糸を手でたぐって船中第1号となるアカハタを取り込んだ。ここで船長から各釣り人の道具への見直しが入り、太いリーダーへの交換と“船長オリジナルテンヤ”への付け替えが行われた。これが功を奏して、右舷の上妻さんにも待望のヒット。タイラバロッドを大いに曲げた魚は40cm近い良型のアカハタ。船長曰く、このサイズがこの海域のアベレージとのことで驚いたが、その衝撃はまだ序章に過ぎなかった。

 

“根魚テンヤ”とは?

ゲーム性の高さと大物が釣れることから一世を風靡した“一つテンヤ・マダイ”。この釣りの面白さと根掛かり回避能力を、アタリが明確かつ食べて美味しい“根魚”向けに進化させたのが、今回挑戦した“根魚テンヤ”である。道具立ては一つテンヤ・マダイのものがそのまま使えるが、“目感度”を優先した繊細な竿より、“手感度”重視の深場用の竿がより向いている。また、大型のハタはマダイと違ってテンヤを丸呑みにしてくるので、細いリーダーではひとたまりも無い。根ズレ対策も併せてリーダーは5号(20lb)と太めのフロロカーボンを用い、それに合わせて道糸もPE1~1.5号と強めのモノを使用する。更に道糸とリーダーの結束だが、これも根掛かりによる糸切れが付きものだけに、凝ったノットは結んでいる時間ばかりが過ぎて釣りにならない。道糸にダブルラインのシステムノットを組んだらサルカンをチチワ結びにして、そこに竿と同じ長さのリーダーを結ぶことでリーダー交換を簡易化できる。狙う水深は30~35mが殆どだが、潮も速く道糸も太いので、テンヤは15号と重め。船で購入できるオリジナルテンヤ(正確には“カブラ”)が理に適っている上にお手頃価格(500円)なので、まずはこれを使用するのが得策だ。

良型揃いでクーラー満タン、早上がり!

ある程度釣れた所で、船長は神子元島の近くへ船を寄せた。水深35m前後。潮の流れが速く、15号のテンヤでも結構流される。糸の捌きにコツは要るものの、この潮、この根でのアタリ方は凄かった。“落ち込み”か“誘った直後”に出るアタリを巧く合わせられれば、入れ掛かりのサイクルが延々と続いた。結果、定時になる前にみなさんのクーラーは満タン。重量感のあるファイトを満喫して、心地よい疲れと共に早上がりとなった。
シンプルな仕掛けで海底の障害物周りを攻略するこの釣り。釣趣を味わうにはテンヤ・マダイのスピニングタックルが最適なのだが、魚を掛けたあと両軸リールでゴリゴリ巻ければ更に釣ることも出来たろうと思う。船長のタックルはLTイサキやLTタチウオに良さげな7:3調子2m弱のゲームロッドに小型電動リールのセットで、その手返しの良さは秀逸。もし似たような道具やライトジギングのベイトタックルをお持ちなら、スピニングリールと両軸リールの2セットを持ち込んでみるのも一興だろう。

船長に訊く、根魚テンヤのコツ

5月から10月まで楽しめるお手軽な高級五目「根魚テンヤ」。そのコツを肥田船長に訊いた。「テンヤが“コン”って底に着いたら(竿を煽って)跳ね上げる。そうすれば根掛かり防止になるし、食っていればフッキングする。(底を切って)リールで巻いたりしてると分からなくなるから、竿で跳ね上げるように」と、船長の言う通り、この“根掛かり避け”兼“誘い”のシャクリをしていれば、跳ね上げた直後の“沈み始め”か“着底直前”にアタリがあるので、すかさずしっかり竿を立てて合わせればまずハリ掛かりする。「あとは釣った魚はなるべく早くクーラーに入れることと、小さい魚はすぐにリリースすること」(船長)。嵌れば沢山釣れる魚だからこそ、この心掛けは大切にしたい。
食べ方のお薦めを尋ねると「カサゴは唐揚げや味噌汁だね。アカハタは蒸し物にすると旨いよ。デカいのは刺し身だね。塩焼きにしてもイケるよ。面倒じゃ無ければ開いて干物にするとスゲー旨い」と船長。他にも“煮付け”や“ホイル焼き”“アクアパッツア”など様々な料理で楽しめるのも根魚の魅力だ。 帰港後に女将の朋子さんがよく冷えたコーヒーを出してくれた。「食べるのはモロコよりアカハタの方が好き」と、実は女将も釣りや魚にかなり詳しく、話を聴くと為になる。モロコ(クエ)を釣らせる宿としても名高い南伊豆手石港の『敬昇丸』。釣り人のロマンをいくつも叶えてきた船長と女将の人柄に触れるだけでも、南伊豆へ脚を伸ばした甲斐があると思える船宿だ。

今回利用した釣り船

静岡県南伊豆手石港『敬昇丸』
〒415-0154静岡県賀茂郡南伊豆町下流1392-1
TEL:090-7026-1991
定休日:無し 釣果・施設情報 敬昇丸 ホームページ

出船データ

根魚テンヤ予約乗合
※予約は前日20時まで/2名より出船
乗船料金:1万3,000円(氷付き、餌は各自持参)
貸し道具:無料(予約時に確認を)
集合:午前5時/出船5時30分
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込むツリキチ。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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